ソニックホーク隊とユー兄弟
地球連合のソニックホーク隊とやらの実力を見てみよう。移動を続ける艦隊から離れ、小惑星を探り、周辺を探索し続けている。全部で4チームいるようだ。
『ソニックチーム1。異常なし』
『ソニックチーム2、異常なーし。次の小惑星へ向かうぜ』
結構な速さで飛び回り、宇宙の闇にブーストの軌跡が灯る。小惑星を手探りで調べては、次へ行くという地味な作業だ。
「ハヤテ様はどうやって位置をチェックしてると思いますー?」
「俺たちのドローンみたいに探知機を飛ばしているか、隠密部隊がいるか?」
「同盟軍のレーダーだけが高性能という可能性はありませんの?」
「可能性は低いでしょう。連合と同盟の技術はほぼ同レベルです」
長距離レーダーではないということか。だとしたらなんだ。先回りは無理だし、追ってきてるなら少数だろうか。
『異常なし。周辺に敵の反応がないなら、ここでまけるはずだが』
『あちらも全速で追ってくるだろう。我々は岩礁地帯を慎重に抜ける分だけ、追いつかれる可能性が増える』
『ここは我々が調べます。どうか本隊は進軍してください』
『やむをえんか。通信が届く距離にはいるように』
『了解』
じわじわと同盟軍が追いついてくる。お互いのレーダーに補足される頃、再び狙撃が開始された。今回は小惑星群が盾になるためか、極端に戦艦への被弾が少ない。だが被弾はしたのだ。
『自分の艦が足止めをします!』
『ならん、犠牲など出すべきではない』
『しかし、このままでは追いつかれます!』
どうやら残ろうとする連中がいるらしい。通信で揉めているが、このまま追いつかれれば被害はでかいだろう。それはそれで見てみたい。
「必死だな。殿を出すのか」
「犠牲が出てもアイドルを逃がすようですわ」
「ふんふむ、そろそろぶつかりあいも見たいですねぇ」
あっちの話し合いはまとまりそうだ。さあ戦闘を見せてみろ。
『自分たちの艦は最新型です。多少遅れても追いつけます。ソニックホーク隊と一緒に撹乱してやります』
『わかった。だが必ず追いついてこい。無駄死にはするな』
『了解です! 連合の力を見せてやりますよ!』
チームごとに散って小惑星に隠れるソニックホーク隊。戦艦は奥で隠れたまま、同盟軍が来るのを待っているようだ。
『レーダーに反応あり。来ます!』
やがて同盟軍の先発隊がやってくる。羽無しのコスモクラフトだ。ライフルとソード装備だろう。歩みは遅い。少しだけ、ほんの少しだけ孤立した機体にソニックホーク隊の機体が迫る。ブーストを切ってゆっくり背後までたどり着く。
『まだ敵影なし。このまま、うわっ!?』
油断したコスモクラフトが、背後からビームクローで刺されて爆散する。それを合図に、一斉に攻撃に移った鷹がコスモクラフトを沈めていく。
『敵が隠れていました! 応援を、があぁ!?』
『焦るな。待ち伏せくらい想定していただろう。距離を取って撃ち続けろ』
『遅いぜ宇宙人!』
地の利かパイロットの腕か知らないが、小惑星に激突してもおかしくない速度で飛び回っている連合軍。どうしても射撃だけでは追いつかず、接近戦になればソニックホーク隊が有利だ。こういう場所で戦うことを想定されているのだろう。汎用タイプのコスモクラフトでは分が悪い。
『特殊部隊か。こちらもユー兄弟を出せ』
『了解、出番だぞ!』
同盟軍も隠し玉がいるらしい。これは楽しみだ。出てきたのは、流線型の戦闘機っぽい何か。やたらと腕がついていて、コスモクラフトの3倍くらいのボディだ。でかい目もついている。明るい赤色の機体だ。
「おいおい、色物っぽいが大丈夫か?」
「変なのー」
変な機体はすべての腕からビームを出し、小惑星を掴んでぶん投げて突進していく。大雑把な暴力という表現が当てはまりそうだ。
『ソニックチーム2、敵の化物を発見。得体が知れねえぞ』
『ソニックチーム3、そちらに合流する。気をつけろ』
この宙域に向けてあの化物機体から通信が飛んでいる。
『ふうははははは! 我はショー・ユー』
『我はラー・ユー。我ら無敵の兄弟なり!』
名前判明。どっちも男臭いおっさんの声だ。
『ソニックチーム3、やつの背後を取る』
3機のバトルフレームが並んでこっそり移動。だが直前で化物の腕が真逆に曲がり、ビームによる牽制がかする。慌てて退避するソニックチームのみなさま。
「あの腕便利だな」
「便利っぽいですけど、結構技術いりますよ? ごっちゃになったら邪魔ですし」
「リリーの言う通りですわ。つまり、それだけの操縦技術があるのでしょう」
