播州へ 弐ー浅井長政ー
近江国、のちの滋賀県だ。内陸だが淡海の近江と呼ばれ、淡海こと琵琶湖のおかげで海がないからどうのこうのという不便はほとんどない。唯一の問題を言えば塩が取れないことだが、近江は堺と近いから塩は堺から買えば何ら問題は無かった。
そんな近江、特に北近江をこのころ支配しているのは浅井家、浅井久政だ。「久」の字になんとなく親近感を感じる。
しかしこの久政は、六角氏の勢力に押され、配下となって領地を失ったも同然の完全服従状態。
俺の知っている史実ではあと2、3年したら浅井長政が野良田の戦いで六角承禎、今の六角義賢を破って領地を取り戻して北近江に独立するはずだ。
そして俺はそんなかっこいい浅井長政が見たいがために無理を言って近江に寄り道をしている。
「ここが小谷、ねー」
言いたくないが、はっきり言って寂れている気がする。少なくとも春日山はもっと活気に溢れている。
通りに並ぶ店を見てみれば呼び込みをしている店などない、買い物をしている客もまばらだ。さらにその客を見てみるとなかなか上等な着物を着ている人の方が多い、これは特定の人にだけお金が集まっているのではないかと推測できる。
恐らくは座が関係しているのだろう。
座は平安時代から戦国時代にかけて存在した主に商工業者や芸能者の同業者組合のことだ。朝廷や貴族や寺社などに金銭などを支払う代わりに、営業や販売の独占権などの特権をを認めてもらっていた。
後に楽市楽座令でほとんどの座は解体されるか何かしら形を変えることになる。
あまり知られていないが、この楽市楽座令は信長が考えてだしたものではない。原型を作ったのは近江の六角氏だ。
つまりここは楽市楽座令が日ノ本で一番最初に実現した場所だと言ってもおかしくはないのだ・・・いや、やっぱりおかしい気がしないでもない。
「兄ちゃん、小谷ってどこ?」
無関係と言えば無関係な小谷のこれからを真剣に考えていたところにりょうの声が入り込んできた。
「どこ、と言われると・・・だいたい日ノ本の真ん中の土地だよ。日ノ本で一番大きな湖がある場所でもあるな」
「一番大きいってどのくらい?」
困るんだよなー、子どものこういう容赦のない追求攻撃は。俺だって何でも知っているわけではない。
たしかだいたい670平方キロメートルだったはずだが・・・。
「そうだな、正確な大きさはわからないが少なくとも君たちの家を10棟並べてもこの淡海は埋まらないだろうな」
俺が琵琶湖がいかに大きいのかを具体的に表す例えを考えていたら、一人の少女が歩み寄ってくる。
少女と言っていいのかわからないが、とりあえずその少女は・・・可愛い感じがします。短く切り揃えられている髪はボサボサとしているが綺麗で男らしく見えて快活そうな印象を与える。大きな目は少年のような輝きを宿していて、見るものに元気を分けてくれるような気がする。日に焼けているから外でよく遊ぶのではないだろうか、肌は肌色よりは少し濃いが小麦色と言うほどではない。背もこの時代にしてはかなり高い、だいたい145cmくらいだろうか。
「おやおや、この辺りのことにお詳しいようで。私たちはこれから越前まで行こうと考えているのですかが、そのついでに天下の堅城と名高い小谷城を拝んでいこうと考えています。よろしければ道を教えていただけませんか?」
若干の注意の意図を込めて少女に声をかける。
着ている着物には土や埃なんかで汚れているが、その着物がかなり良さそうな着物なのとわざと汚してあるような汚れから、それなりの身分の人物がお忍びで城下を歩いているのではないだろうか。
だからそんなのじゃばれるぞ、という警告の意味を込めて話してみた。
「ほう、私のことを知っているのか」
少女がさっきまで浮かべていた少年のような快活な笑顔を消して問い返してくる。
「ん~知らなかったから、気を付けなさい、って言ったつもりだったんだどな。なんとなくだけど、今の君の返答でやっぱりそれなりに身分の高い人かなと思ったな」
これって挑発してないかな?
