31 結局こうなってしまうのか
屋台広場から向かったギルドでソフィアさんから報酬があると言われた、ガイナイースの報酬80レラだった。
変異種の緊急依頼だった事、素早く対応した事、対処した内容など諸々しての報酬額らしい、通常のガイナイースならEランク依頼なんだから随分高額だ、セージ協会の報酬は現金で受け取っていたので、半額づつ口座に入れて貰い、ソフィアさんから口座作られたんですねと言われた。
依頼ボードを見ると中級ポーションの薬草、4種を各10本程度の採取の依頼があった、場所は歩いて2日の距離で、近くに最近流れて来たトリントブグルという三本角の牛の魔物が居着いた場所で、草食だが凶暴で縄張り意識が強く、見つかれば執拗に追われる、依頼料は各薬草1本20リギル、この条件では誰も受注しないようだ。悪くないと思うんだがなぁ、トリントブグルって牛系でしょ、寧ろ肉売れるんじゃない?肉美味しかったらインベントリに入れとけばいいと奈津希と相談して受注する事にした。
「ソフィアさん、この依頼を受注します」
「はい、お二人のカードをお預かりします」
ソフィアは空中に浮かんだヘッドアップディスプレイのような画面を見ながら受注処理の手続きを進めていく。
「なぁ、なんで中世チックな世界なのにあの技術があるんだろ、あれ地球で見ても未来感あるよね」
「あんな干城、中世の世界観で訳の分からん進んだ技術はラノベのお約束やから」
「はい、依頼受注手続き終わりました、カードをお返しします」
「はい、ありがとうございます、行ってきます」
「ソフィアさん、行ってくるけぇね」
今回は王都の北方、北門を出てグローブスフィアで場所を確認すると距離は道なりに68km、今は昼過ぎだからいつもの身体強化で20km/hのペースを維持して、出来る所はショートカットすれば夕方には着いて、野営すれば良いだろうと思い、奈津希に話して走り出す。
道行く人を追い抜く、まぁ、オイでも若い頃は5km18分台くらいで走れた、地球で陸上アスリートくらいのスピードだから現実的な速さだろう、と内心で自画自賛していたが全く一般的ではなかった、身体強化が出来る人は大勢いる、フリーランサーは練習してだいたい出来る、だが3時間も4時間も持続出来る者は滅多に居ない、人と接する事を避けている訳ではないが、他のフリーランサーと一緒に仕事をしても合わないだろうと、余り接点がないので、奈津希のラノベ主人公基準で行動しているため実は非常識だ、その事に二人は気付いていない、以前奈津希が干城に、えっ?何かやっちゃいました?ってベタなオチは要らないからねと言っていたが、まさにその状態だった。
途中坂で蛇行してる部分とかをショートカットし予定通り夕方くらいには目的地付近に到着して、薬草の生育地やトリントブグルの存在を確認した。
「バーチャルエリア」
神様のプレゼント?なのか便利な仮想区間で一晩過ごす。
「晩ごはん作るけぇ、先にお風呂入っとって、洗濯物はいつものかごに入れてや」
「は〜い、先に風呂入ってくるよ」
…
食事も済み、奈津希も入浴と洗濯を済ませて、明日の行動の方針を話し合った。
「基本的には依頼の薬草確保を優先しよう」
「ほうじゃね、そのために来とるんじゃもんね」
「ただ、途中でトリントブグルが襲ってきたら撃退しよう、逃げても追いかけてくるなら討伐した方が早い」
「そうなったら、解体はどうするん?」
「解体はオイがする、その間奈津希は採取ば進めて」
「わかった、そうしようや」
「普通に考えたら往復と採取で最短5日、トリントブグルが居るから6日や1週間は掛かると思う」
「だからこの依頼余っとったんじゃね」
「1週間も掛かかって、8レラを4〜5人で割ったら、1週間の報酬としては安かけんね、寧ろ赤字やろうし」
「んにゃまて、最短の4日で計算しやすく4人として、1人の取り分が2レラ、4日で割ると50リギル、そりゃ誰も受けんわ、F依頼よか安か」
「ウチらはどっちかというと、自分らの薬草とトリントブグルの肉が目的じゃからね、焦らんでも、時間の余裕はあるってことじゃね」
「そう、だから依頼分の採取が終わったら自分達の使う分を採取しよう」
「うん、わかった」
………
翌朝、二人は採取を始めた、ラクレ草、ラグラ草、サニマニ、クレタカ、ラグラ草とクレタカは以前ガイナイースの件で聞いた名前だ、ラクレ草とラグラ草は葉だけを採取し、クレタカは土筆そっくりな見た目で根ごと採取する、サニマニは木の葉で落葉したものを採取する。
採取し、湿った麻布で十本一束で纏める、その内にトリントブグルに見つかった、逃げながら様子を見ると相手に向かって、愚直に真っ直ぐ突っ込んで来るので、こいつ止まれないじゃないのか?と思い、少し加減したサンダーウォールをトリントブグルの前に展開する、やっぱり止まれないようでウォールに突っ込んだトリントブグルは感電して気絶したので、土魔法でガッチリした鉄棒のような吊るし台を作り、身体強化した奈津希と二人でトリントブグルを逆さに吊るして、下に血受けの穴を掘り、魔石と血抜きをした。
「二人でやってもぶち重たいねぇ」
「見た所体重1tくらいあるっちゃなかかな?」
「熟成するまでに、何日くらいかかるんじゃろ?」
魔物の記憶を探ると思い出せた
「二日はかかるごたるよ」
「ほんまじゃねぇ」
「そしたら、奈津希は採取を進めてて、オイは血が抜けたら解体して収納しとくけん」
「わかったよ、あ!骨は捨てんといてね」
「りょうか〜い」
その後も採取と解体を繰り返した、昼ご飯は奈津希がストックしていた料理をインベントリから出して済ませ、それから陽も傾いてきた。
「今日はこの辺にしとこうか」
「そうじゃね。取り尽くさんように気をつけても、ようけ薬草が採れたねぇ」
「トリントブグルのせいで、この辺で採取出来なかったんじゃなかかな?」
「ありそうじゃね」
二人はバーチャルエリアに移動した。
食事と入浴を済ませた二人は今日の収穫と明日以降について話し合う。
「薬草どれくらい集まった?」
「ウチらの分は7束ずつ集まったよ」
「トリントブグルも5頭討伐したしね、量としては十分なんよね」
「明日からどうするん?場所変えて他探してみる?」
「悩むね、あんま早う帰るのも良うなかけど、ここら辺に居てもなぁ」
「そしたらもう帰ってもええんじゃない?たぶんこれから先も、似たようなことで悩むと思うよ」
「そしたら帰ろうか、薬草は2束づつ納品して、トリントブグルの肉や角の素材は2頭分買取りに出そう」
「それでええんじゃない?」
結局3日で帰る事になった、少し早いが今更だと二人は割り切る事にした。




