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第4話:妹の晴れ舞台と極上ローストビーフ

※本作をお読みいただく前の【重要なお願い】※

本作には、深夜の読書には極めて不適切な「飯テロ描写」が多量に含まれております。空腹時の閲覧は自己責任でお願いいたします。

理不尽な悪党やトラブルは、ヒロインが圧倒的な「力」でサクッと粉砕しますので、ストレスフリーでお楽しみいただけます!

「素直になれない偏屈男」と「推し活をこじらせた怪力女将」の焦れったい両片想いと、カロリーと愛情たっぷりの絶品洋食。

それでは、お腹を空かせてお進みください!

 数ヶ月後。王都の大聖堂で、シルヴィアとジュリアンの盛大な結婚式が執り行われていた。純白のウェディングドレスに身を包んだシルヴィアは、まさに天界から降り立った天使のような美しさだった。


 大聖堂に隣接する祝宴の会場には、ビビアンが腕によりをかけて作った豪華な料理が並んでいた。

 その主役を飾るのは、巨大な「極上ローストビーフ」である。

「さあ、みなさん! 琥珀亭特製、お祝いのローストビーフよ!」

 ビビアンが長いカービングナイフを手に取り、見事な塊肉の前に立つ。


 ローストビーフの極意。それは「余熱調理と肉汁の安定」にある。

 最高級の牛モモ肉にたっぷりの塩胡椒をすり込み、強火のフライパンで全面にしっかりと焼き色をつける。肉の表面をコーティングすることで、旨味を閉じ込めるのだ。その後、オーブンで低温でじっくりとローストしていく。しかし、焼き上がったからといって、すぐに切ってはいけない。


 オーブンから出した直後の肉は、内部の温度が高く、肉汁が激しく対流している状態だ。このまま包丁を入れると、美味しい赤い肉汁がドバーッと流れ出してしまい、パサパサの肉になってしまう。だからこそ、焼き上がった肉はすぐに二重のアルミホイルでぴっちりと包み、さらに厚手のタオルの上に置いて、室温で一時間ほど「休ませる」のだ。こうすることで、余熱がじんわりと肉の芯まで伝わり、対流していた肉汁が落ち着いて肉の繊維の中にしっかりと留まる。


 ビビアンがナイフを滑らせる。スゥッ、と抵抗なく切れた肉の断面は、ため息が出るほど美しいルビー色(ロゼ色)に輝いていた。赤い肉汁は一滴たりともまな板に流れ出ず、肉そのものが旨味の塊として完成している証拠だった。


「おおお……!」

 参列者たちから歓声が上がる。切り分けられたローストビーフに、肉を焼いたフライパンの肉汁と赤ワイン、醤油を煮詰めた特製のグレイビーソースがかけられる。

一口食べれば、しっとりとした肉の食感と、噛むほどに溢れ出す濃厚な旨味が口いっぱいに広がり、参列者たちは次々と至福の溜息を漏らした。


「ふふん、大成功ね」

 ビビアンは満足そうに頷き、遠くでジュリアンと腕を組んで幸せそうに笑うシルヴィアを見つめた。

(これで、あんたはもう安心ね。シルヴィア・・・おやぁ)

 何かに気付いたビビアンは祝宴の会場をそっと抜け出し、厨房に用意していた両手剣を掴むと厨房の搬入口から街外れの丘へ向かって飛び出していく。


参列者たちが祝福の拍手を送る中、一方で大聖堂を眼前に臨む丘の上では、エプロン姿のビビアンが一人、巨大な両手剣を構えていた。


「チッ、やっぱり正妻(ババア)の差し金かい。妹の晴れ舞台にモンスターをけしかけるなんて、悪趣味にも程があるわ」

 ビビアンの目の前には、式場を襲撃するために街の中心部へ放たれんとする数百匹の凶悪な大小の魔獣たちが涎を垂らしていた。


「悪いけど、今日の私は正妻(ババア)のせいで機嫌が悪いよ。とっととお前ら片付けて、料理の片づけに戻らなきゃならないんだから!」?

 ビビアンは地を蹴り、一般人であれば怯懦によって一指も動かせなくなるような屈強な魔獣の群れへと飛び込んだ。常に主導権を握って剣閃が煌めき、血飛沫が舞う。かつて戦場を駆け抜けた「戦乙女」の圧倒的な武威により、魔獣たちは悲鳴を上げる間もなく、痛みを感じることもなく次々と両断されていった。


「ふぅ一丁上がり」

 魔獣の死骸の山の上で、ビビアンは剣の血糊を払い落として仁王立ちした。

その姿を、遠く大聖堂の窓から、騒ぎを聞きつけた新郎新婦が見つめていた。

「お姉ちゃんありがとう」

 シルヴィアが感謝の涙を流す。

ビビアンは妹たちに向かってニッと笑い、親指を立ててみせた。

「あばよ! 幸せになりな!」


 カッコよく背を向けたビビアンだったが、その足取りは軽い。

「よーし! これで邪魔者も消えたし、祝宴のご祝儀代も浮いたわ! 帰ったらレッドの新作『超精密野菜スライサー』を買ってあげるんだから!」

 愛する妹を嫁に出した一抹の寂しさよりも、推し(レッド)の魔導具に貢げる喜びが勝る、筋金入りの乙女であった。


 無事に妹の縁談という最大のミッション(物理的折衝含む)を終え、ビビアンは自分の店へと帰っていく。そこには今夜も「飯が熱すぎる!」と文句を言いながら毎日通ってくる偏屈な天才職人が待っているはずだ。

「さてと。レッドの奴、今日はどんな文句をつけてくるか楽しみね」

 ビビアンは左頬の傷を撫でながら、これからの賑やかな日常に胸を躍らせるのだった。



【最後にお願いです!】

ここまで読んでいただき、

「お腹が空いた!」「洋食が食べたくなった!」

「二人の両片想いが尊い!」「妹の魔法無双が最高!」

など、少しでも楽しんでいただけましたら、


ページ下部にある【☆☆☆☆☆】を【★★★★★】にして応援していただけますと、日々の執筆の何よりの励みになります!

(ブックマークやご感想も、大歓迎でお待ちしております!)


皆様の温かい応援が、琥珀亭の次なる活力となります。

最後までお付き合いいただき、本当にありがとうございました。極上の「ごちそうさま」を!


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