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播州へ 肆ー浅井長政ー

 やややややややってしまった!

 賢政のことを長政と呼んでしまった!

 いやまだだ焦るんじゃない、焦らず落ち着いてごまかすんだ!

「ちょ、ちょっと間違えただけだよ」

「どう見ても嘘言っているようにしか見えないんですけど」

 何だどうしたんだその目は、さっきまでのすがるような目は何処に捨ててきた、初めて会った時の少年のような綺麗な目は何処に置いて来た。

 俺がうろたえてしまっていると、長政が意地の悪そうな目で追い打ちをかけてくる。

「何か言えない理由があるのですね?」

「いや本当に間違えただけだから」

「浅井のために、僕のとるべき行動を示してくださったら、聞かないでおいてあげます」

 そういわれても困るんですが、野良田の戦いは2年後だから今君が何をするべきか何て知らないんですけど。

「黙っていても何にもなりませんよ。何か代価がほしいと仰るなら、答えていただいたらこちらから何かお礼の品でも出しましょうか?」

 長政が物で釣り始めた。俺は何か欲しいわけではない、本当にわからないだけだ。

「わからん」

 俺の意思が伝わったのか長政が俺から離れてくれる。

「よいしょ」

 何故かはわからないが長政が急に畳を捲った。

「何してるんだ?」

 気になったので捲った畳の下を覗いてみる、するとそこには浅い穴が掘られており、その中にだいたい人の頭くらいの大きさの壺があった。

「なんだ、それは?」

「どのくらいかはわかりませんが、この中一杯に銀が入っています。これで教えていただけませんか」

 この壺の中にいっぱいって・・・いや金よりは安い、安いんだ・・・でも甲州金8粒よりは絶対に高いよな、ならいくらになる?

 確か金1両=銀7.5両だったはずだから・・・銀7.5両=32.25匁、つまり銀1両で4.3匁。1匁=3.75グラムだから・・・・・・。

 あの壺の中の銀はどのくらいの重さだろうか、金よりは軽いと言ってもあの壺のいっぱいだぞ? 甲州金はあの指先くらいの大きさで1粒20gだぞ、この壺の中には余裕で100粒とか200粒とか入っていそうだ。仮に200粒入っていて1粒10gとしよう、つまり入っている銀は2000g、つまり約530匁、よっておおよそ123両・・・円に換算して実に400~500万円。

 え、今床からぽんと出てきたよね? 500万円は余裕でありそうな大金がぽんと出てきてぽんと渡されようとしてるよ?

 晴信の時もそうだったがこの時代の人は勘定がざっくりしすぎているんじゃないのか? 手で1すくいがちょっとで、1壺でいっぱい、くらいにしか思っていないんじゃないのか?

 ちょっと俺がこの時代の人たちの金銭感覚に戸惑いを覚えていると、これを満足していないと感じたのであろう長政がさらに提案を重ねてきた。

「なら僕でどうですか!」

「・・・は?」

「その・・・僕はまだこんなんですから、経験はありませんが・・・これでも女です、そういうこともできます。それに経験がないからこそ、お兄様の好きに染めることもできます」

「待て待て! どうした、急になんだ!」

 とんでもな提案が重なってきた、まさか体を差し出してくるとは。

「そのままです、答えてくれたら僕を差し上げます。最初は面倒かもしれませんが、何日かすればすぐに周りのことは気にならなくなるはずですし・・・」

「待て・・・その・・・君をもらうというのはつまり・・・」

「僕の夫になりませんか、そうすれば浅井の力は当主の夫であるお兄様もいくらでも使えます。お金なんて今まででは考えられないほど用意して見せます、女も僕で足りないのなら妾を何人囲っても構いません。ですから・・・!」

