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前日譚その5:ないらちゃんの孤独

 一方、警察に保護されたないらちゃん。

 取り調べに当たった警察官は、ないらちゃんの内面が子供であるとすぐ気付いた。

 児童相談所への転送も考えたが、身元が明確で両親は社会的信用のある立場であったこともあり、親への連絡を選択。

 母親は遠方に出張中であったため、外務省勤務の父親が警察に呼び出しに応じ、事情の説明を受けた後で身柄を引き取った。


 状況を把握した父は秘密裏に事案の幕引きを謀るべきと判断。ないらちゃんを警察署から自宅に運んだその足で職場に急行した。

 一時の気の迷いで儲けてしまった血の繋がらない娘。親元では幸せにできない分、好条件の嫁ぎ先に送り出したいと願っていた。

 そのためにも、裁判沙汰で経歴に傷をつけない事を優先した。


 かくして、職権と人脈を駆使し、外人男3人組の迅速な国外追放を手配。同時に、各国大使館を通じて首都圏に点在する在日外国人コミュニティに対し夜の街での行動に注意するよう警告を出した。


 父親から連絡を受けた母親は、無事であったことを安心すると同時に破廉恥な恰好で夜の街に1人外出できる度胸を【女優】の適性として高く評価。

 いつかライバルとして舞台で共演できる日を願って、衣装の無断使用を黙認。また、ないらちゃんが本当に危険な目に遭わないように、夜の街の人脈を駆使して見守りのネットワークを構築した。


 ハイスぺ親バカとして娘のために延べ千人以上を動員し、首都圏広域を巻き込む大仕事を成し遂げて達成感を感じた両親であったが、肝心な事だけが抜けていた。


 誰もないらちゃんに真相の説明をしなかったのである。

挿絵(By みてみん)

●オマケ解説●

 普通とはちょっと違う形だけど、ないらちゃんは両親からちゃんと愛されていた。でも、想いは伝わらなければ意味がない。いや、伝わらない想いというのは悪意以上に凄惨な結果をもたらすものです。


 ないらちゃんはどうなってしまうのか。ひどい。ひどい。

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