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割とどうでもいい世界で  作者: くまじ
17/40

17 それって履歴書では?

二人がこの世界に拉致られてひと月に近づいた頃

朝ギルドに到着した二人を見かけたソフィアは声をかけた。


「タテキさん、ナツキさんこちらへお越しください」

干城と奈津希はなんかしたっけ?何もヤラかしてないよね、と思いながらソフィアがいる受付に向かった。


「お二人の昇級が決まりました、ギルドカードの更新を行いますので、カードの提出をお願いします」


二人は昇級の嬉しさより、ヤラかしてない安堵が勝りほっとした。


「昇級ですか、あの、私達って昇級が早いんでしょうか?」

「そうですね、ソロ達成が多いですしパーティでも二人ですから早いですね」

「そうなんですね、ギルドカード、はい、どうぞ」

「はい、ソフィアさんどうぞ」

「お預かりします」

……

「そう言えばお二人は職業を設定していませんでしたね、登録なさいますか」

「そう言えば、ステータスの職業剣士だったね、剣士で登録しないといけないのかな」

「う〜んどうなんやろ、職業って教会でギフト授かるんが定番やないんの?」


二人の会話を耳にしたソフィアはニッコリと笑顔で言った。

「カードを更新した後に談話室に参りましょう」


どうやら、また常識知らずだったらしい、二人は素直に頷いた。


ランクDへのカード更新をし、談話室に向かった、ソフィアは紅茶を準備して談話室に現れた、千城と奈津希の常識相談役受付嬢の講義が始まる、最近は相談役というより指南役だ。


「それでは、ステータスの職業とギルドカードの職業の違いについてお話します」


「ステータスの職業は本人の本質や資質、努力の結果などが反映され、職業としてステータスに反映するのはひとつですが、複数の職業を保持する事はできます、その際本人はステータスを操作して設定職業を任意に変更する事ができます」

「また、農家に生まれた子が最初は村人や農民だった職業は仮職業とされ、例えば親の手伝いで農業を覚えれば職業は農業に、師のもとで剣の練習をしていれば剣士に、最初に習得した職業スキルは自動的に仮職業から変更されます」


「次にギルドカードの職業はステータスの職業から選んだ職業を記載しているだけで、ステータスの職業と必ずしも一致する訳ではありません」

「ギルドカードに記載する場合はステータスの職業スキルを確認させて頂きますが、ステータスの裏付けを以て記載をいたします、なのでギルドカードの職業はフリーランサーとして何ができるかを示しており、臨時でパーティを組む際などの確認程度の位置づけになります」

「ギルドカードの職業は何度でもコンバートは可能ですが、ギルドで変更の手続きが必要です」


「二つとも職業では混同しますので、一般的にステータスの職業をライフワーク、ギルドカードの職業をライセンスと呼びます」


「ソフィアさん、それじゃあ、神殿や教会で神様からギフトとして職業を授かるとかいうお約束はないん?」

「お約束?そのような話は聞き知りませんが、ナツキさんとタテキさんの前世の世界ではそうだったのですか?」

「んや?そんなんはなかった、ただのラノベのベタな設定」


奈津希はソフィアが到底理解し得ないであろう事を言っていた。


「この世界には職業選択の自由があるんやね、ギフトの職業に縛られるんは楽やけど、面白うもないもんね」


奈津希ななぜか嬉しそうだった。


「ソフィアさん、それでは農家に生まれて村人の仮職業がつき、家の手伝いで農業のノウハウを覚えて農業の職業に変わり、街に働きに出て大工の弟子入りをして、大工の職業を覚えた頃にクビになり、次に食堂で働いている内に、仕事ぶり次第では調理や接客の職業を得るという事でしょうか?」


「職業スキルはそう簡単に発現するものではありませんが、理屈としてはそうです」

「では、農家に生まれて家の手伝いをしつつ、師の元で魔法の勉強と修行をして知識を蓄え、技量を磨いて魔法を発動できるようになれば、職業は農業のままでも魔術士の職業スキルを持ち、魔術士として魔法の行使も可能という事でしょうかか?」

「はい、そうです、平民は多くが今おっしゃた場合が殆どで、フリーランサーも多くはそういった方達です」


「職業スキルってどのくらいの期間で発現するものでしょうか?」

「はい、一般的な定説として、人それぞれで期間として定量化している訳ではありません、その職業についての知識や技量と理解が一定数身に付いたら発現すると考えられています、ただしこれも証明されたものではなく仮説とされています」


「それでは、職業スキルとしてステータスに設定した場合何か恩恵があるんでしょうか?」

「それは分かりませんが、多少作業効率が良くなるとか多少素材の目利きが良くなると言われてますがはっきりした事は分かっていません」


そうかステータスは見れてもパラメーターの数字で具体的に表示されてる訳じゃないからか。


「前王の治世では戦争をしていたという事ですが、鍛冶師や調理師が軍に随行したりはしてなかったんですか?」

「そう言った話は聞きませんね、軍以外に参加していたのは傭兵ギルド所属の傭兵ですし、食糧などは輜重隊が随行するくらいですね」


この世界の戦争は兵站部隊の支援による長期戦なのではなく、小荷駄部隊による短期戦なんだと理解した、ではライフワークを専業職に設定して兵站部隊を組織すれば?この考察は広めないようにしようと決めた。


そしてライフワークはその人の来歴書か履歴書なのでは?と思った。


「他にご質問は?」

「はい、今のところありません」

「では、ギルドカードに職業の設定はなさいますか?」

「ライフワークの確認をします」


名前 タテキ・ハヤサカ

年齢 12歳

職業 剣士

職業スキル

剣士 魔術士 治癒士 テイマー 商人 調理師 


なんか調理師が増えてた、これはあれか?最近自炊する事が増えたからか?商人はなんで?


「タテキさん多才ですね」

「ウチも一緒や」

「そうなんですか」

「職業どれにしましょうか?」

「剣士と魔術士がありますし魔法剣士でも大丈夫ですよ」

「魔法剣士!」

奈津希がバックリと食い付いた

「ええの〜、ええのぉ〜魔法剣士、ラノベの夢や」

「こう言ってますので、二人とも魔法剣士でお願いします」

「承知しました」


ソフィアさんは微笑ましそうに笑っていた。


もう昼前の時間で今日の仕事どうしようか、奈津希は今でもんふふ〜とかニコニコしてるし、もう今日は休んでお祝いにするか。






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