「あんまりふざけたことを言うなよ」

 長政が必死になって訴えてくるが、俺は冷たく突き放した。

「どうしてですか! 何がご不満だと言うのですか!」

 長政も声を荒げて言い返してくる。

「僕が用意して差し上げられるのはこれで全てです! 金も、女も・・・これ以上何を用意しろというのですか! 私にどうしろというのですか!」

 長政が感情のままに吐き出してくる。

「俺は何もいらない。お前がどうしてもというなら何か答えていたかもしれないが、お前が自分を差し出すと言った時にその気がなくなった」

「どうしてですか」

 長政が絞り出したようなか細い声で言ってくる。

 きっと不安なのだ。浅井を何とかしたいという思いが長政の中にはある、しかしどうすればいいのか分からない。

 でもある日、目の前に何か知っていそうなやつが現れた。

 俺なら飛びつくだろう。これで前に進めるかもしれない。何とかなるかもしれない。

 でも期待に胸を膨らませていたのに、いざ聞いてみたら黙秘ときた。

 俺だってあらゆる手を試すのではないだろうか。金、酒、女、およそ飛びつきそうなものを試してみる。どれもうまくいかなくて最後にはこっちの必死の提案が答えない理由になっているのだ。

 やっていられない、俺なら殴りかかってでもいるのではないだろうか。

「君が自分をかけたからだ」

 長政が意外そうに俺を見る。恐らく何がいけないのかわかっていないのだろう。

「君は浅井家の次期当主なのだろう? ならそんなにふうに自分のことを粗末にしちゃあいけない」

 これは俺の考えだ。戦のない、平和な世で、命を懸けた話し合いなんてものをしたことがない人間の考えだ。こっちで通用するかはわからない、でも俺はこう思ってしまうのだ。

「君が死んだりしたらどうする、それこそ本当に浅井家は終わりだぞ」

「なにも死ぬとは言っていません」

「なら俺が腕をよこせと言ったらどうするつもりだったんだ?」

「僕は夫婦にならないかとは誘いました、しかし命を差し出したりは・・・」

「『僕を差し上げます』君はこういったんだ。君は俺に夫婦にならないかと誘う前にこう言ったんだ。そこで俺が要求を飲んだらどうしていたんだ」

「そんなの、言いがかりも甚だしい」

「それではこの戦国の世を、民を守りながら生きていくことなんてできないぞ」

「あ!」

 そこで長政がはっとした顔をする。

「最初に会った時から言っているだろ、もっと自分の発言に気を付けろと」

 初めて会った時には町中で見ず知らずの相手に身分を悟らせる発言をした。そして今も自分の身を危険にさらす発言をした。

 やっと事の重大さを理解したのか、長政が深刻そうな顔で膝から崩れ落ちてしまった。

「おいおい、そんなに落ち込むな。これから直していけばいいんだから」

 俺も膝を付いて目線を長政に近づけて声をかける。

 しかし長政は顔を上げるどころかそのまま勢いよく土下座をしてしまった。

「お願いします! 僕に人の上に立つということをを教えてください!」

 崩れ落ちたというわけではないようだ、普通に土下座しただけのようだ。

「嫌だ」

 それよりもまず俺としては、今こうして格下の相手に頭を下げていることを注意したい。

「そこを何とか!」

「しない」

 だんだんと疲れてきた、このまま適当に返事をしたいところだがちゃんと考えてしないといけない。この時代の人たちは変な解釈をする可能性が極めて高いのでちゃんと考える。

「では教えてくれなくても構いません、自分で見て学ぶので是非旅のお供にしてください!」

「これ以上増えても困る」

 実はここまで来る間にも関をこれだけの人数で通ると怪しまれているのだ。しかも周りは女の子ばかりで連れているのがでかい男、何度誤ってお縄に付きかけたことか。

「だいたい俺なんかじゃなくても、お前の周りにはもっと適した人がいるだろうが」

「誰のことですか?」

 こいつは本気で分かっていないな。

 目が真剣だ、本当にわかっていないからこんなに真剣なんだ。

「お前は前を見れば父上の背中が良く見えるじゃないか」

 浅井久政は本当にすごい人だ、彼が頑張って下地を作っていなければ浅井長政があれだけの活躍をすることは無かったはずだ。残念なのは久政が自らその下地を使うことができなかったことだな。

