やきもち
川中島で晴信と別れてから早10日、やっと帰ってきました越後の春日山城。
「なんか・・・帰ってきたって感じがする」
実際に往復にかかった日数と川中島で作業をした日数を足せば1月近く春日山城から離れていたことになる。
大半は移動していただけだというのがもったいない、簡単な自転車とか作れないだろうか? チェーンとかタイヤとか作れないから無理か。
「あら、ここがあなたの家だって言う自覚はあるみたいね。でもこのくらい空けただけでそんなことを言っていたら越後と甲斐を往復するなんて無理よ」
「だな」
越後から川中島までであれだけ時間がかかっている、甲斐までとなったらさらに時間がかかる、その上1日2日で帰るわけでもないからこのくらいで恋しくなっていたら途中で死んでしまうのではないだろうか?(兎は寂しいと死んでしまうらしいしな)
「嘘でもいいから「その通りだ! だからやっぱりずっと越後にいたい!」とでも言ってみたら?」
景虎が冗談めかして言ってくる。
とりあえずこの自分だけか楽しめることを考えていそうな景虎の笑顔を消したい。
「その通りだ! だからやっぱりずっと景虎と一緒にいたい! 好きだ! 景虎!」
景虎の正面に回って両肩をつかんで真剣に言った。
「・・・」
景虎の笑顔を消すことに成功した。しかし俺の予想では呆れられると思っていたのに景虎は放心している。
・・・嫌な予感がしてきた。
「か、景虎?」
「はっ!」
名前を呼ぶと景虎が復活した。そして景虎の顔がみるみる赤くなっていく。
「わ、わかってるじゃない! そそ、そこまで言うなら考えないでもないわ、あなたは屋敷で待ってなさい、今すぐに武田を滅ぼしてくるから!」
ほら変なこといいはじめた!
「待て待て景虎、なに言い出してるんだ!」
「安心しなさい、あなたの気持ちは伝わったわ。あなたを悩ませてる元凶は私が消してきてあげるから少しだけ待ってて」
何もわかってなかった、言えと言われたから少しだけ気持ちをのせて言ってみたらえらい解釈をされてしまった。
「安心なんてできるか! 俺は武田を滅ぼしてくれなんて少しも思っていない!」
「なっならさっきのはなんなのよ! す、好きって、あんなに真剣に・・・」
殺されないといいなー。
「景虎が・・・言えって言ったから・・・俺だって恥ずかしくない訳じゃないからな!」
恥ずかしい、さっきのもそうだが今の台詞も主人公がいう台詞みたいで恥ずかしい!
「な、何でも言う通りにすれば良いってものじゃないわよ」
「ああ、よくわかった」
もう二度とあんなに軽率に告白などしてたまるか、恥ずかしい。
春日山城に帰った来た翌日、よく寝ました。
それはそれはもうたっぷりと。
そして寝坊しました。
朝起きると目の前には満面の笑みを浮かべた景虎さんが。
「今日も可愛いな、景虎。抱き締めたくなる」
布団の上に正座をしながら精一杯の感情をこめて言わせていただく。
昨日軽率に告白などしないと決めたばかりだが仕方がない、少しでも生存率を上げなくては。
「よくそんな口が叩けるわね」
景虎の笑顔が崩れない。
「いや・・・その・・・」
「理由は、わかってるわね?」
はい、私は寝坊しました。草履取りの仕事を全うできませんでした。
「どうなるか、わかってる?」
「命ばかりは・・・」
返事を聞いた景虎が俺に迫ってくる。
「な、なにを・・・!」
景虎が俺を布団の上に押し倒す。
「黙ってなさい」
騙されるな、慌てるな、俺。
落ち着いてよく見るんだ、景虎は笑顔のままだ、つまりなにか裏がある。おそらく慌てる俺をみて楽しむつもりなのだろう。
そうとわかっていれば慌てるものでは・・・無理です慌てます。
「待て待て待て待て待て! 近い! 近いから!」
無理です、好きな子にこんなことされて平常心を保つなんて無理です。
「静かに」
景虎の手が俺の頬に当てられる。そのままだんだんと景虎の顔が近づいてきて・・・おでこがあわさる。
「今あなたが期待したことは、祝言のあとよ」
文字通り目と鼻の先で景虎がなんとも官能的なことを言ってくる。
「え・・・あっいや・・・」
き、期待したこと・・・この野郎・・・。
「分かったならさっさと出かけるわよ」
「おい待て、今のは何だったんだ。冗談でやって良いことと悪いことが・・・」
起き上がりながら文句を・・・。
「何が言いたいの?」
