謎の龍VSカイザーネクサスと田中
謎の青い龍みたいなロボが乱入。雷のような攻撃でワルキューレとコスモクラフト部隊を消していく。図体がでかいからか、雷もでかい。避けるのもひと苦労だな。
『潰せ! あんなやつに負ける我が軍ではない!』
ワルキューレ部隊も射撃を続けるが、効果はないようだ。敵の装甲が硬いのか、何か特殊なコーティングでもしているのだろう。反撃の雷でどんどん撃墜されていく部隊は、及び腰になりつつある。遠巻きに射撃を繰り返すだけになった。
『ボクの出番かな? スパークリングジャスティス、出撃するよ!』
ここで田中のド派手にギラついた機体が出陣。カイザーネクサスと並ぶ。ちょっといい感じだな。スーパーロボット共演というか、並んでいるのを見るとテンション上がりそうで悔しい。
『いくぞ悪しき龍! ダブルニーミサイル!』
『セクシービーム!』
でっかいミサイルとハート型のビームが飛んでいく。だがミサイルは雷に落とされ、ビームも龍の装甲を少し焦がしたかどうかレベルだ。根本的なスペックが違うらしい。
『邪魔をするか。ならばこちらが上であると示す』
龍が炎を吐きながら突進する。意外にもかなり速い。進路にある戦艦が頭にかじられて半壊する。さらに噛みちぎられて爆散した。戦い方まで龍っぽいな。
『人よ足掻け。悶えろ。憎め』
こいつの目的がわからん。人類絶滅でも狙っているのだろうか。巨体で動き回るだけで、コスモクラフトが破壊されていく。これほどの強さなら、本当に達成できるのかもしれない。
『カイザーランス……フラアアアアッシュ!!』
『シャイニングブーメラン!』
光るブーメランが雷への避雷針となる。雷バリアが薄くなったところへの連撃で、龍の装甲の表面が削られていく。だが致命傷ではない。
まとめきれなかった稲妻によって、ネクサスの右足が破壊された。付け根からごっそりとえぐり取られたように焼ききれている。
『ぐうっ、まだだ。まだカイザーネクサスは落ちぬ!』
『その程度で守護神を気取るか。散れ』
龍の巨大な口でネクサスの左腕と脇腹が食いちぎられて、火花と破片が飛ぶ。内部機構が露出しライトが明滅を繰り返す。相当ピンチだな。
『クリムゾンストーム!』
『ビューティーキック!』
ビームと輝くキックでわずかに龍の口が開く。その瞬間になんとか脱出したカイザーネクサスだが、もう半壊していると言っていい。かなりピンチだ。
「ボロボロですねぇ。さあどうなる? がんばれー!」
「もう少し抵抗しているところがみたいな。龍のスペックがわかる」
「あの龍、かなりの技術ですわ。どこで製造されたのでしょう?」
「今までハッキングしたコロニー同盟、地球連合、中立コロニーのどの軍にもデータなし。個人所有の可能性が高いのでは?」
ノイジーが言うと信ぴょう性出ちゃうんだよなあ。コスモクラフトとは明らかに技術ツリーが違う。興味が湧いてきた。
『恐れろ。絶対的な力というものを見せてやる』
龍の口に雷が収束していく。それがかつて無い威力であることくらいは察しがついた。しかも射線上にコロニーがある。
『それだけは、それだけはさせん! クリムゾンストーム!』
『オーケイ! ボクの力を見ておくれ! パッショネイトフラッシュ!!』
ミラーボールからぶっとい光線が出る。カイザーネクサスの赤いビームと合わさり、龍の放つ雷光とぶつかった。
『パワーが、パワーが足りないみたいだね!』
『まだだ! コロニーはやらせん!』
明らかに雷が優勢だ。どんどん押し込まれていく。だが戦艦の一斉射撃が加勢に来た。残っている戦艦の全主砲が合わさった極大のビームが、ようやく五分まで持ち直させた。
