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転生したら王位争いに巻き込まれたんだが~知識と力で全てをねじ伏せる~  作者: 東西南北


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4.国家レベルの魔法使い

 魔法について。

 それがまさかカーベラの口から出てくるとは。

 ルークは自身が魔法を使えることは後ろに控える二人くらいにしか話してはない。秘密にしておく方が良いと考えたから。

 訓練をする時も誰かに見られないようにしていた。

 だから、ルークは少し驚いていた。

 まさか魔法が使えることを知られていたとは。

 だが決して表情には出さない。

 

「知っていたんですね、僕が魔法を使えることを」


「ええ、もちろん。多分だけど、他の兄姉も知っているんじゃないかな」


 ルークは誤魔化すことなく淡々と答えた。

 変に誤魔化すよりも素直に答えた方が相手にペースを握られずに済むと考えたから。

 

 魔法使いとは数多く存在するわけでもない。

 そんな魔法使いの中でも日常レベル、軍事レベル、国家レベルと分類することがある。

 日常レベルは文字通り日常で役立つ程度。

 軍事レベルは殺傷能力が高い魔法を扱えるレベル。

 そして、国家レベルはその魔法使いが扱う魔法は国に影響を与えるレベル。

 日常レベルや軍事レベルの魔法使いならばカーベラの陣営に多くいる。

 ただ国家レベルの魔法使いはいない。

 因みに、ルークは国家レベルの魔法使いである。

 ルーク自身がその事に気付いたのは八歳の時。

 それもあってルークはできるだけ魔法については他人に話そうとはしなかった。

 その筈なのだが……


「まさかカーベラ姉さん、僕の分類についても……」


「当然、知っているよ。合ってるか確認する?」


「いえ、大丈夫です」


 ルークは確信した。

 カーベラはルークか国家レベルの魔法使いであることを知っていると。

 どうやって知ったのか気になるところだが、それは後回しにした。

 今ルークが考えるべきは、この話をどう運ぶか。


「ああそれから、もし私の陣営に来るなら、後ろの優秀な側仕え二人も連れてきていいよ」


「お言葉ですが、カーベラ姉さんは僕を陣営に引き入れることのリスクを考えていますか?」


「何が言いたいの?」


「たしかに僕は姉さんが考える通りの魔法使いです。その力は間違いなく大きな助けとなるでしょう。ですが同時に大きな火山を抱えることになってしまいます」


「火山?」


「ええ、そうです。僕のことは、いつ噴火をするかも分からない火山だと思ってください。そんな火山を抱えながら、兄さんや姉さんたちと渡り合っていけますか?僕を陣営に迎えれば、真っ先にカーベラ姉さんが狙われるでしょう」


 ルークが今はカーベラを敵にしたくないのと同様に、カーベラも他の兄姉たちを今は敵にしたくない筈。

 それが今のルークの考え。

 

「私がその程度のリスクを恐れると思っているの?」


「それだけじゃありません。仮に僕がカーベラ姉さんの陣営に入ったとしましょう。もし僕が力を制御できなくなり周りに甚大な被害を与えれば、その責任はカーベラ姉さんが負うことになるのも承知なのでしょうか?」


 国家レベルの魔法使いについてはいくつかの書物に記されている。

 どれもがその力の強大さと危険性についてのことばかり。

 そのことについてはカーベラも認識済み。

 だからこそ彼女の頭には書物に記された内容が浮かぶ。

 

 その力は時に海を割り、天を割り、大地を裂く。

 

 カーベラは机に置かれたカップを手にした。

 カップに入った飲み物を一口飲むと、手にしていたカップをゆっくりと机に戻した。

 一拍置いてからカーベラは言葉を返す。

 

「それじゃあルークは私と敵対するってこと?」


 カーベラの顔からは常に浮かべていた笑みは消えていた。

 放つ言葉からは大きな重圧が漂う。

 

「いえ、カーベラ姉さんと敵対するつもりはありません」


 ルークは一考することなくキッパリと答えた。

 

「え?私の陣営に加わるつもりはなさそうにしていたじゃない。それなのに敵対するつもりはないってどっちなの?」


 ルークの清々しすぎる返答に、思わず戸惑いを見せるカーベラ。

 実際、どちらもルークが思っていること。

 ルークの中で最初(はな)からカーベラの陣営に加わるという選択肢は存在しない。

 かといって今はカーベラと敵対したいわけでもない。

 今のルークとカーベラでは影響力に雲泥の差がある。

 そんな状況でカーベラを敵に回せば、ルークの立場が悪くなるのは明白。

 だからこそルークはとある提案をする。


「僕はカーベラ姉さんの陣営に加わる気も敵対する気もありません。なので、代わりと言ってはなんですが一つ提案を用意しているのですが」


「提案?」


「はい、カーベラ姉さんが困った時に一度だけ僕が直接手を貸すというものです」


「!?」


 その提案を聞き、カーベラの顔に再び笑みが浮かぶ。

 

「でもいいの?もし私がルークに頼み事を終えたら、その関係はそこで終わり。そうなれば、私はルークを敵として見ることになっちゃうけど」


「姉さんの言うことは、僕が手を貸すという貴重な手札を早々に切るということ。姉さんこそ、それでいいんですか?」


 国家レベルの魔法使いが無条件で手を貸す。

 それの貴重さは提案をしたルーク、提案をされたカーベラどちらも理解をしていた。

 そして、カーベラは決断をする。


「わかったわ、貴方の提案を呑んであげる」


「ありがとうございます」


 一先ず場が荒れることは避けられた。

 その後はお互いの近況などについて軽く話し合った。

 

「それでは僕たちはこの辺りで失礼いたします」


「そう、とっても有意義な時間だったわ」


「そうですか、では僕の提案を受け入れてくれた礼として最後に少しだけお見せしましょう」


「何を?」


 不思議そうに見るカーベラを前に、ルークは一言唱える。


重力塊(ブラックボール)


 拳程の大きさの黒い塊が生成された。

 黒い塊はルークの操作によって机の上にまで移動すると、机の上に置かれた焼き菓子やカップなどを飲み込んだ。

 ルークが指を鳴らすと黒い塊はその場から消えた。

 

「な、何をしたの」

 

 カーベラは目の前で起きた出来事に理解が追いついていない。

 予想していなかったことが起き驚きを隠す暇もなかった。


「それを教えることは出来ませんが、こういうことが出来るというのをお見せしたかっただけです」


「どうやら、貴方の提案を飲むのは正解だったみたいね」


 ルークが見せた力は自身が持つ力のほんの僅かにすぎない。

 それでもその力はカーベラに脅威と感じさせるものであった。

 

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