自分からペラペラと喋った後にいっても意味ないが、面倒ごとになったらどうしよう。
回りを見てみる。りょうはさっき琵琶湖の大きさを教えられたときから琵琶湖に向かって「お家よりでっかいのか~」などと言いながらキラキラした目で琵琶湖を見ている。向日葵先生は俺の目の前に可愛い少女が現れたからなのか少女がただ者ではないと感じたからなのか敵意をむき出しにしている・・・俺にではないと信じたい。
段蔵は・・・りょうの隣に立って一緒になって琵琶湖を見ている。昌幸はニコニコしながら、小太郎は無表情に俺を見ている。
「へえ、お兄さん、人をよく見てるね。そうだよ、僕はそれなりの身分だよ」
おお、僕、ときましたか。俺としてはこの少女の身分が高いとか低いとかよりも、この少女の一人称が「僕」であることの方が重大だ。
2000年代になるともう自分のことを僕と呼ぶ女の子はかなり希少になっていて、それだけで好きだとかなんだとか言う人がいるくらいだからな。
「で、僕の身分が高い知って、どうするつもりなのかな、お兄さんは」
「別に何もしないよ。俺は小谷城が見られればそれでおおよそ満足だ」
本当は浅井長政に会いたかったが、なんだか偉い人に見つかってしまったようなのでさっさと立ち去っておこう。
「じゃあ残りの細かな部分は小谷城で聞こうか。付いて来てよ、案内してあげるから」
少女は俺の返事も聞かずに一人で歩き出してしまう。
「昌幸、小太郎、あの子についていって大丈夫だと思うか?」
俺一人で判断できなさそうだったので、俺よりもよっぽど信頼できる判断をしてくれるであろう2人に答えを求めてみる。
「婿殿が大丈夫だとお思いなら大丈夫だと思いますよ、何しろお相手が女の子です故」
「私はついていっても構わないと思います。仮に何かあっても私が何とかしますので」
おおー頼もしい! どっかの狐とは違ってこの忍は頼りになる。
3人の意見が一致したところで、俺たちが話している間も振り返らずに歩いていた少女の元まで足早に追いかけた。
「おおーー!」
すんばらしい! これが小谷城か!
少女に案内されて俺たち一行は小谷城の城門の前までやってきていた。
ここまで来るまでに全体像を眺めて思ったが、やはりこの小谷城は素晴らしい。
周りが峻険な山々に囲まれていてまさに天然の要害だ。近くによって目に見てみればまたこれが美しい。「別にしろなんてどこも同じようなものじゃん」なんて言っているやつはとりあえず名古屋城と姫路城を見比べてみればいいと思う。たぶんそれで違いが分かると思う。
とにかくこの山の中にある天然の要害、小谷城が素晴らしいのだ。
「どうだいお兄さん、この小谷城は」
「素晴らしいとだけ言っておこう。もう少し見させてくれ」
適当に答えて俺は小谷城から意識をそらさない、今はとにかくもう二度とお目にかかれないかもしれない小谷城をこの目に焼き付ける作業に必死なのだ。
「気に入ってもらえてよかったよ。それじゃあ改めて聞こうか、お兄さんがここに来た小谷城を見ること以外の目的はなんだい?」
「まだそれ気にしてたのか」
「小谷城まで行ったら聞くって言ったからね」
少女がすでに終わったと思っていたあまり話したくない話題を蒸し返して来たので、俺は小谷城から視線を外して少女と話し始めた。
「で、何をしにここに来たんだい?」
正直に言ってもいいのだろうか、それとも言わない方がいいのだろうか。
万が一にでも、ここで浅井と何かしら事件を起こすのは望ましくない。
「まずは小谷城を見て、そのあとは美味しいものを食べる事しか考えていない。これが俺の考えている近江に来た目的だ」
ぱっと思い付いたことを言っただけだが、あながち嘘ではない。
何だかんだと言いながら、皆さんにご迷惑をお掛けしながら、もう2度とできないかもしれない旅行をしているのだ、だったら行く先々の美味しいものを食べたいと思うのも普通だろう。
近江の美味しいものってなんだ? 鮎とかだろうか? まだ近江牛とかないだろうし・・・んーわかんないな。
「それだけ?」
俺の答えを聞いて少女が気の抜けた声を出す。
「まあそうだな、それだけできれば満足だ」
あーこれは嘘だな、本当は浅井長政に会いたい。
「そんなことでいいなら僕が何とかするよ。ついてきて」
なんと女の子はそのまま門番の立っている城門を通過していった。
門番は何のためにいるのか、それは敵の侵入を防ぐためなのではないだろうか? まあ違ったとしてもそれに近い役割、人や物資の出入りを制限することだろう。
それで今何が起きたのかというと、あんまりこの城にふさわしくなさそうな格好をした少女が堂々と城門を通り抜けた、門番に一切止められることなく。
おかしいよね? 普通に考えておかしいよね?