「こ・・・この野郎・・・」
いつまでもこの威圧感だけでどうにでもなると思うなよ、いつかはこの威圧感を跳ね除けてギャフンと言わせてやる。
「いいわよ、もう一回くらいやってあげても」
「な、なら、やってももらおうか」
怖くても言葉で反撃できるくらいには慣れてきたようだ。
「慣れてきたとか、考えてるんじゃない?」
また景虎の顔が少しずつ近づいてくる・・・そしてそれに比例して威圧感が徐々に大きくなっていく。
「は、はは・・・」
俺はまだまだ甘かったようだ・・・怖くてたまらない。
景虎が少しずつ近づいてくる、顔が・・・唇が・・・いや惑わされるな、おでこだ! おでこ!
このままいけばおでこが・・・あれ、顔が傾かない・・・このままだと本当に唇が・・・・・。
そんな淡い期待が俺の頭に浮かんだ瞬間・・・景虎の顔が消えた。
「え」
「こっち」
「っ!!」
景虎が後ろから俺を抱きしめて耳元でささやく。
「ぁ・・・ぃ・・・」
また声が出ない。閻魔か何かに心臓を握られているような気がする。何をしてもいけない、何かしたら死ぬ・・・それしか考えられない。
「駄目よ、そんなことじゃ戦場に出たらすぐに死んじゃうわよ。もっと、私をちゃんと見てなさい」
怖い、呼吸すらままならない。
「返事は?」
返事をしないといけない。
でも返事をしない、いや、できなかった。
俺はすでに意識を失っていた。
「おい離れろ、恥ずかしい」
「へ~、まだそんなこと言うんだ。もう一回する?」
「覚えてろよ」
景虎が俺の腕を抱きながら不吉なことを言ってくる。
今俺たちは祝言のときに着る白無垢を買うために町に出ている。
別に城に呼び出してもよかったのだが景虎が行くといったから一緒に来ました。逆らう? なんですかそれ? 美味しいんですか?
俺が意識を失ってから約半時、景虎は飽きもせず俺の顔を見ていたらしい。
そしてほっぺをつんつんしていたら俺の目が覚めたらしい。
腹が立つ。
俺の目が覚めたら「おはよう」とかめちゃくちゃ可愛い笑顔で言ってくるんだよ、本当にもう・・・抱きしめたい! あ、間違えた、いつか仕返ししてやる。
「これはこれは景虎様、この度はどのような用件で」
結局店まで腕を組んだままやってきた。
「今日は白無垢を作ってもらいに来たの」
「・・・・・はい?」
「白無垢よ、し・ろ・む・く」
たぶん何が欲しいのかはちゃんと伝わってるから何度も言い直さなくていいと思う。
「あ、ああ! どなたかにお送りするのですか! ではその方の寸法を教えてください」
「?」
景虎がよくわからないみたいな顔をする。
「いえ、ですから・・・」
「何言ってるのよ、今欲しい白無垢は私のよ。できるだけ早く欲しいわ、でき次第貴久と祝言を挙げるから」
そう言いながら景虎が俺に抱き付いてくる。
店主が俺の顔を見てくる。
「変な勘繰りはするな、俺は早く帰りたいんだ、頼むからさっさとやることやって俺を返してくれ、早くこいつと離れたいんだ」
店主が俺と景虎の顔を交互に見る、そして。
「おっお祝い申し上げます!!」
店主がひれ伏す。
「店主、下らないことはしなくていいわ、あなたは言われた通りにさっさと私の白無垢を仕立てればいいの、余計なことをして私と貴久の幸せな時間を削らないで」
「景虎、お前の話も長い」
「は、はい。それではさっそく採寸を・・・」
「おい店主、あんたがやる気じゃないだろうな? 許さんぞ?」
惚気るつもりはないが、好きな女の体をその人の家族だろうが何だろうが触られるのは気に食わない。
「もっもちろんです! おい、お前たち! 早く景虎様を別のお部屋へお連れしろ!」
このお店で働いているのであろう女性が何人か出てきて景虎を連れて別の部屋へ。
「じゃ、すぐに戻ってくるから」
可愛らしく言い残していく景虎。
「・・・」
「・・・」
店主と俺の二人が残される。
「あの・・・」
店主が恐る恐る聞いてくる。
「何か?」
「恐れながら・・・あなた様はもしかして、景虎様の・・・」
「ああ、そうだ」
別に隠すことでもないし、祝言を上げたらどうせばれる。それでなくてもさっきまでの景虎の態度を見ていたら察しはつくだろう。
「ではあなた様はどこかの国のご当主様でございますか」
「いや、そんなたいそうな身分じゃない」
そういえば俺のことはどこまで言ってもいいのだろうか?