「・・・父上など・・・父上にそのようなことを学べるとは思えません」

 長政が吐き捨てるように言ってくる。よほど久政のことが嫌い、もしくは失望してしまっているのだろう。

「ちゃんと見たことはあるのか?」

 俺はできるだけ優しく、諭すように言ってみる。今の長政に強く言いつけても反発されるだけで意味はないだろう。

「見る必要なんてありません。見なくても今の浅井の状況を、民が暮らす町を見てみればわかります」

「本当にそうか?」

 やっぱりというかなんというか、長政はあまり久政のことを見ていないようだ。

「一度ちゃんと見てみろ。それでも考えが変わらないようなら、また2人で話してみよう」

 長政が銀を取り出すために移動したため外に出られるようになっていたので俺はそれだけ言い残して外に出た。

「待ってください! お兄様!」

「地に寝転んでみろ。下には支えてくれる民がいる、前には偉大な父や叔父がいる、右や左には敵や友がたくさんいる。もっとちゃんと周りの人を見てみろ、いろいろと分かるから。それでも困ったら上を見てみろ」

 俺は長政の返事を聞かずに部屋を後にした。

 長政は、追ってはこなかった。


「まずは何をしてたのか聞こうじゃないか」

 また正座をしています、はい。

 長政とお話しして帰ってくると、部屋で向日葵先生が仁王立ちの姿勢で待っておりました。

「一刻経ったら出発って言っておいた」

 長政と話していた時間はそんなに長くはなかった、せいぜい四半時だろう。しかし俺が城を歩き回っていた時間が思いのほか長かったようだ。俺の体感では半時もかかっていないような感じだったが、実際には余裕で一刻以上たっていたようだ。

 そして詰問された俺がお城の見学と長政とお話ししていて遅れたと説明したところ、「貴久が女と話している時間が城を見て回ったいる時間より短いなんてありえない」とのことで、俺はまたも女の子が原因で迷惑をかけていることになっています。