『称賛に値する。褒美だ、出力を8割まで上げよう』
『なんだと!?』
龍は手加減していたらしい。ビームの押し合いに変化が生じる。雷の勢いを止めることができず、最後はカイザーネクサスがその身を盾にするため前に出た。
『うおおおぉぉ! やらせるものかあああぁ!!』
『ノー! 死んでしまうよ!』
『死なぬ! 守護神は死なぬ! うわああぁぁ!?』
装甲が溶け、焼けただれ、やがて爆発を起こして散る。守護神カイザーネクサスは、破損した頭部だけで宇宙を漂うことになった。
『バカな……カイザーネクサスが! 急いで回収しろ!』
『ワルキューレ部隊、誰でもいい! パイロットの安否を確認するのだ!』
「なかなか面白かったぞ。主役でも恵まれた存在でも、圧倒的な力の前には無力。それはそれで愉快だ」
コロニーの守護神という特別な機体。エースパイロット。軍の援護。それだけ揃っても、正体不明の機体に蹂躙されて終わる。恵まれた連中がクソみたいな理由で負ける。そういうものが、俺は見たいんだ。
『ヘイユー! せめて目的を教えて欲しいな! 何もわからずに滅ぼされたんじゃたまったもんじゃないよ!』
『飽きた。故に平穏なる世を』
『意味がわからないね。どうしても戦わなければだめかい?』
『人よ消えよ』
竜の火炎を避け、スパークリングジャスティスの攻撃が、わずかだが龍の鱗を削る。だが内部まで破損させるには至らない。決定的に火力が足りていないのだ。
『これほどハードなミッションははじめてかもね』
『これ以上コロニーに近づけるな! 全機出撃させろ!』
さらなる増援がやってくる。戦艦もコスモクラフトも増え続けるが、ダメージ源は戦艦の主砲のみ。あたらなければ意味がない。
『さらなる絶望を送ろう』
竜は5個のパーツに別れた。頭1個。胴体3個。尻尾1個。どれも雷を纏い、さらなるスピードで田中たちに突進していく。
『ノオオォォ!!』
『止められません! がああ!?』
『コロニーに取りつかれました!』
『撃ち落とせ!』
胴体がコロニーに突き刺さって放電している。あれじゃコロニーもどうなるかわからんぞ。コスモクラフトが接近して斬りかかるが、放電の範囲が広く、下手すると爆散する。かなり詰んでいるな。
「よくわかんないけど勝ちですかねぇ」
「本当によくわからんままだな」
「煮えきらない終わり方ですわね」
「そうでもなさそうです。高熱源反応接近。コロニー内部からです」
『ハイパースピンパアアァァンチ!!』
高速回転するパンチが2個飛んできて、胴体をコロニーからふっ飛ばした。
「ネクサスの腕? 破壊されたはずだろ」
『災いをもたらす龍よ、このハイパーカイザーネクサスがいる限り、貴様の好きにはさせん!!』
謎の機体はネクサスを倍以上にでかくして、カラーリングをさらに派手にしたような出で立ちだ。赤と白がより強調されている。龍の頭部の前に立ちはだかる姿は立派なものだが、急に出てこられても困惑するわ。
「おいおいなんだあれ」
「開発中と噂のあったハイパーカイザーネクサスですね。サイズも含めて大幅にスペックが向上しています」
「パイロットの声が同じね。どういうことかしら?」
「カイザーネクサスのコクピットは頭部です。ギリギリで助かったのでしょう」
「うはははは! おもしろーい! いいぞアニメみたーい!」
運がいいというか、やはり選ばれし者は違うねえ。奇跡的に助かり、新型期までほいほい出てくるのか。気に入らねえ。
「結局主人公には勝てないってか? くだらん」
龍よ、せっかく出てきたんだ、そのよくわからん力で新型なんて潰しちまえ。力があれば恵まれた存在を、主人公を殺せると、殺しきれると証明してくれ。
