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ピアレスアドベンチャー  作者: 竜夜
序章 物語の始まり編
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聖剣降臨

ごめんなさい。なかなか時間がとれず投稿が遅くなりました。どうにかしてペースを確立したいと思っていますが今しばらくこの不定期投稿をお許しください。

 捕らえられた私が連れていかれた先は地下牢ではなくセレス教の教会、通称『穿空の塔』と呼ばれる建物でした。王都の中心部に聳え立つ細長いその建物は高さ30メートル強の王国最大級の建物です。地下は神殿で、毎週始めに信者(王都民全員)が集まり祈りを捧げます。屋上は闘技場のようになっており騎士同士の決闘や公開処刑、大きな儀式等は決まってこの屋上で行われます。


 人前に出すためか私はぼろぼろだった衣服から見目麗しいドレスに着替えさせられ塔の最上階の一室に連れていかれました。ここに連れてこられたということは召喚魔法の魔方陣がついに完成したということであり、私はてっきり屋上に行くのかと思っていたので少し驚きましたが、どうやらまず『神徒の騎士団』と顔合わせをしておくようです。


 部屋には30人程度の悠一と同い年位の男女とその一団に加わってる三名の大人、統一された鎧をまとった親衛騎士団に加えて、私の父ーーーセルド・エルシアナ、母ーーーネルバ、姉ーーーアリアの姿がありました。


 隅で控えている親衛騎士団の中にはテオング・クエースの姿もありました。先程の狙撃は恐らくこの塔から撃ったのでしょう。ついさっき人を殺めたばかりだと言うのにテオングは涼しい顔をしています。


「それでは、全員揃ったことですし『聖剣降臨の儀』の打ち合わせを始めましょうか。」

「ちょっと待ってください、悠一君がまだ来ていませんが。」


 眠たげな眼の少女の問いにテオングが淡々と答えます。


「悠一は死んだ。俺が殺したからな。」


 その答えに神徒の騎士団の面々は驚愕をあらわにし、ポニーテールの少女なんかは一瞬殺意のこもった目を向けます。


 しかし、テオングはあくまで落ち着き払っています。


「そこにいる彼女は王国のなかでも稀な魔法の才能の持ち主だ。発動不可能と言われている召喚魔法を一人で発動させられるほどのな。悠一は彼女のその稀有な才能を知り利用しようと連れ去ったのだ。なるべく生かして捕らえたかったのだが我々の予想以上に悠一は抵抗が激しかったためこれ以上被害を出さないためにもやむを得なく殺してしまった。俺の力不足で悠一を止めきれなかった事は遺憾に思っている。」


 どうやら私のことは表向き希少な魔法の才の持ち主ということにしておくようです。


「そう、だったんですか。同じ神の使徒としてなんとお詫びしたらよいか。」

「いや優真が気に病むことはない。すべては悠一の暴走だ。」


 神徒の騎士団のリーダーらしい美男子が沈鬱な表情で頷きました。それっきりテオングの言葉を疑うものはいません。ポニーテールの少女も信じられないといった顔で固まっています。


 私はそのやり取りも全て聞き流していました。悠一が死んでただでさえ限界だった私のこころは大切なものが完全に失われてしまったようです。 

 

 そんな私に眠たげな眼のお下げの少女がいつの間にか歩みよっていていました。


「ねえ、悠一くんは本当に死んだの?」

「・・・はい。」


 少女の問いに一瞬、悠一なら或いはという思考がよぎりましたが、すぐにその可能性を打ち消しました。


 矢が直撃した瞬間はこの目でしっかりと捉えたことですし当たれば必ず致命傷になるからこそテオングには一撃必殺(ワンショットキル)という二つ名がついているのです。


 それに例え生きていたとしても私には関係ないことです。私を助けたのもきっと彼なりの理由があってのことでしょう。けど彼にとって私の存在は必須ではないだろうから王国の切り札を身をもって思い知ったあとにそれと交戦するリスクを冒してまで私を助けに来ることはないでしょう。


 私が悠一と会うことは二度とありません。だからもうなにもかもどうでもいい。私は今度こそ本当になにもかも諦めました。


 