「本当にお城を見て回ったいた時間の方が長いんだって」

「もういい、貴久には今度体に教え込む。帰ったらお仕置きだから忘れないように」

「・・・」

 もう少し俺の人物像をいい方向に修正できないだろうか、せめてここで誰かが擁護してくれるくらいには。

「さあ、お話も終わったようですし、播州へ向かいましょうか」

 俺が詰問されている間は全く喋らなかった昌幸がここでやっと口を開いた。

「目標としては本日のうちに淡海を渡っておきたいところです」

「ならもう出た方がいい」

「りょうちゃん、起きて、もう出発するって」

 俺が帰ってきたときから段蔵の膝の上で寝ていたりょうを段蔵が起こしている。

 寝る子は育つと言うが、りょうが育った姿がうまく想像できない。

「う~、おんぶ~」

 りょうが丸くうずくまりながら眠たげな声を上げる。

「すみません、あんまり甘やかすなという向日葵様からのご命令ですので」

 さすがは向日葵先生、りょうには優しいと思っていたのだがやることはやるようだ。

「兄ちゃ~ん・・・おんぶ~」

 りょうが寝転がりながら眠たそうな目をわずかに開いて両手を俺に向かって伸ばしてくる。

「大丈夫だ、俺に任せなさい」

 言いながら俺は両を素早くおぶる。

 甘やかしているわけではない、可愛いりょうがいけないのだ。

「に~ちゃ~ん」

 りょうが幸せそうな声を出しながら俺の首に回した手にぎゅっと力を込める。可愛い。

「さあ、行こうか」

「貴久」

 後ろから底冷えのするような恐ろしい声が聞こえてきた。

「な、なななんでしょうか」

 振り返るとそこには笑顔の向日葵がいる。今の向日葵の笑顔なら景虎ともいい勝負ができそうだ。

「正座」

 向日葵が笑顔で可愛らしく、しかしとても恐ろしく感じる声音で言った。


「きびきび歩いて」

「へいへい」

 あの後正座でまた半時ほどお説教を受けていた。

 今度は起きていたりょうが「もう出発するんじゃないの?」と言ってくれたおかげでお説教から解放された。

 俺たちはこれから淡海を渡って京を通って播州へ向かう。行きになるか帰りになるかはわからないが、とらのために堺にもよっておきたいところだ。

 長政にはお世話になったが、ここでお別れを言うために会ったりするとまた面倒なことになりそうなので、悪いとは思いつつもこのまま行かせてもらうことにした。

「今から行けば、まだ淡海を渡れるでしょう」

 夜になったら船は出ない。俺にはどのくらいの時間がかかるのかわからないが、渡りきる前に日が暮れてもいけないから今がまだ明るいからと言っても安心はできない。

「なら急ぐとするか」

 俺たちは少し急ぎ目に淡海の渡し場へ向かった。

「どうして駄目なんだ?」

「なんとなくだ、俺がなんとなくやりたくねえからやらねえ」

 しかし渡し場についてみるとこれである。

 すでにいくつかの渡し場を回っているが何処も船を出してはくれなかった。

 最初は時間が少し遅くなっているせいかとも思っていたのだが、行く先々での断り方が全部「なんとなく」とか「俺の気分」とかだったのが気になっていた。試しに少し握らせてみても船頭は首を立てには振ってはくれなかった。

 さすがにおかしいと思って今回はかなり粘ってみているのだが、結果は芳しくない。

「たぶんこれは組織的なものでしょう。どうしてわざわざ客を逃がしているのかはわかりませんが」

 昌幸が言っていることは恐らくみんな分かっていることだろう。

 でもだからと言って今の俺たちにはどうすることもできない。できることと言えば根気強く交渉するだけだ。

「そんなに船が必要だって言うなら、僕が何とかしてあげようか」

 しかしそんな交渉も時間切れのようだ。

「賢政」

 後ろを振り返ると、そこにはばっちり旅支度を済ませた長政がいた。

「僕を連れて行ってくれるなら、僕が船を出すよ」

 まだついてくるのを諦めていなかったのか。

 まさか浅井家の力を使ってまでついて来ようとするとは。

「どこへ行きたいのかは知らないけど、少なくとも比叡山のあたりなら力になれるよ」

「・・・」

 俺は腕を組んで考え始める。

 ここで長政の力を借りれば今から淡海を渡ることができるし、渡った後の旅もしばらくはかなり楽なものにできるだろう。

 しかしここで長政を連れて行くと俺たちの身分がばれる恐れが非常に高い。身分がばれると人質なりなんなりと使い方はいろいろだ。さらには船の上でばれようものならこちらとしてはお手上げ状態だ。

「もう連れて行けばよいではありませんか」

 ここで以外にも長政の動向に賛成したのは小太郎だった。

「(浅井を味方につけておけば、この先六角を動かすときに使えるやもしれません)」

 小太郎が耳元でささやいてくる。

 周りから見ればこの先浅井が力を盛り返すとは思えないわけか。でも六角を動かそうと思った時には共通の知り合いがいて便利だと。

 やりたくはないが、この先織田と事を構えることになったらこの辺りの勢力を味方に付けられるのはかなり嬉しい。金ヶ崎ではないが織田を挟み撃ちにできるところにいるのは何ともありがたいし、それができなくても六角氏よりも西にいる勢力が織田に味方しようとしたときに淡海と六角氏がそれを阻む壁になってくれる。そうなればいくら領土が広がったとはいえ、まだ手に入れたばかりで領内からの反発も多いであろう織田と松平が、長尾と武田と北条の連合に勝てるはずがない。