ここから導き出される答えは、あの少女が城に頻繁に出入りしていて門番に顔を覚えられている、もしくは俺の想像をはるかに超えて超身分の高い人か、だ。
さらに言うと、あの少女はさっき俺がうまいものが食べたいと言ったらそのくらいは何とかしてやると言った。まず何とかしてやると言ったからあの子は俺たち7人に美味しいものをご馳走できるほどに裕福だということ。そしてそれをそのくらいと表現したことから、あの子の家が裕福どころか超裕福であることがわかる。
さて考えてみよう、小谷城に出入りしている超裕福な人は誰でしょう?
選択肢① 浅井久政
選択肢② 浅井長政
選択肢③ あとその他の浅井家の血を引く皆様
選択肢④ 赤尾、大豊、磯野とかの重臣
さてどれでしょう。俺の予想では④だと思うわけだ。だって浅井家の人があんな格好でおもてを歩いているなんて・・・なんかこっちならありそうだな。
誰だ、誰なんだ君は!
まさかあの子が浅井長政じゃないでしょうね? どうだろ、そうだったら嬉しい・・・いや出会い方がなんか残念だったな~。
「何してるのさ、早くおいでよ」
城門の中から少女が早く来いと手を振っている.
誰なんだろうな~、長政なのかな~気になって仕方がない。
いっそ聞いてみようか? 案外聞いてみたら答えてくれたりして。
とりあえず少女の元まで行って・・・素直に聞いてみた。
「ところでさ、まだ君の名前を聞いていなかったね、何て呼べばいい?」
これで長政だったらどうしよう、とりあえず感動して泣いておこうか?
「ああ、僕の名前は浅井賢政、これでも一応はここの領主の子どもでそのうち家督も継ぐことになると思う。だからこの城の中での安全は保証するよ」
「・・・」
「ん? どうしたんだい、急に固まっちゃって」
少女が・・・賢政がなにか言っている、しかし俺には聞こえなかった。
俺はふらふらと賢政の方へと歩いていく。
「ど、どうしたんだい、その感情が全く読めない顔は怖いよ!」
賢政がまたなにか喋っている、そして一歩後ろに下がった。
俺も一歩前に進んだ。
賢政は二歩目を踏み出さなかったので、やっと俺と賢政の距離が手を伸ばせば届くくらいに縮まる。
そして俺は予備動作もなくおもむろに手を賢政に向かって伸ばした。
「え?」
俺は右膝を付いて賢政の左手を両手で握って言った。
「好きです、尊敬しています、頑張ってください、本当に応援しているので」
浅井賢政、一度新九郎と名戻し、後に名乗った名は浅井長政だ。
いかん、感動が有頂天だ、頭が馬鹿になっている。
景虎や晴信に会ったときでもこんなに気持ちが高ぶったりはしなかった。
なぜなら俺は景虎と晴信を知っていた、本の挿し絵でだが見たことがあった。だから2人と会ったときにもえらく感動したし頭の中は「ひゃっほーーーう!」とかなってはいたのだが、2人とは会ってから誰だか確信できるまでに心の準備ができた、だから今回ほど大袈裟な反応は示さずにすんだのだ。くーちゃんの時は・・・くーちゃんだから。
しかし長政は違う、地元の尾張からそれなりに近かったこともあって何度も小谷城跡だったり何だったりと浅井に関わるいろいろなところを見て回ってきた。その結果なんとなく浅井には思い入れが強い。これは亮政、久政、長政3人に言えるが、長政はさらにテレビや本で多く取り上げられているからより思い入れが強い。
ああいけない、まだ興奮が収まらない。そういえばどうして俺は手なんて握っているんだ? 今の俺の感情をできるだけ正確に表すなら、どちらかといえばひざまずいた方が近い気がする、今からでもひざまずいた方がいいかな?
