ドクターミザリアを探せ
楽園に帰還してすぐ、ノイジーにドクターミザリアを調べさせる。ロッドがくれたデータも合わせて照合していくと、元助手が連合コロニーにいることが発覚。早速楽園ごと向かう。
「対象該当コロニー3番地区の自宅です。海沿いに建てられた屋敷に帰る日なので、待ち伏せるか、道中で襲撃をかけるプランを提案いたします」
「自宅で待ち伏せでいこう。それじゃあ久々に変装しますか」
「はいはーい! 一緒に行きたいでーす!」
なんかリリーが立候補してきた。危ないことはさせたくないんだが。
「やめとけ、どんな危険があるかわかったもんじゃないぞ」
「こういうのは助手がいるもんですよ!」
「ハヤテ様のお手伝いができるなら、私たちも一緒に行きたいです」
シオンも同行を求めてくる。どうすっかな……危険なことはさせたくないが、こいつらが優秀なのは知っている。
「社会見学です!」
「足手まといにはならないように気をつけます」
珍しくシオンも強く希望している。自主性が出るのはいいことだが、動機がわからん。なんかあったっけ。不思議に思う俺を察したのか、リリーが話す。
「シオンと相談したんですよー。ただハヤテ様の横にいる存在じゃなくて、ちゃんとお役に立って、もっと一緒にいたいって!」
「心配していただいているのは理解しています。それでも、ハヤテ様の役にも立てずにいるのは苦しいのです」
「今のところおまけでしかないですからねー。ばしっと戦力になるところを見せたるぜー」
こいつらも色々考えているんだなあ。軽く言っているが、目が真剣なのは理解した。ちゃんと監督すればいいか。外に連れ出してやるのも経験だろう。
「わかった。気負って無茶だけはしないようにな」
「わーいやったー!」
「無理を言ってすみません」
「いいさ、行くと決めたらさっさと行くぞ」
というわけで変装開始。いつものナノマシンフェイスマスクと手袋をつける。今回は3人とも北欧人みたいにしてみた。準備が終わればシャトルでコロニーへ。
「コロニーで海沿いってなんやねんと思ったが、海だな」
普通に海っぽいものと波のある水面が見える。ビーチもある。そして近くに高級そうな屋敷がちらほらある。そういう場所なんだろうか。
「海ですねえ。リゾートコロニーみたいなもんですかね?」
「お金持ちの居住区ですわね」
少し離れた位置から屋敷を見る。端末の望遠機能で見た感じ、屋敷の中にも複数の警備がいるようだ。
「人通りが少ないのはちょうどいい。でかい門と見張りが2人か。中に見えるのは5人。門は電子ロックだから通過できるが、見張りが邪魔だな。ノイジーなんとかできるか?」
「監視カメラの映像と電子ロックはどうにでもできます。生身の人間はそちらでお好きになさってください。警備まで連合の関係者です。殺して問題ないかと」
「よし、皆殺しでいこう。出発」
近くの車に乗って、堂々と正門へ。すると警備が寄ってくるので頭を撃ち抜く。トランクを開けて死体を運ぼう。持ち上げると重いし運びづらい。
「人間って重いな。70キロくらいあるから当然か」
「嫌ですねえ、死んでも迷惑かけてくるなんて」
言いながら軽々とトランクに死体を投げ込んでいるリリーとシオン。身体能力高いやつはいいな。連れてきて正解だった。門が開いたらそのまま車で中へ。
「ノイジー監視カメラハッキングして敵の位置を教えろ」
「了解です。1階右の部屋に3人。2階に2人。庭に3人います。それ以外はカメラがないため不明」
「1階から行く」
「はーい」
「了解ですわ」
「進路上の右扉の中が不明です。お気をつけて」
扉にたどり着いた瞬間、中から男が出てくる。俺が銃を構える前に、リリーがビームソードで喉を貫き、シオンがビームガンで頭をふっ飛ばす。
「おおー」
「どうだー」
「やりましたわ」
「いいぞその調子だ」
順調に殺していく。庭の敵は室内から狙撃。2階も撃ち殺していく。寝室や書斎などで情報を抜き取るのも忘れない。
「1階のリビングに女発見。男の妻ですね」
「殺していい。どうせ女は騒ぐし言うことを聞かない」
「ほーい」
「男との交渉材料にしてはいかがでしょう?」
「うーむ……騒いだら殺そう。大人しくするなら生かす」
リビングに突入。テレビ見ている女がいた。ああビッチだな。少なくとも整形だ。こんな質の悪いやつしか妻にできないとは哀れな。
「誰? 新しい護衛? ここにいる時は入ってくるなと言わなかった?」
「静かにしていろ。要があるのはお前の夫だ」
銃を向ける。不機嫌さを隠そうともしない女。
「はあ? ちょっと誰か! 誰かいないの!」
「みんな死んだ。行きているのはお前だけだ。わかったら静かにしろ」
「そんなわけないでしょ。さっさと出ていきなさい!」
女の顔すれすれを撃つ。静かにしてくれマジで。驚いた顔をしている女。撃つと思わなかったのかアホめ。
「ちょっと顔に傷がついたらどうするのよ!」
「どうせ適当にいじって作ったテンプレ顔だろ。大して変わんねえよ。それよりドクターミザリアについて知っているなら話せ」
「誰よ? 知らないわよそんなの!」
「本格的に役に立ちませんわね」
このあと情報を何も持っていないことが発覚。それだけ聞くのに10分もかかったぞ。なんだよこいつ。