「設計からして複座式ですね」
兄弟で操作しているということだろうか。それはそれで凄いな。
『落ち着け。ソニック1と2でコスモクラフトを処理する。3、4で化物退治だ。小惑星をうまく盾にしろ』
『了解!』
ソニックホーク隊はあくまで機動力で戦うつもりだ。だが化物も素早い。素早いのできもい。もう全行動がきもい。
『逃げ切れると思ってんのかあ! 甘いぜ連合!』
化物の前面に巨大なドリルが2本出てくる。回転しながらビームを発生させてさらに加速。小惑星をぶっ壊して掘り進めて砕いていく。
『おいおいなんだありゃあ!』
『回避だ!』
『できねえんだなあ、これがよお!』
化物は直進してくる。しかもすべての腕が1方向にビームを連射してくるため、すべて回避するのはほぼ不可能だ。対応していたソニック4の機体に次々と被弾していく。
『しまった!? うわああ!』
『だめだ! 回避できない!』
『ぎゃあぁぁ!』
ソニックチーム4が撃墜された。こりゃ化物有利かもな。
『よくも仲間を……撃て! 撃ちまくれ! あれだけでかいんだ、撃てば当たる!』
ビームガンによる連射が化物を襲う。だが前方からの射撃はすべてビームドリルにかき消されていく。
『ふうはははは! 無駄無駄あ!』
『ぬふはははははは! 散れい!』
『そんな……だが側面を撃てば!』
『無駄と言うとろうがあ!』
化物の位置取りがやたら上手い。側面を狙われないように、的確に移動しつつ、ソニックホーク隊の背後から迫る。
『くそっ、だめだ! 追いつかれうわああぁ!』
『ちくしょう、もらったぞモンスターが!』
バトルフレームが側面に回り込んで、ビームを連射する。しかし、小惑星を腕で掴んで引き寄せて盾にすることで防いだ。
『なにい!?』
『ぬふははは! 無駄じゃい! そうれ!』
『ぐわああぁ!?』
ソニックチーム3もビームの雨によって撃墜されていく。やるねえ。ここまで強いとは思わなかったぜ。ただの色物じゃないようだ。
「同盟軍もやるもんだな。あんなもん投入してくるとは」
「軍で採用する機体には見えませんのに、不思議ですわね」
「見てて面白いから嬉しいですけどねー」
同盟軍は化物以外ほぼ始末されたようだ。ザコ散らしに行っていたソニックホーク隊が全機合流する。
『コスモクラフトは減った。あの化物に対処するぞ』
『待て、ソニックホーク隊は帰還しろ。もう殿の役目は果たした』
ここで艦長からストップがかかる。ソニックホーク隊はもうチーム1と2しか残っていない。全滅は避けたいのだろう。
『そいつは無理だぜ。今背中を見せれば撃たれる。あの化物はこっちと同じくらい速い。仕留めるしかないんだ』
『……わかった。なら本艦も加わる。なんとか主砲を当てれば落とせるはずだ。主砲発射用意! ソニック1、2は全方位から撃ち続けてくれ!』
『了解! 任せなあ!』
宇宙を飛び回り、ひたすら化物に向けてビームを撃ちまくっている。それでも致命傷を与えることはできない。
『諦めの悪いハエどもが! 我らに敵無し!』
『消え去れい!』
猛スピードで敵を追う化物。バトルフレームを破壊しながらも、全方位からの攻撃はじわじわと効いていく。多数の腕が破壊されていけば、当然手数も減っていく。隙をついてソニック1と2の隊長機が、化物の機体にビームクローを突き立てた。
『もらったぜ!』
『ぬううううう! 負けん! 負けんぞ!』
『その程度では落ちぬ!』
ブースターを斬り裂かれて速度が落ちた化物は、煙を上げて停止する。
『主砲発射!』
すかさず極太のビームが発射された。戦艦の主砲だ、ビームドリルでもかき消せない。苦し紛れに隊長機を掴もうと腕を伸ばす化物。だが味方機が体当たりで隊長機を逃がす。
『逃げてください!』
『馬鹿野郎! お前らが犠牲になることは……』
『逃げて!』
捕まった味方機は、そのまま主砲の渦に飲み込まれていく。
『ありえん、我らは不敗、不敗の兄弟ぞ!』
『こんなばかなああああぁぁ!!』
爆散し、宇宙に大輪の花火をあげる化物。だが犠牲は大きい。残ったのはソニック1と2の隊長機のみ。絞り出すようなか細い声が聞こえた。
『ちくしょう、お前らが死ぬことねえだろうが……』
『すまないみんな……オレがもっと強ければ……』
『2人ともすぐに戻れ。敵の本体が来る。逃げるなら今しかない』
『……了解』
こうして化物退治は終わり、殿を務めた戦艦は全速力で味方を追っていく。ひとまずは戦闘終了だ。さて次はどんなトラブルが待っているかな。




