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5 対魔物専門塾



「そう言い訳で、私たちは【魔物】を専門で対処する、〈魔術師〉を育成しようと考えたのです。」


教室にざわめきが走った。

皆まで言われずとも、この男が言いたいことがわかった。

つまり、瀬奈やツグミ、ここにいる高校生全員をその【魔物】とか言う、化け物に対処する〈魔術師〉に育成すると言ったのだ、この男は。


「もちろん、〈魔術師〉になるかどうかはみなさん自身で決めてもらってかまいません。【魔物】と戦うなんて、とても危険ですから。最悪、死ぬかもしれません。」


教室のざわめきが強くなる。

坂本は、そのざわめきを消すかのように大きく声を出す。


「ただ!!…あなた方はいずれにしても、そのうちに【魔物】に殺されるでしょう。

先程も言ったように、【魔物】は年々増えているんです。このままではすぐに〈エクソシスト〉の手にはおえなくなるでしょう。

ですが、ここで【魔物】から身を守る術を学べば、あなた方は【魔物】に殺されなくてすむのです。

どうですか?いい話でしょう?」


坂本がしゃべり終えると、教室には沈黙がおりた。

皆、どうするか考えているのだろう、真剣な顔でうつむいている。あるいは、呆然と机を眺めている。

すると、坂本が思い出したと言わんばかりにしゃべり出す。


「ああ!ここで学ぶための学費などは、一切必要ありません。有能な〈魔術師〉を育てるためですから、お金なんてとりませんよ!【魔物】から身を守る結界を貼りめぐらした寮だって無料で提供します。

むしろ、ある程度〈魔術師〉として働けるぐらいになったら、結構な額の給料も出ます。

……胡散臭いと思われるかも知れませんが、信じて下さいとしか言えませんがね…」


(…本当に胡散臭いわね。もっと別の人が言ってくれたら、少しは信じる気が起きただろうに。)

瀬奈はそう思いながらも、これからどうするかはもう決めていた。


「さあ、どうします?

強制はいたしません。決めるのはあなた方自身です。

〈魔術師〉になる気がない方はこの教室から出て行って下さい。そんな方にはもう用はありませんから」


そう言って、なんの違和感もない笑みを浮かべる。

その笑みは、場違いなほど明るかった。だからこそ、余計に不気味に感じられた。


瀬奈はちらっと横に座るツグミを見た。顔は少し青ざめていたものの、表情は強く、前を見据えていた。もう、決めたのだろう。

結局、教室から出て行く者はいなかった。


「…ではみなさん、全員ここで学ぶ、ということでいいんですね?」


返事は無かったが、それを肯定ととったのだろう、坂本は続けた。


「はい!ではあなた方はこれから、この対魔物専門塾の生徒です!これから皆で頑張っていきましょうね」


いきなり明るい声音で言われ、高校生は少し間の抜けたような表情になる。


「あ、ここへは毎日午後4時、学校が終わってから来てくれればいいですからね」


瀬奈は、少し拍子抜けした。今通っている高校を辞めて、この学校へ通うものだと思っていたからだ。


「…あの、学校が終わってからでいいんですか?」


瀬奈と同じことを考えていたらしい、男子高校生がおずおずと、手を挙げる。

その問いに坂本は眉をあげながら答えた。


「はい。そうです。今通っている高校のあとで構いません。

なので、今みなさんが持っている夢もあきらめなくていいんです。

ただ、〈魔術師〉にはなってもらいます。

大変でしょうが、一緒に頑張りましょう!」


坂本はそう言って、にっこり笑う。だが、どうにも胡散臭く、本当に笑っているようには見えなかった。


「とりあえず、今日はこれでおしまいです。」


坂本はそう言うと、ポケットからなにか取り出して、高校生達に配り始めた。

坂本は、瀬奈にもそれを配るため、瀬奈が座っている机の上にそれを置いた。だが、置いた瞬間坂本は何かにぶつかったように動きを止めた。


「……?」


瀬奈は不思議に思い、坂本を見上げた。

すると、坂本と目が合う。

坂本は、驚いたような、訝しむような顔をしていた。しかし、それは一瞬で、直ぐにあの胡散臭い笑みに変わる。

そして、なにごとも無かったように行ってしまった。


(……?)


不思議に思ったが、ひとまず配られたそれをみる。

白い、紙だった。だが、人をかたどったような形をしている。


「それは、式神と言って、あなた方を守ってくれるものです。もし、家に帰る途中【魔物】に襲われたら、その紙に息を吹きかけてみてください。一時的ですが、【魔物】の動きを止めてくれるはずです。」


本当にこんなもので…と思ったが、やはり、信じるしかないのだろう。

まぁ、今まで15年間、自力で身を守ってきたのだ、この式神が使えなくてもなんとかなるだろうが。


「それでは、みなさん、また明日お会いいたしましょう。さようなら!帰りには気をつけて〜!」



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