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割とどうでもいい世界で  作者: くまじ
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2 これからどうすりゃ良いの?

二人はキレた、それは切っ掛けだった。

騎士に剣を突き付けられ、ローブを羽織った男が首環を持って、近付いてきた。


この時漸く干城は自分が幼い身体である事に気付いたが、それより目の前の対応が急務だった、干城と奈津希は必死で騎士を蹴り、剣を奪い取った。無我夢中で奪った剣で首環とローブの男を斬った、その瞬間パァっと、初めて補助輪なしで自転車に乗れた時のような、自転車の乗り方を一瞬で頭と身体が理解した様に、剣の使い方や立ち回り方を理解した、剣を構えて向ってくる相手が自分の何処を狙っているか、それをどう受けて、どう切り返すかが分かった。

自分に向けられる、人の殺意や害意、悪意が感じ取れた。


初めて見る推定日本人の少女がどう動こうとしていて、どう連携すればいいかが分かった、それは少女も同じ様で最初は戸惑っていたが、今はお互いを知り尽くした様な阿吽の呼吸で隙を無くし、返り血を浴びない一流剣士の様な立ち回りで向ってくる騎士を斬っていった、剣の切れ味が落ちてきたと思い代わりの剣を探した時王族や宰相がこの場を逃げ出そうとしていたのに気付き、逃げ場のドアへ足下の騎士の死体を投げつけ、付近に落ちている剣2本を投げ、ドアが開閉できないように投げた2本の剣で騎士の死体を刺し貫き楔にした、開けられないドアに立ち往生する王族と宰相を斬り捨て、他の出入り口も同様に塞いで逃亡や増援を阻止し、剣は沢山落ちているので剣を替えつつ、騎士や殺意や害意を持っていた貴族を二人で連携を取りながら斬り捨てていった。


辺りは死体の山と血の海になっていた100人以上斬り殺していた、生き残っているのは最初から此方に殺意も害意も向けなかった貴族だ、その場が終息し干城は改めて、なぜ自分は躊躇いなく人を殺せた?なぜ逃さないという強い意志を持った?なぜ突然あの立ち回りを理解できそれを実行できた?少なくとも自分の倫理観からすればあり得ない事だった、自分の事なのに今起きた事と自分が行った事に訳が分からなかったが、だが今はそれを考えるより、この場に居たくなかった、早くこの場を離れたかった。


「こんな敵しか居ない、安心して水一滴口にできない所には居られない」


そう言って、追手を掛けられる後顧の憂いを断つ為に、生き残った貴族で一番偉そうに見える、濃い茶髪でもみ上げが白くなっている、意志の強そうな中年貴族に、ハッタリをカマした。


「今後も私達に関わろうとするなら、敵対すると見做して殺す」

その後全体に聞こえるように「賠償金だとか理由を付けて金を貰えば、後で何を要求されるか分からい、余計な理由を作って接触しようとするな」と言い、何も持たずに奈津希と共に城を出た。



城を出た干城と奈津希は地理不案内ながら王都を彷徨い、小さめの川に架かる橋を見つけて、その橋の下の土手で一休みし、改めて人を殺したという自分達が起こした事に戦慄していたが、取り敢えずお互い自己紹介する事にした。


「私の名前は早坂干城はやさかたてきと申します57歳の日本人です」

「私の名前は佐倉奈津希さくらなつき55歳の日本人です」


敬語ではなく、お互い普通に話すにした。


二人は川の水鏡で自分の姿をみて驚愕した、プラチナブロンドの髪、ヘイゼルの瞳、天使の様な容貌、中学生になるかならないかくらいの身体、明らかに自分の姿形ではなく、日本人の見た目ですらない。


「ウチら召喚されたんじゃないん?」

「城の話しぶりじゃ勇者召喚かと思った」

「じゃけど、この姿形は召喚魔法の異世界転移じゃなくて転生しとるよ」

「じゃあ送還されたとしても、もう元の体はなかって事?」

「元の世界に戻るのは絶望的だと思うよ。転生体っていうことは、元の世界っていうか、前世の世界って言った方がしっくりくるし」

干城は失意体前屈で呟いた

「なんでこがんなった?」


「なしてこうなったかは分からんよ。分からんことをノーヒントで考えてもしょうがない、それより異世界転生なら、なんかチートがあるんがお約束じゃステータスを見てみようや」


奈津希はステータスオープンと言ったが何の反応もなかった。奈津希は失意体前屈で呟いた

「嘘じゃ、魔法がある世界と違うん?」

「なん事?この世の終わりみとうな顔して」

「ステータスオープンでステータスが表示されんのんよ。お約束ならこれでステータスが出るはずなんじゃけど」


「ステータスの開示、開示…」千城は少し考えて「ステータス」と言ったら目の前にヘッドアップディスプレイの様な画面が浮かび上がり、ステータスを見る事ができた、その事を奈津希に伝え、早速奈津希も実行し、こっちじゃったかとか呟いた。


奈津希がこれ人に見せる事はできんのやねと言うので、開示…「ステータスディスクローズ」ステータスを開示する事ができた、奈津希がなんて言うた?というので、教えたら奈津希も開示できた。


改めてお互いのステータスを見比べると名前以外はスキルも同じだった。


名前・タテキ・ハヤサカ(ナツキ・サクラ)

年齢12歳

職業・剣士

職業スキル

剣士


スキル


奈津希は目が点になっていた。

「何な?この雑把なステータス、パラメーターはないん?レベルは?職業剣士?職業スキル?スキルは空欄?転生三種の神器もチートもないん?てか、12歳ってなんよ!ウチ55歳よ!」


干城が疑問を呈した「異世界言語のスキルもなしになんで城で会話が成立したんだろう?」

「そういやそうやね?」

「さっきの城での立ち回りもそうだし、なんで剣士のスキルがあるんだろう?剣道もやった事ないのに?」


二人は考えたが答えは出そうになかったが、干城は焦眉の急な問題に気付いた、現状は無一文で手元に食料はなく、身の上はツテもアテもない異世界で無職の子供なのだ、勢い城を出てきた事を奈津希に謝るしかなかった。


「先の見通しもなしに城を出てごめん」

「しゃあないわ、アソコには居とうなかったし」

「それで、これからどうやって生きて行こう?」


これから生きて行く術を考えなければならなかった。













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