30 やっぱオイ頭固いわ
滞在延長期間を協会から提示される検証作業を行い、結果的に自分達も新たな職業が発現したり、ノウハウを勉強したりとしながら過ごし日程を終える事ができた、セージ協会の協会員証も無事交付され、生産魔法職も出来るようになった。
ポーションを作る際にミレアの実なしでポーションを作って良いのか確認したら、他に再現できる者も居ないし作っても大丈夫だが、ミレアの実を仕入れていない事が露見しないように少数に留める事と、たまにアデルの実を仕入れてカムフラージュするよう言われた。
王都ディタルスブレゲへ帰る途中バーチャルエリアを利用する、工房はあるが材料がないので生産活動は何も出来ない。
「生産するにも材料集めないといけないね」
「薬草とか折を見て集めんとね」
「それと商業ギルド員登録もしないとね」
この世界は商売に関しては商業ギルドがガッチリ抑えている、職人はライセンスで物を作れる資格を得ても売る事はできない、商会の従業員として生産する事はできても、商店主として商売する事はできない仕組みになっている。
つまり、生産職として生産が認められるにはライセンスが必要であり、それを売るには商業ギルド員証の二つが必要だ。
「王都に着いたら商業ギルド員登録しようか」
「作れても売れないんじゃそうするしかないね」
王都に到着し商業ギルドへ向かった。
「すみません商業ギルド員登録をお願いします」
受付嬢は柔らかい笑顔で対応してくれる。
「はい、ギルド員登録ですね、1種と2種どちらで登録なさいますか?」
「種別の内容を教えて頂けませんか?」
「承知しました、何れもギルド員登録を行った後に、1種は通常の形態で、街や村に商店や商会店舗を設立する場合です、設立する際に商会の店舗登録が別途必要になります」
「2種は商会店舗を設立せずに行商を行う場合です」
「今回はギルド員登録という事で、最初の立ち上げとしてはここまでです、何れ商売を拡張されますと3種となります」
「店を構えるなら1種、店を構えず街の外で行商なら2種ですね」
「そうです」
「店を構えて他の街や村と取引はできないんですか?」
「その業務形態は1種になります、販売拠点がどこかの違いで、取引相手が同じ街の中と限定はしません」
「3種は複数の店舗を街に設立する際や、国外も含め他の街や村に支店を持つようになった際に、支店の登録を行った後に種類変更を行います。また種類の変更手続きは随時可能です」
「続きまして、種類別でギルドへの年会費が変わります、1種は10ネラ、2種は歩き行商ですと10ネラ、荷馬車行商ですと荷馬車1台につき50ネラ、荷馬車は最大3台までになります、3種は100ネラから店舗数によって変動いたします」
「荷馬車1台で結構上がるんですね」
「そうですね、荷馬車は謂わば移動する店舗と見做しています、とは言いましても実店舗程の広さはございませんので、3種の半額となっています」
「また、商業ギルドは商人からの徴税業務を行っております、税額は1種の小規模商店で20ネラ、雇用した従業員が5人以上の商店や商会で50ネラ、以降従業員が10人増える毎に10ネラづつ加算されます。飲食業は特例がありまして、従業員10人まで小規模店として20ネラです、10人を超えますと50ネラ、以降10人増える毎に10ネラの加算になります、これは事業規模、個人経営の食堂でも調理師や接客などの人数が必要な業種と見做されているからです」
「2種は歩き行商は20ネラ、荷馬車行商ですと荷馬車1台につき60ネラ、従業員数が10人を超えますと加えて50ネラ、以降10人増える毎に10ネラづつ加算されます」
「3種は店舗数と従業員数によって変動します、詳しくは3種に変更を考えられる際にご説明いたします」
「分かりました、種別は2種の歩き行商を考えていますが、空間収納を持ってまして、この場合は荷馬車行商と同等になるのでしょうか?」
受付嬢は少し驚いた顔をした後微笑みをを湛えた
「空間収納を?それは素晴らしいですね、仰るとおり空間収納をお持ちですと容量に関わらず歩き行商であっても荷馬車1台の荷馬車行商となります、これは収納量は個人差がありますので一律荷馬車1台としています。ですので空間収納をお持ちの方は荷馬車1台をご用意されて登録なさいます、その方が空間収納分を得しますので」
「荷馬車行商ですと空間収納分は加算されないのですか、荷馬車1台と空間収納分で荷馬車2台とはならない?」
「はい、そのとおりです、年会費や税額面で歩き行商で空間収納ですと荷馬車1台分の損ですが、荷馬車行商ですと空間収納分を考慮しませんので、その分を得します」
「荷馬車行商で登録して、実際の形態が歩き行商でも問題ないのでしょうか?」
「それは構いません、種類別は年会費や徴税の目安ですので」
「そうだった、あの、実は錬金術師のライセンスを持っておりまして、行商で訪れた村などでポーションの販売を行なっても大丈夫でしょうか?」
これは受付嬢も驚いたらしいが、その後申し訳なさそうな顔をした
「錬金術師のライセンスをお持ちなんですか!それでしたら販売自体に違法性はないです。販路を作り開拓して競争する、自由な商売は商業ギルドの理念ではあるのですが、ただ村などの地方へのポーション供給については商業ギルドが指定した行商人が行っておりますので、出来れば指定商人を優先して余り競合しないように配慮して頂ければとお願いします」
「そうですか、分かりました、ポーションを主力の商材にしようとは思っておりませんので大丈夫です」
「申し訳ございません」
「年会費と徴税の納付はいつでしょう?」
「はい、年内までにいつでも結構です、納付が済みましたらギルドカードに納付済みの手続きを行います。年を超えて一定期間を過ぎますとギルド員の資格を失い、追加徴税されたり、または脱税で逮捕されます」
「分かりました、では私と奈津希の二人の商業ギルド員登録をお願いします、二人とも空間収納を持ってますので、2種荷馬車行商人で登録します」
「お二人とも空間収納を!あっ、はい、承知しました、登録料はお一人30ネラになります、あちらの登録器でギルド員登録をお願いします」
「今年分の年会費と税金を一緒に払われますとお一人合計140ネラになりますが如何なさいますか?」
「一緒にお願いします」
干城は、なるほどね、商業ギルドとしては、いつ盗賊や魔物に襲われて消えるか分からない行商人からの徴収金は早く確保したいか?まぁこっちも収納量は無制限だからお互い様かと思った。
干城と奈津希は合計280ネラ、金貨2枚銀貨8枚を支払った。
商業ギルド員カードを受け取り、屋台広場で一休みする事にした。
「これで生産品を売れるようになったね」
「そうじゃねぇ」
「街門通過するのに馬車でも用意した方が良いのかな?」
「なんでぇ?販売用のワゴンとかならまだしも、荷馬車はいらんじゃろ?ウチらはフリーランサーとして移動するんじゃけぇ、商人として移動するわけじゃないんよ」
「あっ!そうか商人は副業だった」
「そうよ、あくまで商人は生産品を売るための手段であって、目的じゃないんじゃけぇ」
干城は、やっぱ頭固いなぁと反省した