『最初から全力でいく! スカーレットストーム!』
胸から真紅の竜巻が飛び出し龍の胴体を捉える。細かいダメージを与えつつ、竜巻が拘束を続けるようだ。同時に機体の腹からバスターソードを取り出した。
『ハイパーソード! 真空竜巻斬りいいいぃぃ!!』
バッサリいかれた胴体は大きく切り傷を作られ、内部回路が露出していた。
『ふん、火力だけは上げてきたか』
龍のパーツが集まり合体。再び長くてデカい形態に戻る。ハイパーカイザーネクサスを敵とみなしたのだろう。
『だけかどうか確かめてみるがいい!』
ハイパーはブーストを吹かして宇宙に軌跡を描いていく。かなりのスピードだ。雷の攻撃を避けながら進む。
『ハイパーキャノン!』
両肩と腰に砲塔が生えてくる。4本の光線が宇宙を彩りながら龍へ向かう。
『無駄だ。雷を突破することなど……』
『シャイニングブーメラン!』
ブーメランという避雷針により、雷のバリアがそれた。着弾したビームは大爆発を起こし、爆煙の晴れた箇所は表面装甲がごっそりいかれていた。
『貴様、まだ生きていたか』
『ボクは不死身さ!』
龍が炎を吐きながら新型ロボに突っ込んでいく。ハイパーカイザーネクサスは迎撃のためソードからビームが迸るが、今度は外傷がつかない。そのままネクサスに突っ込んでダメージを与え、鋭い牙で脇腹に傷をつける。
『ぬうぅ!? 防ぎきれんか!』
『頭部は特別頑丈でね』
噛みつきながらネクサスに巻き付いて締め上げていく龍。放電が直撃しているので、長時間の接近は新型でもきついだろう。
『ぐああぁぁ! この程度で倒れはせんぞ! ソードエネルギーフルチャージ!』
龍の胴体めがけてソードが振り下ろされる。先程大きく損傷した箇所に突き刺さったあと、眩い光が溢れ出して爆発する。
『こいつ損傷箇所を……戦い慣れしているか』
『胴体は潰せたようだな』
『胴の1個だけはな。だが褒めてやろう。見事だ。2個目もくれてやる』
龍がネクサスを離し、胴体を1個パージした。すると雷を一定の方向に流し続ける電流の檻が完成する。
『ぬうっ!? これは……』
『さらばだ。その力に免じて、胴体はくれてやる』
『逃げるつもりかい?』
『試運転で壊すわけにはいかなくてな。エネルギーはいただいた。コロニーの救助でもするんだな』
『どういう意味だ!』
それっきり龍は何も言わず、猛スピードで離脱していった。取り残されたハイパーカイザーネクサスとスパークリングジャスティスは損傷があり、雷の檻を破壊したが追っていけるほどの余力はない。
『コロニーのエネルギーが減っています。住民の避難と救助を優先してください!』
『なんだって!? くっ、あのときの放電か? すぐに行く!』
コロニーに突き刺さっていた胴体は、エネルギー吸収が目的だったらしい。そしてこいつらは人命救助を優先した。結果としてはまあ引き分けだろう。
「あーあ終わっちゃいましたね。もっと活躍見たかったのにー」
「結局モブしか死んでないしな。引き際がよくてつまらんぞ」
「そういえばアイドルはどうなったのでしょう?」
そういやこれアイドルのライブだっけ。もう微塵も関係なかったな。
「無事避難完了。お互いの戦艦に逃げ込んだようです。追跡もできます」
「サンライトガーデン側に動きがあれば報告しろ。ついでに龍についても調べておいてくれ」
あの正体不明の機体は少しだけ興味が湧いた。俺の邪魔にならなければ、しばらく泳がせておこう。アイドルの護衛なんぞつまらんと思っていたが、余興が増えてよかったな。なんとなくまた会える気もしている。そのときに期待しながら、少し眠りにつくことにした。




