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犯人逮捕

「やあ、少し待たせすぎたかね?」クリストファーは横になっている私の毛布を引き剥がして「いやあ、まったく早く手をつけるべきだった。どれが犯人がわかったよ」

 私はとび起きて彼を見つめた。「それは本当かい! 今すぐにでも捕まえに行こう」

「まあ行かなくてもいいじゃないか」彼は窓の外を見やり指を指して言った。「まずは友人に話をきかせよう」

 クリストファーがドアの前に立ちノックされるとすぐに開けて、きれいな金髪の女性を入れた。

「どうも、夜にお越しくださりありがとうございます。チェルシーさんそこの椅子に腰を掛けてください」

私は横にずれて右にクリストファーが座った。

「私達も貴方様にお話をきいてもらいましたわ。しかも真夜中に。その件はありがとうございました。いったい何のようで本日はこちらに呼ばれたのですか?」

「いやあ他のお二人もと思ったんですが、言い争いを始められちゃあ大変ですから。事件の進捗具合と二人のうちのどちらかといい予想を、最初にあなただけにきいてもらいたいと思ったのですよ。紅茶でもいかがです? 気楽にいきましょう」

「ぜひお願いします」

クリストファーは彼女の後ろの戸を通って台所に行った。私は沈黙に耐えられなかったが、声をかける勇気もないのでただじっと机の写真を見ていた。

「こちらの写真を見るにかなり踏み込んで捜索してくださったのですね」彼女は微笑んで話しかけてくれた。

「あ、はい。彼は私には見えないものでも見ているような感じで終始驚かされているばかりです」

 クリストファーがプレートに三つのコップを乗せて彼女の背後にきた。

「チェルシーさん、どうぞ手前のをお取りください」

彼女が振り返り両手でコップを取ろうとしたとき彼はプレートを地面に落としてしまった。

「や、すみません。やってしまった…」

 彼女は立ち上がりコップを拾った。私がタオルを取りに行こうと紅茶の前を通りかかった時、かしゃんと音がした。

「お優しいかたなのか優しくないのか、わかりませんね? チェルシーさんは」

私は呆然とした。「おいクリストファー何してる?」

「何も僕の話を聞きたまえよ」彼は彼女にはめた手錠を引っ張り椅子へ戻した。「あの日、ローズとアルバートを殺害しましたね?」

「何をおっしゃるのかわかりません」

「あなたは手巻きタバコの紙と傘に毒を塗りましたよね」

「いいえ」

「なぜやったんです?」

「やっていないです」

クリストファーは立ち上がり写真を見せた。「この手巻きタバコ、あなたもお吸いになられたんですか?」

「なにを?」

「同じ匂いがしたんだから当然ですよね。どうですか?」

チェルシーはだんまりをきめ込んだ。

「最初から申し上げましょうか。あなたは随分賢いようですから、毒なんてあればすぐ計画を思いついたでしょうね。ちょいと聞いてみればあなたとローズ、エリカ、ディアナは学生時代からの友達じゃありませんか。話の中ではなかなかのやんちゃをしていたようですね。ローズと恋仲のアルバートが。学生のとき何をされたんです? まあこんなことをするくらいなら今も続く辛い思いがありましょう? どうです、ここで全ての思いを打ち明けてすっきりしてしまうのは?」

 チェルシーはうつむくと後ろを向き、服をめくり背中をちらりと見せた。そこにはひどく赤くなっているやけどの跡があった。

「背中一面にこれでございます。当時、私はクラスの代表を務めていたのです、勉強がてら二人といっしょに理科室で実験をしていました。もちろん先生もいらっしゃったのですが、すぐ戻ると言って席を外し部屋を出てしまったんです。その時です。後ろからローズとアルバートが薬品を私の背中に浴びせました。燃えるような痛みにのたうち回りましたが、二人はけたけた笑っているだけです。次第に痛みで意識が遠のき気絶してしまいました。その後先生がきて救急で病院に運ばれ、最善を尽くしていただいたのですが跡ばかりはどうにもならないと告げられ、絶望を若くして感じたのです。その後私は学校に行けなくなり、逃げるようにして地元から離れた学校の寮で過ごしました。

