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割とどうでもいい世界で  作者: くまじ
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38 砦の街

この世界にはダンジョンがあるらしい、ダンジョンと聞いた時に奈津希のテンションは一気に上がった、ただダンジョンはランクDから立ち入れる所は少数で、基本的にはランクCからが適正ランクだそうだ、これで奈津希のテンションは一気に下がった。


だがベステノーアのダンジョンはランクDかららしく奈津希のテンションは急上昇した、聞き覚えのある街の名前に、思い出したハイペリオン湖畔の街ディノーラと対を成す街だ、奈津希は早速行こうと言い出したが、ここで常識相談役受付嬢のソフィアさんからの注意事項の説明があった。


「ダンジョンについてご説明します。ダンジョンで討伐した魔物の素材買取りは致しますが、フリーランサーの依頼達成ポイントは依頼を達成した時につくポイントで、ダンジョンの魔物を討伐しても、それがどれ程レアであろうとも依頼ではないので達成ポイントは付きません」

「言われてみれば、そのとおりですね」


「次に、ダンジョンで討伐した魔物は10分程で魔石と素材を残して消失します、残った魔石と素材はダンジョンの外に持ち出せます。また、消失前に解体して食肉として分離すれば、分離したその肉は10分経っても消失する事なく肉は熟成期間なしで直ぐ食べられます、ただし、ダンジョンの中では食べられますがダンジョンの外へは持ち出せません、ダンジョンを出た瞬間に消失します」

「これは材料として調理したり、収納魔法やマジックバッグの類に収納したものや、食事して胃の内容物であっても形のある物は消失する事が確認されていますので実質的に持ち出せません」


「実質的?とはどういう事でしょうか?」

「はい、あの、消化して排泄物として物質が変化したものは持ち出せます」

奈津希は、あ〜っと言っていた

「すみません、無粋な質問をしました」

「いえ、ダンジョンの質問では避けて通れませんので」


「じゃあ、ダンジョンからは何も持ち出せないん?」

「はい、ダンジョンから持ち出せるのは、宝箱のアイテムや宝、討伐後10分経って消失しなかった素材になります」


「つまり、ダンジョン内の出入り口で腹一杯食べても、直ぐに一歩ダンジョンの外に出れば、持ち込んだパンや野菜以外は消えてしまうから太りにくいという事ですね」

ソフィアさんは花が咲いたような満面の笑顔で答えてくれた。

「タテキさん斬新ですね、そのお考えは初めてお聞きしました」

横で奈津希は腹を抱えて笑っていた。


「ダンジョンの説明は以上になります」

「ありがとうございました」

「ありがとうごいます」


「じゃあ干城早うベステノーアに行こうか」

「奈津希ちょい待って、ダンジョン行くんやったら剣買って行った方が良かっちゃなか?」

「そういや、そうじゃの、魔法使うゆうても短剣1本じゃのう」

ギルド近くのログナーさんの店に向かった。


「こんにちは、ログナーさん」

「こんにちは」

「タテキとナツキか、短剣のメンテか?」

「いえ、ロングソードを買おうと思いまして」

「ロングソードか扱えるのか?」

「はい、大丈夫です」

「しかしその身長にこの長さじゃな、グラディウスならどうだ?」

「グラディウスですか?」

「ちょっと待ってろ………これだ」

刃渡り50cmくらいの剣だった。


「丁度いい長さですね」

「そうだろう、ロングソードを持つにはもうちょっと待ちな」

「あと短剣を2本づつ買います、短剣でしたら両手で使って良い感じでしたので」 

「ナツキもなのか?」

「はい、ログナーさん、よろしゅう」

「お前さん達器用だな」

貯金は2500ネラを超えてる、予算に余裕があるので色々選べた。


「それじゃあ、グラディウスが60ネラで短剣2本で50ネラ、合わせて110ネラだな」

「はい、110ネラです」

奈津希も110ネラ払い、ログナーさんは剣を下げる為のベルトをオマケで付けてくれた。


ベルトを巻き、左の腰にグラディウスを下げ、短剣2本は空間収納にしまった。


「ログナーさんありがとうございました」

「ありがとうございました〜」


店を出たあとどうやってベステノーアに行くか考える


「さて、どがんしてベステノーアに行こかな」

「いつもの走るんでええんじゃない?」

「早くベステノーアに行きたかっちゃなかと?」

「ああ、そこまで時間詰めんでもええんよ」

「良かと?」

「ええんじゃ、なんでもかんでも時間詰めとったら、余裕がのうて楽しめんやろ」

「そしたら……食い物は結構ストックあるかな」

「そうじゃね、ボチボチ色々作って2週間分くらいはあるよ」

「そしたら行こうか」


そいからいつもの身体強化マラソンで街道ば走り、途中の分かれ道ば左に、気楽に走ると景色も見ゆる、遠くに見えとる山って以外と稜線がなだらかなんやな、そして今まで景色を楽しむ余裕もなかったんやなと気付いた。


なるほど、余裕がなくて楽しめないか、最初は金がなくて余裕はなかった、金に余裕が出来てからは何に追い立てられて余裕がなかったんやろう?多分自分で自分を無駄に追い立てたんやろうな。相変わらず奈津希は目端が利いて、いつもそっと教えてくれる。もしオイ一人で召喚されとったら、なんも気付かんまんまに自滅して、とっくに潰れとったっちゃろうな。


陽も西日になってきた、そろそろ休もうか。


「今日はそろそろバーチャルエリアで休もうか」

「そうじゃね、そうしようか」


風呂に入っている間に奈津希が夕食を作り。

二人で夕食を食べて、食べ終わったら洗い物を済ませる。

その間に奈津希が洗濯機に洗濯物を突っ込んで風呂に入る、風呂上がりに洗濯物を干して。

諸々終わって寝る。


すっかりいつもの流れになった。


今日の奈津希は、そう言えばズボン買ってたな男物やけど、シャツにリボン、サスペンダーで吊ったスボン、腰にグラディウスを下げて。


「ええね、ええね、動きやすいわ」


こっちの世界はスボンは男が履くものって固定観念があるから、どう見られるかやね。


「ベステノーアは湖の向こうやっけん、バーチャルエリアでもう一泊せんばね」

「ええんじゃないの、ボチボチ行こうや」

「慌てる理由はなかけんね」

「ほうじゃの」


そろそろ行くか、身体強化マラソンで走り出す。


今日は意識的に景色を楽しみながら走る事にする。


考えてみれば今まで景色を楽しみながら走ろうなんて考えなかったな、こっちに来て最初に景色を楽しめたのはラエスタでレナード川と川の向こうのレモラント連峰を見た時だったな。


「奈津希昼めしどがんする?時間あるしキャンプ飯にする?」

「ええね、偶にはやらんと野営の仕方を忘れるけぇねぇ」


昼飯は久し振りに土魔法で竈門を作って煮炊きする。


黒パンと目玉焼きに野菜炒めと、奈津希特製魚介スープ。


飯を作る時はライフワークを調理師に変えるのを忘れない。


食事と竈門の撤去などを済ませて、身体強化マラソン。


奈津希と景色の話とかをしながら走る。


夕方になりバーチャルエリアでいつものように過ごし

奈津希は昨日のズボンスタイルが気に入ったのか、今日も2本目のズボンだ。


「ベステノーアの服屋で気に入ったズボンがあったら買い足すわ」


そんな話をしながらベステノーアに着いた、こちらも湖畔の街だった。ベステノーアはリラディレーヌ女子爵が領主の人口4万人の街で、領主館は砦のような見た目だ、多分ダンジョンがあるからだろう。













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