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4 〈見参者〉



「ええ。見えるわ」


瀬奈がそう質問に応じると、ツグミはぱっと表情を明かるくした。


「やっぱり!?あたし、あれが見えるの自分だけだと思ってたから…なんか仲間が増えたみたいでうれしい…!」


嬉しそうにはしゃぐツグミを見て、瀬奈は自然と自分の口から笑みがこぼれているのに気づき、少し驚いた。

自分もやはり、仲間や友達を欲していたのだろうか。

そんなことを考えていると、突然、教室のドアがガラッと音をたてて勢いよく開いた。教室にいる高校生達が一斉にドアに視線を向ける。

その視線の中、ゆっくりと入ってきたのは白いローブのような物に身を包んだ長身の男だった。


「はーい、みなさんご機嫌うるわしゅう!」


長身の男は教卓へと歩を進めながら、男のくせに高い声でそう言い放った。

長髪で目が細く、どうにも胡散臭い。ツグミもそう感じたのか、眉をひそめながら正面に向き直った。


「みなさんをここへ集めたのは他でもない、この私!

坂本レオンハルトと申します。…覚えておいて下さいね?」


坂本レオンハルトと名乗る男の声が教室に響き渡る。金髪の髪をみるに、ハーフなのだろうか。

いつの間にか、立っていた高校生達もおのおのの席に着いて、坂本の話しを聞いていた。


「…みなさんは、何故ここに呼ばれたのか薄々気付いているのではないでしょうか?

そう!!お察しの通り、みなさんがここに呼ばれたのには、みなさんのある共通点が関係しています。」


教卓に両手をつきながら、坂本は意気揚々と喋り続ける。

何故かこの男は、さっきからずいぶんとハイテンションだった。


「ある共通点…それはなんなのか…?

はい!その通り、【化け物】が見えすぎてしまうということ!!」


(…やっぱり、そのことだったのね…。)

瀬奈やツグミの【悩み】とは、その通り、【化け物】のような物が見えてしまう、ということだった。【化け物】は、獣のような虫のような感じで、言葉では説明しにくい、とにかく気持ち悪い生き物だった。

街中や、時々家の中にいたりして、目が合うと追っかけてくる奴もいた。中学の時はそれ程でもまかったのだが、高校生になったとたん、その回数が一気に増えた。なので気が休まる暇がなく、日々バットケースに入れたバットやカッターで身を守っていた。その所為で高校でついたあだ名は、「バットちゃん」だった。誰に話しても信じてもらえず、逆に気味の悪い奴だ、と言われたこともあった。


「…きっとみなさんの中にはその所為でお辛い経験をした方がたくさんいるんでしょうね…」


坂本は、自問自答をしたり、泣き真似をしたりとまるで一人芝居をしているようだった。

そして、いきなりバンっと教卓を叩いたと思うと、真剣な顔で瀬奈達を見つめた。


「でも、もう大丈夫!!その悩みも今日で解決です!」


教室の中に小さなざわめきが起こった。

(…本当にそんなことができるの…?)

生まれつき【化け物】が見える身としては、その言葉は非常に信じがたかった。


「まぁ、解決というよりも解決策が見つかる、と言った方がいいですかね。

これから、みなさんにとても重要なことをお伝えします。心して聞いてください。」


坂本は、一度間をおき、一層真剣な顔になってから口を開いた。


「今、世界では様々な場所で怪奇現象が起きていてそれらは、【悪霊】、【悪魔】などの仕業で起きています。彼らはとても悪戯好きで、時には人を殺してしまうような悪戯も平気でします。」


隣のツグミから息を飲む音が聞こえた。


「普通の人間には、彼らは見えません。ですから、怪奇現象などという言葉ができたのです。ですが、稀に本当に稀に、彼らが見える人間がいます。

そう、あなた達です。何故見えるのかは、血筋だとか遺伝子だとかいわれていますが、実際のところよくわかっていません。」


そこで話しを一旦切ると、坂本は黒板に何か書き始めた。


レベル1 【悪霊】

レベル2 【悪魔】


細い指ですらすらと、そう書いて行く。


「このレベル1の【悪霊】というのは、世で言ういわゆるお化けですね。実体が無く、触れることが出来ません。

レベル2の【悪魔】というのは、人に乗り移り、悪さばかりする、意地の悪い奴らです。

そして…」


坂本はまた、黒板に何か書いて行く。

そこには、


レベル3 【魔物】


と書かれていた。


「これが、問題のレベル3【魔物】です。

みなさんは、【化け物】を見かける時、その【化け物】はたいがい、足のない透けてみえるお化けだったり、ちっこくて丸い、手足の生えた生き物ですよね?」


そう、たいがいはそんな感じなので、見て見ぬ振りをすれば困らないのだが…


「でもたまに、大きく獣のような生き物を見かける、そうですよね?」


教室は静まり返っていて、誰もその問いかけに応える者はいなかった。

坂本はさして気にする様子もなく続ける。


「その大きくて獣のような生き物が、レベル3【魔物】です。

この【魔物】は大変危険で、自分のことが見えている者に襲いかかってきます。

つまり、あなた方〈見参者〉に。

〈見参者〉とは、【悪霊】、【悪魔】、【魔物】全てが見える人間のことを指す言葉です。

本来、【悪霊】には〈呪術師〉という職業の人が対処し、【悪魔】には〈エクソシスト〉が対処してきました。そして、【魔物】には、【悪魔】と同様に〈エクソシスト〉が対処していました。ですが、近年【魔物】が増加し、〈エクソシスト〉では対処仕切れなくなっているのです。【魔物】は実体がある上、非常に危険ですから。」


坂本は言葉を切り、教室の高校生達を見渡した。

そして、続ける。


「そう言い訳で、私たちは【魔物】を専門で対処する、〈魔術師〉を育成しようと考えたのです。」





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