「貴久」
後ろから強烈な殺意が!
慌てて振り向いてみればそこには鬼も裸足で逃げ出しそうな形相をした向日葵が立っていた。
「旅の前にみんなとどんな約束をした?」
景虎との約束を聞かれていたのだろうか、それとも向日葵自身が言っていた嫁を増やすなということだろうか、どちらにしても向日葵先生は殺すと言っていたような気がする!
「待て待て待て! 話せば、話せばわかる! 勘違いなんだ! 俺の言い方が悪かったのは謝るから!」
やっぱり向日葵さんが怖いです!
旅のここまでの道中ではこんなことが起こらなかったからすっかり忘れていたが、向日葵先生は俺なんかよりずっと強くてその強さは景虎のお墨付きだったんだ。
「なら、とにかく話してみて」
向日葵が周りに撒き散らしていた怒気を少しばかり収めて説明を要求してきた。
「ああ、えっとだな、俺は・・・!」
・・・言えない、500年先の世で知った浅井長政のことが好きだったなんて。
俺が先の世から来たことを知っているのは今のところ景虎と晴信とくーちゃんの3人だけだ。こんな情報はできる限り知られない方がいい。どうしても話さなきゃいけない人にだけ話しているが、今回はその限りではないだろう、俺が向日葵先生の攻撃に耐えればいいだけだ。
俺は覚悟を決めて向日葵に向かって正座で向き直る、それを見て向日葵はにやりと笑う。
「お仕置きをしていいと?」
「はい」
その代り何の説明もしないからな。
「じゃあ私のことを嫁に・・・」
「りょう、とら、今夜・・・」
「私と一緒に寝よう」
向日葵がいつものように嫁の話を持ち出して来たので、俺が今日できて向日葵が割と満足できるところに話を持っていく。
「忘れるな、今度またこんなことをしたら一緒に寝るだけじゃ許さない」
「分かった分かった」
俺としては4人で一緒に寝ることが多くなってきた最近では向日葵と一緒に寝てもどうということはないと思っている。しかし次はこれ以上が出てくるそうなのでできるだけないようにに気を付ける。
「ごめんな、こっちだけで話しちゃって」
話が終わったので、恐らく呆然と見ていてくれたのであろう長政の方を見る。
「・・・」
見てみると、長政は俺の方を見ずに視線は空中をさまよっていて、俺の動きや声に反応している様子もない。
いったいどうしたのだろう。
「おーい」
試しに声をかけながら目の前で手を振ってみる。
10回ほど振ってみたがまったく反応がない、仕方がないので周りのみんなに助けを求めてみた。オーディエンス使います。
「肩辺りを掴んで揺すってみてはいかがですかな?」
「浅井とつながりを作りたいとお思いならそうするべきかと」
昌幸に意見に小太郎が同意した。
「嫁を増やそうとするな、女と関わるな、さっさと次に行くべき」
「そうです、早く次の目的地まで行きましょう!」
向日葵が恐らくは京か堺へ行こうと言い、とらが堺へ行こうという。2人はここを発ち去りたいようだ。
「たかいたか~い!」
「わーい! たかー・・・兄ちゃんほど高くないけどわーい!」
りょうがなんだか失礼なことを言っている相手が加藤段蔵。
この2人は放っておこう。
うむ、図らずもフィフティ・フィフティを使ったような結果になってしまった。
さてどうしようか、ここで選択を誤れば下手したら長尾と浅井の不仲の原因を作ることになってしまう。
