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割とどうでもいい世界で  作者: くまじ
20/40

20 えっ!なんですかこれ?

翌日レワード川を小型の渡し船(荷馬車が何台も乗る大型の船もある)で向こう岸に渡り、レモラレント連峰の麓まで身体強化で走り、麓からは地図を確認しながらベリリュートの生息地があるローデラ山を目指した。


身体強化で平地を走るのは問題ないが、不整地や木などの障害物が多い場所は加減やバランスが必要で、二人とも感覚的に使えるようになるまで大きめの石に足をぶつけたり、岩や木にぶつかったり、途中ヒールで怪我の回復をしたりと色々いい練習になった。


陽の高さから昼頃かと日陰で一休みし昼食にした。


「これ身体強化なかったら生息地に向かうのかなりキツうない?地図も概略的な場所や目安だけで等高線や尺度がある訳じゃなかし」

「ちょっと考えれば判る事じゃけど、依頼が残っとるんは、残る理由があるって事やね」

「え〜とっ、地図の目安はアレだから、今日は野営して、討伐は早くても明日やね」


干城は指標二つで方位を取って概略現在位置を出そうとしたが、手書きの尺度もない地図を見て無駄な事だなと諦めた。


「初めての討伐なんやし、なんも焦らんでええやろ慎重にいこか」

「まっ、そうだね、ってこのスープ美味い」

「そじゃろぅ、茸と魚の頭と骨で出汁取ったんよ」


昼食を食べ一休みして、目的地に向けて走り出した。


夕方になり野営の準備を始める、テントを出し、土魔法で即席の竈門を作る、奈津希は料理を作り始めた。


千城は周囲を見回りつつ、今日の自分達のペースに他のパーティと共同で依頼対処を持ち掛けられても、協力するのは多分無理だなと思った。


夕食はディア肉のステーキと、インベントリに格納していたコンソメっぽいスープストックを使った野菜スープと黒パン


夕食を食べ片付けも済ませて、テントの中にライトを赤い光で灯す。


マットを敷いて毛布を掛け寝床を作る

「そいや、二人で寝るのって橋の下以来やね」

「あ〜、木賃宿は雑魚寝でも、部屋自体は男女別やからね」

「そやね、周りは誰もおらんし、ヤッちゃう?」

「いや、ヤッちゃわないけど?」

「えっ!なんで?…まさか…アンタ独身って言ってたけど、その歳までチェーリーの国のベテラン妖精だったんじゃ?」

「どどどど童貞ちゃうわ!ってか、なんだよベテラン妖精って、なんてイヤなベテランなんだ」

「そうなん?それでヤッちゃう?」

「いやいやいや、この体じゃまだ無理でしょ」

「ほぅかの?」

「なんでそんなにヤっちゃいたいの?」

「早いか遅いかの違いだけじゃろ?ならさっさと済ませた方がようない?」

「合理的というかドライというかアケスケすぎというか」

「間違っちゃおらんし、ムッツリよりええやろ?」

「間違いかムッツリかどうかより、取り敢えず15歳くらいまでは待とうね」

「ほぅかのぅ…ほぅか?ほんなら寝よか」


干城は、奈津希の喋り方は広島ベースでホント色々混ざってるよなぁと、今この場ではどうでもいい事を考えていた。


夜中に熊の魔物の襲撃はあったが撃退し、魔石を取った後に木に逆さに吊るして、血抜き用の穴を掘り血抜きをしながら寝た。


翌朝血抜きもできたようで、地面の血抜き用の穴を広げて、切ったワタをそこに入れ、腹の中を水洗浄して魔物は空間収納にしまい、最後に穴を塞いでしまう、魔法は何かと便利だなと思いながら作業を進めた。


後始末も終わり、目的地へ出発する、途中昼食を取りそれから1時間程進んで、目安目標的にこの辺かとベリリュートを探す、飛んでいるベリリュートを見つけたので、後を追ったら巣を見つける事ができた。


番が4組の8頭だ、嘴から尾の先まで2mを超えるくらいか?両翼を広げた長さはもっと長いんだろう、また脚も大きい。


「時間は夕方だし、討伐は明日にする?」

「う〜ん、さっき飛んどる姿を見ても、魔力じゃなくて揚力で飛んどるようなんよね」

「つまり、どゆこと?」

「案外簡単に討伐できるかもって事や、干城巣に魔法でチョッカイかけて」


干城は巣に光属性のレーザーを撃ち、巣に火を着けた


番のベリリュートが巣を飛び出し、干城と奈津希を見つけて報復の攻撃をしようとした


「真空」


奈津希は風魔法でベリリュートを真空の空間で囲み、ベリリュートは翼を羽ばたかせるが真空の空間で揚力を得られず墜落し、呼吸もできず絶命した。


それを見ていた干城はエグい方法思い付くなぁと感心していたが、他のベリリュートが次々と二人に報復と仲間の復讐に襲いかかってきた。


見ていて理屈と要領が分かった干城も同じ方法でベリリュートを討伐して行き、10分掛からずに全ての討伐を終了した。


「なんか戦闘という山も谷もなかな」

「贅沢言ったらいけんよ、それより魔石と血抜きで傷つけ過ぎんように気いつけてな、折角無傷で討伐したんやから」


なるべく羽毛に沿って体を開くようにする、解体も元々知識もなしに、なんでか気持ち悪がらずに出来て、しかもやるほど上達が早い、以前の奈津希が言っていた考察に真実味が増える気がした。


魔石、血抜きとワタ抜きも終わり、ベリリュートを空間収納し、ワタ食えないかな?と思ったが、どうも寄生虫が居るみたいで、ちゃんとした処理方法の知識がないと無理だなと諦めた。


「今日はここで野営しよか」

「えっ!ここ?ベリリュートの巣があるトコに?」

「だからこそやろ、ここはベリリュートの縄張りで巣があるトコや、寧ろ安全じゃないん?」

「言われてみればそうかも」

「じゃ、野営準備しよか、干城は寝床準備して、ウチは夕食作るわ」


それぞれ野営の準備を始める。

夕食を済ませ、片付けも終わって二人は寝る準備をしながら話始める。


「案外早よう終わったね」

「そやね、明日は早く出発できるように、朝食はインベントリの作り置きで済まそか」

「それで良かっちゃない、というか、折角インベントリがあるんだし、作り置きもっと増やすべきかな?」

「それもええけど、木賃宿じゃ作れる量もしれとるよ」

「そっか、あんまりバンバンやるのも目立つしなぁ」

「そういう事や」

「かと言って借家もなんかなぁって気がするし」


千城の頭の中に何かが過り、魔法を行使した「バーチャルエリア」


空間収納の黒っぽいワームホールと違い、白っぽい薄く光るワームホールが出現した。


奈津希も、魔法を行使した干城も、宇宙の真理に触れた猫のような顔をしていた。


空間収納のワームホールは手を突き出してもワームホールに手が入る事はないが、この白いワームホールは手が入っていった。


「えっ、なにこれ?」

「魔法使ったのはアンタじゃろ」

「なんか通れそうだから、いっちょ見てくるわ」

「ウチも一緒に行くわいね」


二人がおずおずとワームホールを通り抜けた先には家の玄関のような構造物とその構造物にはドアがあった。

















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