 と、まあ浅井が味方になるとこちらとしては嬉しいこと満載なのだが・・・。

「それでも女の子を1人連れまわすって言うのはな・・・」

 こっちに来てから自分の身の丈に合わないことが多すぎる。正直このまま長政と一緒にいたらめでたく正室がもう一人増えそうな予感しかしない。

 可愛い女の子と一緒にいる、一緒に遊ぶ、そのくらいなら俺だって大歓迎だ。

 しかしそんなふうに軽く考えてくーちゃんの時みたいに嫁が増えたりしたらただ事ではない。

 まず景虎と晴信、くーちゃんに悪い。今でも何日も会えない日が続いているのにさらに待たせるのは、みんなが我慢できても俺が申し訳なくてできそうにない。

 仮に百歩譲ってみんなが納得してくれたとしても、それこそ近江ともなれば移動距離は半端じゃない。恐らく俺の体が持たないだろう。

 はたから見たら地団太踏んで悔しがりそうな状況かもしれないが、俺としてはみんなの好意と優しさに押しつぶされそうで怖い。

 だから俺としてはいくらこの先得になると言っても長政と一緒に行きたくはない。

「邪魔になったら捨てて行っていただいても構いませんから! 自分のことは自分で何とかしますから!」

 そんなふうに見捨てられないから困っている。

 絶対に連れてはいかない、頭の中ではそう考えているのだが、必死になって頼み込んでくる長政を見ているとどうしても言葉にすることができない。

 そしてさっきからだんだんと実際に景虎たちのためになるとは思えないことを肯定しようと、「しかたがない」とか「連れて行った方が後々役に立つ」などと甘い言葉が頭の中にこだましてくる。

 俺は情けないとは思いながらもきっと反対の意を示してくれるであろう向日葵を見やる。

「貴久が連れて行っても構わないなら、私は構わない」

 しかし向日葵の口からは俺の思いとは反対の言葉が発せられた。

 そしてこれで俺の思いが一気に傾いた。

「言うことはちゃんと聞けよ」

「はい!」

 長政が元気良く返事をする。


 長政が一緒についてくることになった。

 長政は約束通り船を用意してくれた。おかげで俺たちはその日のうちに淡海を渡ることができた。

 長政はお供を1人もつれてはこなかった。最初はいくらなんでも危なくないかと心配になったが、腕には自信があるらしく大丈夫だと言い張っていた。

 淡海を渡ったその日は、渡り切った時には既に日が傾いて来ていてあたりが橙色に染まってきていたので、長政が伝手で用意した宿に泊まることにした。

 宿の中で皆に長政がついてくることになった理由を話してておいた。

 ついでに長政は改めて自己紹介をしたのだが、そっこで長政は自分のことを「浅井長政」と名乗った。これからのことを考えて、六角からの独立を皆に示すためにも前々から改名しようとは考えていたようだ。

 これからの旅のことを聞いておくと、ここから京、山城へはそんなに離れていないが山道が続くからりょうやとらがいることを考えると2日かけて山を越えた方が無難らしい。山城の国に着くのはだいたい4日後くらいだと考えておくようにとのこと。

 またここは近江ではあるが、この辺りは比叡山延暦寺の力がかなり強いらしくいざとなったら浅井の名前を使えば悪いようにはされなだろうと胸を張って自慢していた。やはり浅井のことは好きで誇りに思っているようだ。

 長政が旅に加わってくれたおかげで、少なくとも京までは楽にたどり着けそうだ。

 京を通って播州へ、そしてできることなら黒田如水と友好な関係を築いて越後に帰る。

 旅はまだまだ始まったばかりだし目的はとても果たせるとは思えないものだ。

 俺の我儘で始まったこの旅・・・目的は果たせなくてもいい、だからせめて、できることなら何事もなく無事に越後に帰りたいものだ。

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