対外的なことも考えるとそこらへんの農民ってことにするのもよろしくない・・・あ、主人公がすでにやってるか。
俺が一人で難しい顔をして悩んでいると店主もそれ以上は聞いてこなかった。
「お待たせ」
「全然待ってない、むしろ早すぎないか?」
まだ俺が考え始めてまだ数分しかたっていない。
「そのくらいいい店を私が選んでるの」
「そうか」
「それじゃ、また来るからできるだけ早く仕立てておいてね」
「はい、最優先でやらせたいただきます」
店主が頭を深く下げながら俺たちを見送る。
そして当然のように景虎が俺と腕を組む。
「どうして当然のように腕を組んでこられる」
「夫婦だもの、当然でしょ」
当然らしい。
「やっぱり、わからないものだな」
「なにがよ?」
「景虎のこと」
なんとなくツンデレだと・・・いや、本ではツンデレだったからそうだと決めつけていた。
「私の何がわからないの?」
「あまり人前でイチャイチャしたりしないと思ってた」
「・・・」
とたんに景虎が心配そうな顔をする。
「どうした?」
「貴久は、こういうことしない、もっと奥ゆかしい子の方が好きなの?」
俺の腕を抱く手に力がこもる。
ふと見てみれば景虎の体が見てわかるほどに強ばっている。
「なんだ、そうだと言ったら合わせてくれるのか?」
俺の返事を聞いて景虎がゆっくりと俺の腕を離す。そして俺の半歩後ろを歩く。
「お、おい、どうした」
「何でもないわ」
口調は変わっていないが態度が少し奥ゆかしくなった気がする・・・が、明らかに無理をしている気がする。
「気にしないでいいわよ、もともとこれが普通だったんだから」
だった、か。
ま、昔はそうだったのかもしれないが、今は今だ。
「っ!」
黙って景虎の肩を抱く。
「昔がどうだったかは知らない。知らないが、俺の知ってる今の景虎は、もっと積極的に絡んできてくれる可愛い女の子だ」
「・・・どっちなのよ」
肩を抱いたまましばらく歩いていると景虎がぽつりと言葉を漏らす。
「どっちとは?」
「あなたはどんな性格の子が好みなの」
どんな性格か? か。今まで具体的に考えたことはなかった。
見た目ならこんなのが好きだー! とか考えたことはいくらでもあるが性格を具体的に考えてみたことはなかった。
ここは何も考えずに「君みたいな性格が好きだ! だから祝言を挙げようなんて考えたんだ!」とか言っておけばいいんだろうか?
でも景虎にはばれそうな気がする、ここは一度真剣に考えてみよう。
まず考えられるのは現実として俺は景虎と晴信のことが好きで祝言まで視野に入れているということだ。ならば二人の性格を言えばそれが好きな性格だと言えるのではないだろうか?
なら二人の性格は?
