19 初めての討伐依頼に向けて
干城と奈津希は朝5時に目を覚まし、朝食の準備を始めたクコデューの卵の目玉焼きとボア肉の薄切り、それと大量に作り置きしてインベントリに格納していた焼き飯。
奈津希はギスタの煮干しで出汁を取り、白身魚のすり身で作ったツミレ、根野菜、葉野菜、葉物と茸が入ったツミレ汁
全員が起き出す6時には準備が出来上がった。
「朝食ができてます皆さん食べて下さい」
「なんだこの朝飯」
平皿に盛られた焼飯、ベーコンエッグモドキの目玉焼きと薄切りボア肉、丼サイズのツミレ汁
「野営でこんな飯が食えるのか?」
「は〜い、食べたりん人はお代わりもよぅけありますよ〜」
「遠慮なく頂くとする」
朝食は好評だった、数日かけてここまで来ている人達なので塩味を少し効かせた。
朝食も終わり食器やテントを空間収納にしまっているとジュゼに声をかけられた。
「空間収納ってのは便利だな、羨ましいよ」
「はい、とても重宝してます」
「朝飯ありがとな、朝から美味い飯だった、活力も湧くよ」
「はい、食事は大事です、しっかり食べないとイザって時に力が出ません」
「ちげぇねぇ」
「それで今日はどうするんだ?」
「はい、王都に帰ります、走れば昼前には着きますので」
「走る?」
「はい、身体強化して走ればペースも維持できますし」
「そっ…そうか、これからも頑張れよ」
「はい、ありがとうございます、それでは失礼します」
そう言って干城と奈津希は王都に向けて走っていった。
それを見送ったジュゼと他のフリーランサー達は、派手さはないが規格外だな12歳であれかと思った。
昼頃に王都に到着した、取り敢えず野営に足りない物はなさそうだった。
「ここでギルドに行くべきか、それとも屋台広場に行って話し合いをするべきか?」
「どったん?」
「ギルドに行くべきか、野営の反省会をするべきかと思ってね、どっちだと思う?」
「そうじゃねぇ…ギルドに行って今残ってる依頼を見て、そのあとギルドの食堂で反省会は?」
「そいで行こう」
ギルドに到着するとソフィアさんにギルドマスターの執務室に案内された、ギルドマネージャーも居た何事だろう?
「来たか、二人に届け物だ」
茶色ではないが、金糸の模様がつけられた豪華な茶封筒のようなものをそれぞれ渡された、中味は勅令の写しだった。
[召喚者に関する勅
我が国の召喚魔法により、異世界より召喚せし者に対する接触を厳に禁ずる。
召喚者に接触した者に対して、召喚者が如何なる対応をしようとも我が国は一切関与しない。
ユグリダ王国 国王 シルヴァノ・ゼノ・ベルギュート]
ギルドマネージャーとギルドマスターの二人は、国璽が璽されている公文書で間違いないという事だ。
そういや写しをくれって言ったな、スッカリ忘れてた、貴族や騎士に対して勅令を出すとは言ってたけど、これオイ達に接触したものは貴族か騎士って限定してないけど、勅を発したのは貴族と騎士なんだから対象は貴族か騎士に決まってるだろって解釈かな?いやまぁ、街の中で相手が誰彼構わず刃物振り回すサイコパスになる気はないんだけど。
そういえばと思い、ギルドマネージャーってなんですか?と聞き、ギルドマネージャーはこのユグリダ王国にある全フリーランスギルドのギルドマスターを監督するのが職務で、各国に一人居るそうだ。
執務室を辞したあと食堂で果汁を頼み、野営の反省会をする。
「道具はとくに不足は感じらんかったね」
「そやね、あとは寒い場所とかやけど、それはその季節になったら気付くやろ」
「野営用の竈門作ったら便利かなと思ったかな」
「便利やろうけど、地面が平らとは限らんよ、傾斜やおうとつがあれば毎度調整が必要にならん?」
「それはあるか、毎回作った方が楽かな?ちょっと考えてみるけん」
「野営ポイントでの流儀を知れたんは収穫やったね」
「確かに、なんで集まっとるんやろ?って感じで見てただけだからね」
「夜の見張りはその時の人数で変わるとしても、ウチら二人だけでも問題なさそうではあったね」
「ああっ、うん、そうね、寝てても魔物の魔力や気配って結構感じるもんなんやね」
「そうじゃね、あれやったら討伐依頼で山籠りしても大丈夫かなと思うたよ」
「こんなトコかな、残ってるDランク依頼がどんなもんか見てみようか?」
「そやね」
依頼ボードには二日前の日付がある依頼が残っていて魔物討伐だった、ベリリュート討伐、報酬1頭につき銀貨5枚。
はて?ベリリュート、記憶を探れば鳥形の中型の魔物で強力な脚力と爪、風魔法を使ってくる、番で過ごし3〜4組の小集団を作る、生息地は山の中腹とかだったか、それで場所は?どうやらラエスタで見たレワード川の向こうに見えた山のようだ。
「どう思うこれ?」
「依頼の終了期限に余裕あるし、ええんじゃない?」
「なんでラエスタじゃなく、コッチに依頼出てるんやろ?」
「ラエスタが元で、受ける人がおらんから、どこにも依頼出してるとか?」
「それありそう、受付で聞いてみようか」
奈津希の推察は正しく、依頼はラエスタのギルドで受注するようだ、市場で食材を買い、ラエスタに向って走り出した。
ラエスタのギルドに到着し、依頼ボードのベリリュート討伐依頼を受注する為、受付にギルドカードと依頼票を提出して受注手続きをする、肩まで伸ばした黒髪の受付嬢はレナータと自己紹介してくれた。
ベリリュート討伐は巣まで行くのが大変で、討伐しても1頭(鳥形でも中型以上は1羽じゃないらしい)の報酬は50ネラ、集団を作りはするから1頭以上は討伐できるだろうが、それはそれで連携されるし、さらに空中の魔物という事で敬遠されがちのようだ。
受付の際にベリリュートの生息地までの地図と、生息地付近の地形などの情報を貰った、向こうに見える山はレモラレント連峰といい、山の向こうにロスニーニ辺境伯が治める街、人口8万の都市グラルメルフィスがあり、その辺境伯領の先が先王が戦を再開させようとした国、カペリノ王国のようだ。
まだ少し時間がありそうなので、市場に食材を買いに行った、奈津希はギスタを煮干しにする事が成功したので、市場のあちこちでギスタを見かけたら買い漁っていた、色々な魚介、野菜や肉、黒パンなど買い込み空間収納に収納しつつあとでインベントリに移し替える、食材を買う時傷む心配が要らないインベントリのありがたみに毎度感謝する
そのあと屋台広場に向かい、魚介料理を堪能した。