もしかしたら長尾対浅井の戦いは、長尾・武田・北条対浅井の構図になるかもしれない。そうなったら浅井は間違いなく味方を作ろうとするはずだ、その相手はあくまで浅井が立派に独立すると仮定してだが、史実から見て朝倉と織田、現状の勢力図から見ても織田は間違いなく浅井と手を組むものと思われる。
織田は先日駿河を手に入れている、だから織田は甲斐武田と領土を接している。俺は、織田は天下統一の野心があるとみているから、このまま俺たちの同盟が力をつけて行くのは面白くないはずだ、何とかして早いうちに俺たちの力を削ぐかこれ以上力が集まらないようにしたいはずだ。
朝倉についてはよくわからないが、そもそもこの話は浅井が独立したらの話をしているので、朝倉は浅井と親しい間柄となっているはずだから恐らくは浅井と共闘するものと思われる。
さて、どっちだ。どっちを選べば無事にこの場を切り抜けられるのか・・・テレフォンはないから景虎や晴信には相談できない・・・・・・逃げよう。
三六計逃げるに如かず。
悩んだ末に出した結論だ、誰も文句は言うまい。というか俺にこんな重大な決定を迫らないでほしい、こういう外交的なことはぜひとも本当の国主様たちにお願いしたいところだ。
「よし、みんな回れ右、さっさと次行くぞー」
皆がそろって後ろを向いた、正直この時代で回れ右が通じるとは思っていなかった。
「駆け足、前へすすめ」
皆が前へ進む、俺も足を動かしている・・・なのにどうしてだろう、俺と皆との距離が開いていく。
どうしてか? 理由は簡単だ、俺の着物を長政が掴んでいるからだ。
どうして長政は俺の着物を掴んでいるんだ?
「あの、すみません、離してもらえませんか?」
「・・・」
声をかけても返事がない。やりたくないが仕方がないので振り返ってみる。
「・・・」
見たのは間違いだったかもしれない。長政の顔が赤かった、なんだかとろんとした顔で俺を見ていた気がする!
「あの・・・」
振り向くなよ俺、絶対に振り向くんじゃない。振り向いたらお終いな気がする。
「げ」
俺が付いて来ていないことに気がついた向日葵が立ち止まって嫌そうな顔をして俺を見ている。
それに続くようにみんなも足を止めて俺を見ている。
「誰か助けてはくれないのか?」
皆見ているだけで俺を助けようとはしていないのが気になる。特に向日葵はどうしたのだろうか、絶対に俺と女の子がこんなことをしていれば引きはがしに来ると思っていたのだが。
「あの・・・お兄様」
おおおおおお兄様⁉ 待ってくれ、それはやりすぎじゃないか?
「その、僕なんかと仲良くしてもいいことなんてないよ。ほら、今の浅井なんてこんなんだしさ」
それなら早く離してくれないだろうか、俺は今君と関わりたくないんだ、浅井長政のことは今でも好きだが今は自分のためにも国のためにも逃げたいんだが。
「でもお兄様がどうしてもって言うなら・・・」
言わないから、言わないから僕を行かせてくれ!
「さ、さあ! 美味しいものが食べたいのでしょう、早く中へ!」
俺は最初は抵抗を試みたが、例にもれず長政も見た目とは裏腹に俺よりも力が強いのでどうにもならず、諦めた。
皆も俺が引きずられていくのを見て、諦めて俺たちについて来た。