景虎は・・・我儘? 自分勝手? たぶんその二つののどっちかだよな。
晴信は・・・思い込みの激しい子? たぶんそうだな、これは決定。
そして二人ともとてもとても優しい、こっちが困るくらいに。
こうして考えてみると性格酷くないか? 我儘で自分勝手、そして思い込みの激しい子、よくもまあそんな子が好きになれたものだ。
「分からん」
でもさっきの性格が好きとか言ったら絶対に何か困ることを言ってくるから言わない。
「分からんって何よ」
「分からんものは分からん。今までろくに考えたことがない。
ただ一つ言えることは、俺は初めて会った時から今日までの景虎のことが好きで、祝言を挙げともいいと考えるほどだってことだ」
景虎は不満そうな顔でこっちを見る。しかし何も言わなかった。
「なら・・・」
それだけ言ってまた腕を組んでくる。
「そうしたいならそうしてろ」
「五月蠅い馬鹿」
顔を赤くしてそっぽを向きながらそんなことを言ってくる。そんなことを言いながらも腕はしっかりと組んでいる景虎。
勝った。
俺が一人で勝ったと思いながら満足感たっぷりに街を歩いていると子供がこっちに向かって走ってくる。
「兄ちゃん!」
「おおー、りょうじゃないか! 元気にしてたか!」
そういえば昨日は帰ってきて特に何もせずに寝てしまったし今日は起きたらすぐに景虎と出掛けてしまった、だからりょうと会うのは約1月ぶりだ。
「元気だったよ! 兄ちゃんも元気してた?」
「おうおう、もちろん元気だったぞ」
「ぎゅー」
りょうが俺の腰あたりにぎゅーとしてくる、俺もぎゅーとして返してやる。
たくもう、りょうは可愛いな~。
「・・・」
俺がりょうを抱き締めながら幸せを噛み締めていると景虎が真剣な顔でみてくる。どうしたのだろうか?
「どうした、景虎?」
りょうの頭を撫でながら景虎に聞いてみる。
「気にしないで、あなたはあなたのしたいようにしてればいいのよ」
淡々と言ってくるがその目が真剣すぎて怖い。
「よくわからんが、やきもちなんてやくなよ? 景虎は俺の奥さんだ、りょうは・・・娘? みたいなものかな」
「娘? じゃあ兄ちゃんは父さんだ!」
りょうの目がキラキラしている。これはぎゅーとするしかない。
ぎゅーとしてあげるとりょうも笑顔でぎゅーと返してくれる、子どもの笑顔は最強だ。
幸せいっぱいにりょうをぎゅーとしていると突然景虎が背中からぎゅーとしてくる。どうした。
「どうしたんだ景虎、やきもちか?」
「いいでしょ、娘がしてもいいなら奥さんだっていいじゃない」
可愛い、顔は見えないが行動が可愛い!
だがどうしたんだ、景虎ってこんな子だったっけ?どちらかというとまずは俺とりょうを引きはがすところから始めると思っていたんだが・・・所詮は本で読んだだけの印象ということか。
「景虎、俺としてはそういうことをしてくれるのは嬉しいんだが・・・ここでやるのは止めて欲しい」
ここは町中だ、町中で前後から女の子に抱き付かれているのは非常に目を引く。
景虎の顔は真っ赤になる、可愛い。
りょうの顔はどうして? みたいな顔で首を傾げる、可愛い。
俺の顔も真っ赤だ、普通に恥ずかしいです。
俺がそのまま固まっていると景虎が俺の手を握って早足に歩き出す、りょうは俺は手を放してしまったが当たり前のように俺たちについてくる。
景虎に手を引かれたまま屋敷まで帰ってきた。
そしてそのまま景虎の部屋へ直行する。
りょうもついて来ようとしたが景虎が追い出した。
「・・・」
障子を閉めたところで景虎がつかつかと近づいてくる。
「ど、どうした」
目の前まで来ると急に立ち止まる。
「どんな子が好みなの」
「は?」
「だから、どんな子が好みなの! 元気な子? 静かな子? 髪は短い方がいいの? 長い方がいいの? 教えてよ! ちゃんとあなたの好みに合わせるから!」
何を言い出してるんだ、景虎は。
「どうしたんだ景虎、合わせるって何だ、なんか今日の景虎はおかしいぞ」
「おかしくなんてないわ、奥さんが夫の好みに合わせようとして何がいけないのよ」
「それは別に嬉しいが、景虎がやるとおかしい感じがする。
なあ、話してみろ、どうして急に合わせようなんて考え始めたんだ?」
景虎は少しの間うつむいていたが、意を決したように話し出した。
「・・・晴信と、祝言を挙げるんでしょ」
「ああ、そうするつもりだ」
また景虎が長い間を取る、俺も景虎が話し出すまで黙って待ち続ける。
「りょうのことも娘みたいに思ってるって言った」
「そうだな」
「・・・私は」
「ん?」
「私はどうなの?」
「どう、とは?」
「晴信やりょうのことも好きなんでしょ、私のことはどうなの?」
何を言い出しているんだ景虎は?
