容疑者2 ロディ
兄の家は玄関のすぐ横に植物が植わった花壇があった。ビリー警部はクリストファーに何か囁かれてから、今度こそ自分で警察と名乗り家にあげてもらった。中からは紳士風で黒髪が乱れたがっしりした男が出てきた。
「三人とも椅子にどうぞ。警察といえば妹のことなんでしょう」私とビリー警部は正面に、クリストファーは彼の右に座った。
「そのとおりです。あの日、あなたが何をしていたか、きかせてもらいましょう」ビリーは腕を組みながらいった。
「あの日は休日でしたがあいにくひどい雨でしたので家にいたんです。ただこの椅子でずっと本を読んでいました。ただそんな感じで外にも出ず誰とも会わず終わった一日だったんです! みんな私がやったとかそんな、家から出ずに何もできるわけないでしょう! あんな可愛いローズをいったい、いったい誰がやったんです!」
「ロディさん」クリストファーは彼の肩に手をおいた「ロディさん、大丈夫ですよ。必ず解決して犯人を捕まえてやりますから」
彼が落ち着くまでクリストファーはずっと寄り添っていた。「一日中お家にいたと証言できる人はいないんですね?」
「そうです」
「では、暖かくなさってお休みください。午後にお部屋の調査に数人まいります。よろしければこの紅茶でもどうぞ」ポケットから箱で出してきた。本当に驚いた。
外へ出た瞬間ビリーが彼にくいついた。「あんだけでいいんですかい! ただ慰めただけじゃありません?」
「それなら、また戻って戸を開けてもいいんですよ。今日中にはまたお越しになるのだから落ち着いているとき、話をきいてもらった方がよろしいと思いますがね」
ビリー警部は黙り込んでふくれっ面のまま車で帰ってしまった。
「今から駅まで歩く羽目になったな。なあ、君は気づいたかい? 彼の玄関にあった傘を。何も濡れていなかったんだよ。ローズと出かけたアリスの玄関にあった傘は濡れたままだった。これは家の外に出ていない理由を裏付けしている」
「まったくすごい。そんなところまで見ているなんてね。びっくりだよ」
「それほどでもないさ」照れてしばらくは目をこっちやってくれなかったが上機嫌で歩くのが速くなっていた。
家についたらクリストファーは昼飯にハムとパンを用意してくれた。
「僕は今から少し調べたいことがあるから出かけるよ。君が寝る前には帰ると思うからニ階の本でも読んで待っていてくれ。きれいに並び変えるとかは勘弁してくれよ」
「わかった」
彼はすぐにフロックコートを来て家から飛び出していった。
本棚といえどもなかなかひどい有様で、事件のファイルが本の下に敷かれていたり、また上の方を見れば本の横にコップが置いてあったりしていた。本は全てきれいすぎる推理小説であった。せっかくなので分厚くて昔断念した本を手に取った。
椅子に腰を掛けてページを開くがまったく頭に入ってこない。現実に起こっている未解決事件があるというのになぜこれに手を付けられよう? 本を読むことを諦め事件の写真を手に取った。見ても並び替えても分からないものは分からない。私は考えることをもやめ、ソファーで寝ることにした。