「それで全部か?」
「だから何も知らないわよ。夫が何をしているかも知らない! そんなの興味ないから聞かれてもわかんない! だからおぶっ!?」
うるさいので頭を撃ち抜いた。やはり女は不快だ。気分を整えるためにも、今のうちに休んでおこう。なんとなく冷蔵庫を漁る。
「おっ、いい肉あるぞ。高そうなやつ」
「焼いちゃいましょうぜ!」
「こちらにお鍋がいっぱいありますわ。料理が趣味なのかしら」
「炒飯でも作るか」
キッチンも高級品っぽい。冷凍庫に米が小分けにしてあるし使おう。ネギと卵あるし、ここは炒飯だ。
「よし、一緒に作るぞ。まず鍋を温める。次に肉を切って焼く。チャーシューがなければ炒飯は作れないという軟弱な考えはやめろ」
「はーい! お鍋振ってみたいです!」
「いいだろう、だが鍋から飛び散らかすな。炒飯は格闘技だ」
「おっす!」
「暴れないでねリリー」
「ちゃんとやるもーん」
リズミカルに鍋を振るリリー。最初はゆっくり。慣れてきたら少し米が舞うくらいになる。シオンは心配そうに見ている。いつでもフォローに入れるように待機しているっぽい。
「ふっふっふー、おらおらー」
「調子こいてこぼすなよ」
「もう、手つきが危なっかしいわ」
鍋をリリーが、ネギ切って卵を混ぜるのがシオン。俺はベストタイミングで食材を鍋に入れる。こうして炒飯が完成。テーブルに並べてみんなで食べる。
「いいぞ、米がパラパラだ」
「おいしい!」
「じょうずにできましたね」
おいしく食べていると、家の主が帰ってきた。リビングを開けて静止している。画像で見ていた通り、白髪のおじさんである。
「なんだね君たちは。人の家で何をしている。警察を呼ぶぞ」
「炒飯食ってるだけだ。お前も食うか? お前の家にあった食材だ。食う権利はあるぞ」
「本当に何を言っているんだ! 君たちのような人間は見たことがない。まず名乗ったらどうだ」
「名前とかいいじゃん。炒飯やるからドクターミザリアについて話せ」
露骨に焦りが見えたな。何か知っているといいんだが。とりあえず銃を向ける。
「お前元助手なんだろ? 話せ」
「何者だ。コロニー同盟か?」
「いいや違う。それと電話は通じないからやめておけ。ただミザリアに会いたいだけだ。居場所が知りたい」
「知らん。本当に知らん。数年前から会っていない。どこかへ逃げた」
そこまではロッドの情報と一致する。だが元助手が知らないレベルで逃げているとなると、かなり追うのが難しくなるな。
「ミザリアか近いものへの連絡は取れるか?」
「ミザリアは不可能だ。だが今の副官の居場所はわかる。このコロニーから出ていない。連絡もつく」
「なぜミザリアはいない?」
「自分が狙われていることを知っている。少なくともこのコロニーにはいない。副官以外が連絡することもできない」
でまかせではないだろう。副官とやらにメッセージを送らせる。文面を見たが、いつものように相談したい。あの喫茶店で待つ。とだけ書かれていた。
「それだけか?」
「場所は私たちしか知らん。これ以上は会って話さなければならない。余計なことを書いた時点で疑われる取り決めだ」
嫌な予感がした。端末からこいつの場所は相手に知られる。メッセージと取り決めについては、俺たちは何の情報もない。罠の可能性が高い。SOSを送られている気がする。
「すぐにここを出る。爆薬セット」
「完了しています」
「爆薬!? 待て、この家は高かったんだぞ!」
「なら盛大にやらないとな」
探索中にも仕掛けておいた。あとはこいつを連れて喫茶店とやらに向かうだけだ。
「待て、せめて妻に会わせてくれ。家にいるはずなんだ」
「死んだよ。次はもうちょいましな女を探せ」
「そんな、あれでもまだいい方だったんだぞ!」
「あれで? 結婚しなきゃよかったのに。妥協して結婚しても幸せにはなれないぞ」
うなだれる男を確保して、車で屋敷を出る。同時に大爆発が起こり、振動は走行中の車にも伝わった。
「うははは! 派手にやりましたねぇ!」
「証拠は完璧に隠滅するのだ」
しばらく車を走らせていると、隣に妙な車が来る。素早く窓が空き、中から銃を持った男が顔を出す。嫌な予感がしていたので、あらかじめ銃を構えていた俺たちは、そのまま敵の車ごと撃ちまくった。穴だらけになり、壁に激突して敵の車は止まる。だがあれが最後じゃないだろう。
「敵が気づくのが早いな。やはりお前の端末から追跡されているか」
「これは喫茶店も嘘の可能性が高いですわね」
「オーナー、目的の喫茶店ですが、武装を隠した人間が多数張り付いています」
「なるほど、完全に罠か」
「うがっ!!」
男の肩を撃っておく。制裁はしておこうね。
「本当の居場所を教えろ」
「ぐっ……無駄だ。私を殺せば手がかりはなくなる。私の端末がなくなれば、副官には会えない。詰みだ」
「解析完了。このコロニーにあるバイオ研究所から信号が出ています」
「バカな!? セキリティを突破したのか!」
こいつの屋敷でデータは奪っておいた。この短時間で解析してくれたらしい。
「ならそこに行く」
男の端末を破壊。捨ててから研究所へ向かう。だが背後から複数の車が来る。
「少し遊んでやるか」
運転はノイジーに任せ、邪魔な追っ手を蹴散らすとしよう。




