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割とどうでもいい世界で  作者: くまじ
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1 ある日突然頼みもしない異世界に

宇宙は一柱の神が創造し、生命が誕生した世界には天使を創造し世界の管理を行わせる。時間の概念がないこの世界を管理する天使の領域に、召喚魔法に捕まった早坂干城(はやさか たてき57歳)佐倉奈津希(さくら なつき55歳)の二つの魂が彷徨っていた、二人が生きた地球がある宇宙とは違う神の宇宙で、肉体を失い魂だけがここに辿り着き、肉体がないため世界に落ちる事が出来ずにいた。


魂を見つけた天使長はなぜここに魂が?と周囲を観察すると召喚魔法の痕跡を見つけた。

天使長は魂の記憶を見ると自分達とは違う神の宇宙の魂だった、その記憶に見た世界は天使長が見た事もない世界で興味深く、その記憶は数多の天使に共有された。

天使長は魂を管理する天使に意見を求めた。


「違う宇宙の魂はこの宇宙の輪廻に回帰できません、魂を管理する者としては、このまま永劫彷徨わせる事を良しとはできません。回帰させるには天使長に器を創って頂き、その器に魂を定着させて、この世界で生きる必要があります」


他の天使も意見を言い出した。


「どうやら、この世界の者が召喚魔法を行使して、この世界に呼び出した模様、その挙句永劫に彷徨うなど不憫ではないですか」

「なぜ、召喚魔法で他の宇宙の魂が辿り着いたか分かりませが、今は救済措置を講じるべきかと」

「見つけた以上、放置する事も出来ますまい、まして他の神の宇宙の魂早急な対策が必要かと」

「この魂の記憶の世界は実に興味深い、この世界で生きる事で、この世界にも何か変化が訪れるやも知れません」


他の天使達も口々に天使長に器を創る事を願った、天使達も二つの魂の世界は興味深く、面白いと思ったのだ。


天使長は了承し、二つの魂をこの世界で生きさせる事に決めて、器を創る事にした。


器の完成まで魂の管理天使を筆頭に数多の天使が、この世界の言語、地理、汎ゆる戦闘術、錬金術、鍛冶、等などと二つの魂の記憶にみた魔法を再現し、この世界の魔法と共に魂に刻みつけ、魂に鍛錬させていった。


「この世界の言語、先ずは貴方達が召喚される国から…」

「剣術の鍛錬を行おう…」

「魔法は先ず体内の魔力で魔法を起動し、周辺の魔素で魔法を…」

「魔力の制御と魔法の制御が…」

「体術の鍛錬を行おう…」

「鍛冶を行うには温度の見極めが…」

「錬金とは物質の分解と…」

「貴方達の世界の魔法は凄いものですね…」

等など天使達は魂に数々の知識や鍛錬を次々と刻み込んだ。


器が完成した、天使の身体を基とした成長する器として人並みのステータスに見えるようにした、12歳くらいの見た目の身体は、身体能力、魔力、魔法適合、成長力など人間に比べれば高かった。


二つの魂が修行した成果は魂に刻み込まれ、本人の努力や強い精神的切っ掛けで思い出す。


天使長は魂の記憶から、この世界では長く生きられない事を危惧し、二つの魂の無意識の深層に何れ消える別の意識を植え付け、魂に刻まれた前世の記憶とこの世界の言語を除いて天使の領域の記憶を消去し、召喚魔法の残滓から魔法を再構築し、召喚魔法の流れに二つの魂を乗せた。

「この世界で良い生を」




城に召喚された早坂干城と佐倉奈津希は混乱した、いきなり風景が変わり知らない場所にいるから当然だ、目の前の階段の上の豪奢な服を着た男は「良く来たな勇者よ」と言った、この言葉と周辺の大勢の中世ヨーロッパの貴族らしい者達、甲冑を身に着けた騎士らしい者達、豪華な部屋の調度品や天井のシャンデリア目に見える情報と状況から、「まさか異世界召喚?」冗談だろう?と思った。


改めて階段の上を見ると、豪華な服を着た男が王なのだろう、王を基準に向って左隣りに豪華な服を着た女とその隣りに20代半ばに見える若い男がいて王妃と王子か?向って右には中年の男がいた、宰相か?

自分の隣にはプラチナブロンドの髪とヘイゼルの瞳を持つ子供、天使の様な容貌の可愛らしい女の子がいた。


宰相は「勇者にはこの国を救って頂く」と喋り始め、漸く千城の思考も起動してきて、これまでの人生で築いたものを全て無かった事にしろと?巫山戯るなと言う思いで反論する事にした。


「お断りします、直ぐに二人とも元の世界に戻して下さい」

「それはできん、勇者召喚に大量のコストを掛けた、我が国と我が国の民衆は困窮していている、それを助けて欲しい」


フリーズしていた奈津希もこの遣り取りで思考の再起動を果たした。

「大量のコストは貴方達の都合でしょう?召喚は私達が頼んだ訳でも、私達に関係する事でもないわ、さっさと日本に戻しなさいよ」


干城は、今なんて?日本?貴女その見た目で日本?と思ったが、今は交渉が優先と割り切る事にした。

「勇者は我々を見捨てると言うのか、莫大なコストを使い、我々の為に召喚した勇者が」

「だからコストはソッチの都合と言ってるでしょう、ソッチの都合を押し付けないでよ」


「そもそも、困窮してると言うが、ここに痩せた人は居ないし、この部屋の調度品も貴方達の服も宝石や金糸がふんだんに使われていて、そこの騎士か兵かの甲冑や武器も豪華なもので困窮していると?そんな話を信じると思ってるので?」

「今日は勇者を迎えるにあたって、場と衣装を整えたのだ」


干城はこの不毛な遣り取りに苛つき始めていたが冷静に努め様とした。

「そうなんですか?何れにしても貴方達はコストの掛けどころを間違ってますよ、此方の答えは変わらない、直ぐに元の世界に戻せ、そしてこの世界だかこの国だかの問題は自分達で解決して下さい、無関係な私達を巻き込まないで貰いたい」


それまで傍観していた王が喚いた

「お前達は儂が召喚したのだ、だから儂にはお前達を好きにする権利があるのだ」

干城と奈津希は、堪え性のない、あっさり本音をぶち撒けたなと思った。


王妃と王子も口々に好き勝手言っていて、干城と奈津希はそれを聞き流しながら、これが特権階級の醜さかと思っていた。

王は騎士に命じた、「二人に隷属の首環を付け傀儡にしろ」と


それを聞いた干城と奈津希の二人は「は?社畜になれって?」それまで不毛な遣り取りでイライラを溜め込んでいた二人はキレた。








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