「好きに決まってるだろ、好きじゃなかったら祝言なんて考えない」
「でも私には何もしてくれないじゃない」
それでか、晴信の頭をなでたところは見せていないはずだが盗み見でもしたのだろうか。
「そうか、だから今日はやたらとべたべたしてきたのか」
景虎がうつむいたまま小さく頷く。
「今度からはちゃんと言うんだぞ」
俺は景虎を抱きしめる。
「それにちゃんと言っただろ、景虎は俺の好きな景虎なんだから変わらなくていい、そのままでいてくれって」
「でもあなたが私以外の人を好きになったら私が悪いのよ」
「それは俺が景虎のことを好きじゃないってことにはならないだろ」
「うん」
景虎がやけにしおらしい。
「分かったら、いつも通りにしていればいいんだ」
しばらく景虎を抱きしめながら背中をたたく、景虎の手もいつの間にか俺の背中に回されている。
「ありがとう」
「ん」
景虎は元に戻ったみたいだし、よかったよかった。
と、簡単にいくわけもなかった。
「ん?」
体が・・・離れない。
「どうしたんだ、景虎」
景虎が手を放してくれない。
「あなたがそれでいいなら、いつもの私でいるわ」
「だったら逆に手を放すんじゃないのか?」
「そんなわけないでしょ」
何だ、景虎が手を離さない理由は何だ。
「あなた、晴信のことも好きなのよね」
「あ、ああ」
「つまり私の魅力が足りないからあなたの気が晴信にそれたってことよね」
「なんでそうなる、俺は二人に優劣をつけた記憶なんてないぞ」
「だって、あなたが私以外の女の子を好きになるのは私の責任なんだもの」
「確かにそんなことも言ったが、納得しての付き合いだろ!」
「私のことをこの世の誰よりも愛してるって言ってくれたのに私と晴信で優劣はつけてないんでしょ?」
景虎の腕に力がこもる、俺の腰が悲鳴をあげる。
「お、落ち着いてくれ、景虎・・・!」
折れる折れる! 背骨が折れる! 背骨が折れたら死ぬ!
「ならどうして誰よりも愛してる私と晴信で優劣がないのか、私が納得するような説明をしなさい」
「そ、それは・・・」
「それは?」
「他のどの男よりも景虎のことを愛している自信があるって意味で、他のどの女の子よりも景虎のことを愛しているわけでは・・・だな・・・こう、100人の景虎のことを愛してる男がいたとして、俺はその中の誰よりも景虎のことを愛している自信があるが、景虎を含んだ100人の可愛い女の子がいたらその中の誰よりも景虎のことを愛しているという自信はない、みたいな」
苦しい! これで景虎が納得するとはとても思えない!
「ふーん。つまり私はそんな薄っぺらい愛してるに騙されたってわけね・・・」
「いや騙したわけでは・・・」
「あの世で後悔しなさい!」
景虎の腕にさらに力がこめられた。
「ぎゃーーーーーーー!!!!!!」
俺は悲鳴をあげながら意識を手放した。




