18 野営の練習をしてみよう
ランクDになって活動範囲は領内全域に広がり、領内に存在する魔物討伐もできるようになった、ラノベの冒険者だったら何処へでも行けそうだが、これが冒険者とフリーランサーの違いなんだろうか。
考えてみれば前世でも県内の端から端まで歩いて踏破するとなると場所によっては1日では無理だ、極端な例だが確か北海道の東西の端から端は東京〜大阪間よりも長かったと記憶している。
ランクEは活動範囲が日帰り圏内だったがこれからは野営道具が必須という事だ、それでテントや寝袋、カンテラなどの必需品を買い揃える事にした。
「取り敢えず道具を買い揃えようか」
「そうじゃね、要るもんは要るんじゃから買わんとね」
「また散財するなぁ」
「必要な投資であって、無駄遣いとは違うから散財とは言わんじゃろ?」
「言われてみれば、そのとおり」
「それにウチら他の人達に比べたら随分恵まれとぉし、愚痴言ったらバチがあたるよ」
相変わらず情容赦ない正論パンチが痛い
テントは一人用を二つにするか、二人用を一つにするかどっちでも荷物の量を考慮しなくて良いのは楽だ。
「テントはどういう買い方しようか」
「二人用二つで良ぅない?」
「えっ!それで良かと?二人用の方が大きい分、設置や撤収が大変やない」
「なんで?展張したまま収納すればええんやないの?」
「えっ?でもそれは、アリか?」
取り敢えず二人用のテントを二つ買った。
他にもカンテラ、マット、毛布数枚、寝袋、防虫薬、ロープ等など、色々買っていたら銀貨1枚以上使った、そこそこの物を買ったからこの金額だが、他の人達ならいきなりこうはならないだろうとは思うが、何れ買うなら今買ぅときと奈津希に言われた、奈津希は自分の服とかには躊躇するのに、必要と決めた事への出費には躊躇いがない、その辺が自分とは違うが結果的に奈津希が正しかったとなるので、口出ししない事にする。
一通り買い揃えて、屋台広場で果汁を買い一休みする。
「一通りは買ったと思うけど」
「そうじゃねぇ、食べもんもそこそこあるし、今日の夜でも外で試してみよか」
「あ〜…そうね、一回野営してみて足りんもんがないか確認した方がいいか」
そのまま屋台の食べ物で昼食にして、昼過ぎに街を出て、身体強化で走って街道の野営ポイントに向かい、夕方前には野営ポイントに着いた。
「んじゃあ、キャンプとかした事なかばってん、テント組み立てるか」
パーツを見ながらなんとなく組み立ては上手く行き、ロープで補強する、一つを組み立てインベントリに格納して、二つ目のテントを張る、張り終えた頃他のパーティや行商人が野営ポイントに到着しだす。
全体的にテントの設置が終わった頃合いを見計らってフリーランサーは全員が集まる。
集まる事を知らなかったので、テント付近に居たら、フリーランサーかと尋ねられ、そうだと答えたら、野営ポイントではフリーランサーは共同で夜の見張りをする、その為に集まって見張りの話し合いをするのだと言われた、なるほどそういう流儀らしい。
この場のリーダーはランクCのジュゼと言う人で、この人が仕切る事になった。
「まだ子供じゃないか、俺はジュゼってもんだが名前とランクは?」
二人はギルドカードを見せながら説明する。
「干城と言います、ランクは今日Dになりました、こちらの奈津希も今日ランクDになりました、二人でパーティを組んでいて、今日買った野営道具で足りない物がないかの確認と、野営の練習に来ました」
「今日昇級して、今日野営道具を全部買い揃えて、今日練習に来たのか?」
「はい、そうです」
その場にいるフリーランサーは呆気に取られていた、今日ランクD昇級という事は、昨日までランクEだ、それが今日野営道具を買い揃える資金力を持ち、今日野営練習する行動力があり、それでいてギルド登録条件最年少の12歳、なんなんだこの子供はと思った。
集まったパーティはデバステーターを含めて4パーティ二人、四人、五人が二つの計16人だが、話し合いの結果、見張りローテーションは14人で行い、干城と奈津希は1組目と一緒に見習いとすると決まった。
初めての野営、それも後見するフリーランサーもなしに単独で練習にきている子供、見張りの人数は確保できてるし、ローテーションに入れるのは流石にマズイだろうという、至極真っ当な理由だった。
1組目は時間は20時〜22時で二人、以降2時間交代で三人一組、1組目は干城と奈津希も入るので人数で言えば四人だが、戦力としては二人と見做されていた。
1組目はジュゼと同じパーティーのティスと言う女魔術士だった、野営の時の虫対策や季節の雨対策や寒さ対策、見張り時の魔物だけでなく盗賊に対する注意点などを教えて貰った。
見張りを終えて寝ていると干城と奈津希は魔物の気配でテントを飛び出し、2時の交代で申し送りをしていた六人に魔物の接近を知らせた、魔力探知をすると魔物は18体、今まで感じた事がない魔物だった、ニ体一組で接近してくる魔物に二人は氷魔法で対処していった、氷魔法を使った理由は火や光は闇に慣れた目に刺さるのと、氷なら体内に残っても溶けて消えるからという判断だ、5分で掃討は終了し確認するとフォレストウルフだった。
「魔物18体の掃討終わりました、確認してきます」
「あっああ…」
空間収納に納めて持ってきた魔物は狼のようだった
「フォレストドッグではないですね?」
「こいつはフォレストウルフだ」
「それで初めて感じた魔力だったんですね」
「魔力を感じた?」
「はい、寝てたら魔物の魔力と気配を感じて目が覚めました」
「それであの対処か?」
「それよりあの魔法よ、木に隠れいてる魔物に魔法を当てたでしょう?どうやったの?」
「あれはリフレクトで魔法を反射させて、魔法の軌道を変えたんです」
「嘘でしょ?」
「取り敢えず、付近に魔物の気配も、人の気配もありませんので、寝ましょう」
「人の気配?」
「はい、人の殺意や害意は魔物より分かり易いです」
そう言って干城と奈津希はテントに向かった。
その場の全員が、フォレストウルフ18匹の討伐を二人で5分?あれは今は足りてなくても、経験を積めば将来間違いなく大物になると全員が思った。