 暫くして『神徒の騎士団』との顔合わせも終わり私たちは塔の屋上に移動しました。


 催しを行う舞台をぐるりと囲む階段状の客席には多くの人が詰め掛け、その一部にある一際華美な装飾の貴賓席にはセルド、ネルバ、アリアの姿があります。親衛騎士団は塔内の警備にあたってるのでここにはいません。なので今、舞台に立っているのは私と『神徒の騎士団』の面々だけです。舞台の中央には直径五メートル位の大きな魔方陣があります。これが召喚魔法の魔方陣でしょう。


「それでは早速だが『聖剣降臨の儀』を始よう。全ての矛に勝り、鉄や魔法ですら切り裂く彼の魔王殺しの聖剣をこの地にもたらし、我らが『神徒の騎士団』の『英雄』がそれを手にする。我々人族が宿敵たる魔族を滅ぼす牙を得るこの瞬間をその目に焼き付けるがよい。」


 風の魔法によりセルドの演説が会場全体に響き渡りました。それを合図に私は一歩前に出ます。


 『一度でも見た魔方陣の魔法を無条件に発動できる』という私の異能も一瞬視界に入った程度では使えません。細部までその構造を観察ししっかり認識してようやく使えます。


 通常より何倍も大きな魔方陣を十秒かけて認識し、私は魔法、ではなく異能を行使します。


 本来は莫大な魔力と引き換えに使う召喚魔法が、私の異能によって何の対価も支払われることなく発動しました。いっそ失敗すればいいのにそんな私のささやかな反抗心もむなしくやがて、天より一条の光が射し込んだかと思うと直後には魔方陣の中央に一振りの剣が突き立ちました。


 透き通るような白金色の刀身と宝石のように輝く銀色の柄。聖剣と形容するのに相応しい美しい剣です。また、美しさだけでなく圧力も半端ではなくただそこに突きたっているだけで心臓を鷲掴みにされてるような圧迫感があります。


 暫しの静寂の後、『神徒の騎士団』団長『英雄』の一之瀬優真が聖剣に歩みよりその柄を両手で握りしめ引き抜こうと試みます。しかし聖剣は深々と地面に刺さり拒むかのようにびくともしません。『英雄』は身体強化の魔法を使い更に力を込めました。すると聖剣の周りの地面に亀裂が入り始めました。


 それに人々は歓声をあげますが私にとっては心底どうでもいいことでした。『英雄』が聖剣を手に取れば近いうちに戦争が起きるでしょうし、多くの血が流れることも想像がつきます。でもそんなことすらどうでもいい。


 召喚魔法は魔方陣を造るのにも費用がかかるので劣勢にならない限り王国がこれ以上この方法で戦力拡大を図ることはないでしょう。これで私の仕事は終わりです。


 私は殺されるのでしょうか?それともまた幽閉?

 この際もうそれすらどうでもいいです。本気でこう思ってしまうあたり、私の心は完全にすさんでいるようですね。


「悠一・・・」


 私はうわごとのように呟きました。たった一人私を心から抱き締めてくれた少年の名を。


 その時、上空から何か聞こえてきたような気がして私は空を見上げました。でもそこには無限に広がる青と所々に点在する白い雲しかありません。・・・いや、よく目をこらすと何か小さなもが浮いてるような?


 それは物凄い速度で落下し、段々と大きく見えるようになり、数秒後にようやく私はそれが人だと認識しました。


「うわぁぁぁぁーーーー!!!!」


 人影はそんな叫び声をあげながら墜落し盛大な土煙を巻き上げたと思ったら次の瞬間にはゴロゴロと『英雄』に向かって転がっていきました。『英雄』は異常を察知してその場を飛び退いたので代わりに聖剣に衝突してようやくその人は止まりました。


「痛てて。やっぱり漫画みたいにかっこよく着地はできないか。」


 そういいながら立ち上がったその人を見て私は思わず息をのみ、同時に歓喜しました。


 来てくれた。来てくれた。来てくれた。来てくれた。来てくれた!


 小柄な体格に特別整っている訳でないのにシュっと引き締まりどこか格好いいと感じさせる中性的な顔立ち。


 見間違えるはずがありません。その人は世界でたった一人の私の王子様、如月悠一です。

読んでくださりありがとうございます。次回からは悠一視点で書いていこうと思います。引き続きピアレスアドベンチャーをお楽しみください。

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