 大人になってから随分良い職につくことができた頃です。お客様が私を家にお招きになられたとき棚の中に毒の瓶があるから触るなと注意されました。その瞬間かつての復讐心に再び炎火が戻って来たのです。それを少し頂戴して地元へ帰りました。

 偶然を装いローズに近づき親睦を深めているうちに判明したことがありまして、それが私を傷つけてそれを機に仲を深めたことです。今すぐにでも計画を実行しようと思いましたが、それじゃここまで頑張ったのに、少々渋い結果に終わると思いました。それで来る日も来る日も都合の良い日を探り続け、ついこの前が絶好のタイミングだったのです」

「計画の内容をぜひ教えていただきたいですね」

「ローズは午後から軽い予定があることを知っていたので、歩いているところにばったり出くわしたの演出して傘がないし、時間があれば家に入れてほしいと頼みました。私はハンカチはないかと尋ねバッグに両手を使うよう仕向けました。その間に傘の手持ちに毒をつけました。彼女の家に行ってちょうどお姉さんの買ってくれたお菓子があったので、それを食べるまでいろいろと喋りました。彼女がまるまる一つドーナツを手で食べるのを確認したあと帰宅しました」

「アルバートさんは?」

「彼は変に優しいところもあるので、家へ行った私がずぶ濡れになっているのを見てはすぐに中へ上がらせました。タオルとブランケットを持ってきては『外で待っている』と手巻きたばこを手にして玄関に向かいました。

『私もその休憩にお供していいかしら』と尋ねるとむろん断る理由なんてないので承諾しました。私はポケットに忍ばせてある瓶を確認しながらゆっくり歩いてついて行くのです。

 冷たい風と地を打つ雨が私を応援しているように思えてきましたの。彼はタバコに火をつけ、私もしばらくは気を落ち着けました。

『その手巻きタバコ、一本もらってもよろしいかしら』

『え? もちろんいいとも。口に合うかは保証しないよ』

後は簡単です。彼は私の方など緊張していっさい見ませんので、手元などうまくやればわかりっこありません。紙を一枚取り出し、手こずっているのを装い数滴の毒を残りの紙に染み込ませるだけです。このときばかりは快楽に身を委ね、十八番の会話術で時がすぎるのを強く願いました。彼が二本目に手を伸ばして巻き始めた時、暖かく迎えてくれたことに最後となる感謝を述べ、足早に傘を借りて帰りました」

「なるほどよくわかりました。その話を聞けて私は、とてもうれしいですよ。本人より事件をはっきり話せるのは他にいませんからね。

 最後に一つよろしいですかね? アルバートさんの部屋にあった手紙については何か知っていますか?」

「そんなの、おしゃべりをしたとき何かを刺激されて思い立ったのでしょう。あんな汚い家じゃペンを見つけるのも一苦労ですよ」

私には到底信じられなかったが、警察が来るまでの間クリストファーと彼女は穏やかに会話を楽しんでいた。ビリー警部が到着したとき、私はやっと息を大きく吸い込むことができた。

 ビリー警部はクリストファーを睨みつけながら雑な感謝の言葉を言ってチェルシーを連行していった。

「探偵クリストファーさん、私に説明をしてくれないか?」

「僕はさっき友達三人の昔のことを調べたんだ。それで面白いのがいっぱい出てくるわけだから、組み立てて完成さ」

「私は何の成果もあげられなかったが、まだ君の家に住まわしてもらってもいいのかい?」

「君が僕に必要な人だとわかったから、これから役にたてばいい。僕のそばにいてくれたら嬉しいよ」

クリストファーは空のコップを私に投げてよこした。

「何もマイナスなことを考えるなよ? 体験期間は終わりだから、これからはどこへでもいっしょにきてくれ」

二人三脚です

PVが1増えるごとにニヤけてます

ほんとうれしい

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