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割とどうでもいい世界で  作者: くまじ
37/40

37 ゴブリンの魔石取りを失念してました

城に一つの報告書が上がってきていた、干城と奈津希の盗賊討伐に関する、傭兵ギルドからの報告だ。


フリーランサーギルドは多くの国を跨ぐ組織である為に国との関わりは蛋白で礼を失しない程度だが、傭兵ギルドは国との関わりは強く良好だ、干城と奈津希が盗賊討伐に参加する事を掴んだ宰相エルナートは内容や人物評などの報告書を城に上げるよう傭兵ギルドへ指示していた。


80人規模の盗賊討伐を行い、首領他4人の主要構成員を生け捕りにし他は全て処分した事、捕縛者、死者合わせて83名だった事、傭兵団は周囲を包囲し取り逃すことがないよう努め、結果的に全て二人で対処し一人の取り逃しもなかった事。


前日の実力確認で干城と奈津希の両名で模擬戦を行い戦闘力は推定で一軍に匹敵するであろう事。


人物評は、12歳の子供と思えない程、礼儀正しく慈悲深く、思慮分別があり、作戦を提案し状況判断も的確で、事を始めれば目の前の財貨よりも目的を達成する強い自制心がある。

また、盗賊による魔法処置で安楽死となった女性を悼み盗賊に激昂する義侠心がある。


どのような生い立ちであれば、僅か12歳であれ程の理性的な思慮深さと心の強さ、そして戦闘力が持てるのか全く想像がつかない。


報告を読んだ宰相は、これを持って陛下の元に向かった。


シルヴァノ国王も報告を読み溜息を吐いた。


「勇者はやはり勇者なのだろうな、強さも清廉さもあり、礼儀正しく思慮深い、友誼を結べていればどれ程心強かったか」


「そうですな、しかし、彼らは私達を遅れた世界の野蛮人と言ったのです、彼らにとって我らの世界には何の価値もなく、彼らと友誼を結ぶには我らは足らぬ存在なのでしょう」


「この上は、貴族達が彼らに要らぬ手出しをしないよう祈るのみだ、手を出した者が当人だけでなく家ごと潰されても、我が国は約定で傍観するしかない、これが彼らが求めた唯一の約定だ、これを違える訳にはいかん」


「そのとおりですな」


召喚した勇者が力を持て余した凶人ではなかった事は救いであった、それだけにタテキとナツキに与えた絶望の深さが、召喚魔法という理不尽がシルヴァノの心に抜けない棘として残り続けた。





干城と奈津希は、隣村にゴブリンの巣まではないが、集団化してる為これ以上大きくならないよう討伐の依頼があったので、これを受注した、報酬は安かったが

依頼元がタスカ村だったので受けた、二人はタスカ村に到着し、ゴブリンの規模や位置などの情報を村長に聞いて、早速討伐に向かった、場所はタスカ村から王都に向かった方向で少し離れていたが、到着してみると確かに100を超えるゴブリンがいて、早く対処すべきだった。


「いたいた、100を軽く超えとるっちゃなかかな」

「ほうじゃねぇ、結構繁殖しとるみたいじゃね」

「手始めは刃物かな、それなら奴らも逃げずに向かって来る」

「干城思い出すねぇ」

「なんば?」

「ここ、訓練で来て、ゴブリンに何もせんで帰ったとこじゃ」

「あ!」

「思い出した、あん時あっちから来て、様子見したのはあすこやったやん」

「はぁ~、また奈津希が正しかったか」

「何が?」

「あん時に奈津希がゆうたやん、ゴブリンは繁殖力が強いけん躊躇いなく討伐するって」

「ああ、そうやったね」

「はぁ、なんかオイってどん臭かな〜、こがん繁殖したとや、こりゃ討ち漏らしは許されんね」

「干城反省は後じゃ、気付かれたみたいじゃけぇ」

「ほんとや、凄い大勢で熱烈な歓迎のごたんね、そしたら動きの邪魔にならん程度に間隔空けて突っ込もうか」

「了解じゃ」

二人は4m程の間隔を空けてゴブリンの集団に突っ込む。


二人とも右手に短剣、左手に解体用ナイフを持って、魔法も使って応戦する。


奈津希に正面、左右、木の上からゴブリンが同時に9体襲い掛かる

「邪魔じゃあ」

体を回転させるように左右2体づつを短剣とナイフで切り裂き、同時に正面3体をウインドカッターで切裂き木の上からの2体をエアバレットで粉砕する。


干城は流れるようにゴブリンの首を切裂いていく、包囲される前に集団に魔法を使い纏め討ちする。


最初から大きな魔法を使うと逃げ出される事を懸念し、初めはナイフメインで数を削るように討伐を始めていた、目算で半分以下に減ったあたりで逃げ出そうとするゴブリンが見え始めたので、攻撃を魔法メインに切り替える。


干城は大分練習した成果を試すべく表面が水銀のような水魔法ウォーターボール(水銀でイメージしたら表面が銀色になった、これ見たとき、嘘やろ?そりゃ哲学とか科学が発展せんわと思った)と光魔法レーザーの合わせ技を使った、ウォーターボールの表面を使って、レーザーを反射させ軌道を変える。奈津希からはアニメのロマン攻撃といわれた、使いこなせたら死角がないと信じて練習し続けた。


魔法速度が早い光魔法を練習し続け速射性が早くなった、6つのウォーターボールを使いレーザーを乱射する、ゴブリンが意識しない方向からレーザーが襲い掛かる、レーザーを受けたゴブリンは次々と体が発火していった。


奈津希はアイスバレットを使った、多少の軌道変更は魔法操作を鍛錬して曲げられるようになったが、木の陰などで鋭角に曲げる時はリフレクトに当てて反射させてゴブリンに当てた。干城もできはするが奈津希には及ばない。干城はなんで自分を守る魔法をあんな遠くに展開できるんだズルいと愚痴っている。


概ね初級魔法の組み合わせと乱射のゴリ押しで残りのゴブリンも逃亡させずに壊滅できた。


「嫌ば〜い、土魔法で穴掘ってゴブリン全部埋めたか〜」

「しゃあないじゃん、魔石取らんと討伐証明できんのんじゃけぇ」

「臭いんよゴブリン」

「そんなん分かっとるよ、口動かさんとサッサと手ぇ動かしんさい」

奈津希の正論パンチのラッシュが炸裂する事を察知した干城は黙って魔石取りをする事にした。


結局魔石の数は142個あった。


「終わったかな、全部埋めよか」

奈津希に血が飛ぶから離れるよう言って、深く大き目に掘った穴に、干城はゴブリンの足首を持って放り投げ続けた。


後始末が終わってタスカ村へ行き、村長さんにゴブリンの魔石をみせ、全て討伐したと報告して王都に向かって走り出した。



ギルドに戻り依頼終了報告をして、依頼完了が確認され報酬の5レラとゴブリンの魔石1個5リギル142個で710リギル、合わせて12レラ10リギルを奈津希と二人で折半した。






















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