財閥大爆発
ここから財閥の連中で遊んでいこう。
「誰だお前! どうやってここに来た!」
長男と次男が銃をこちらに向けている。反射的にその動きができる程度には、そういうシーンに遭遇しているのだろうか。
「昼間から酒なんぞ飲みやがって、来客用にお茶くらい用意しておけ」
「誰だと聞いている!」
「お前たちと財閥を消しに来た」
まず長男の右腕を撃った。ビームが腕を貫通し、骨が焼け砕ける音がした。
「ぐあああっ!?」
「てめえ!」
次男が発砲するも、ビームバリアで防ぐ。無駄だ無駄だ。だから気分がいい。
「無礼な! ここをどこだと思っているの!」
「黙っていろ」
「うあぁ!?」
女の足を撃ち抜いておく。女のでかい声はいらつく。敵対的だと殺したくなるんだよ。黙らせておかないと、全員さっさと殺しちまいそうだ。
次に次男の左腕を撃つ。ゆっくりよろめき、壁に背中をぶつけている。
「てめえ……クソが……」
俺はゆっくりと近づき、次男の腹を撃った。肉が焼ける音が小さく響く。
「がはあっ!?」
次男が体を折り、床に崩れ落ちる。俺は無言でその腹を、革靴の底で思い切り踏みつけた。体重をかけ、ゆっくりとねじり込む。
「うぐっ……! やめ……ろ……!」
「痛いか? ラプターも同じように痛かっただろうな。口にガトリングを突っ込まれて撃たれたのさ。お前らの雇った特殊部隊のせいでな」
「そうか、貴様はあの輸送船の、いや地球連合の工作員か!」
「残念はずれだ」
罰としてジジイの両膝を撃った。老人は椅子から転げ落ち、床に這いつくばる。
四人とも床に倒れ、四肢を押さえてうめいている。誰も死んではいない。ただ動けないだけだ。
「くっ……誰かいないのか! 侵入者だ!」
長男が後ろ手で警報機のスイッチを入れているのが見えた。残念、そいつはもう切っている。他のやつも端末から連絡を取ろうとして失敗しているな。
「無駄だ。どこにも連絡はできんよ」
俺はジジイの顔のすぐ横に立ち、ゆっくりとその顔を革靴の底で踏みつけた。鼻が潰れる感触が伝わってきて新鮮だなあ。
「やめろ! ワシを誰だと思っている! ワイルズスター財閥の総帥だぞ!」
「だから気分がいい」
「目的は何だ? 金か? 地位か?」
「どちらも足りている。ラプターはお前らが金のために捕まえて、売り飛ばそうとした。あいつはただ、星で普通に生きていただけなのに。お前たちのようなやつがいるから、希少動物が減り、禁輸が増え、動物好きは迷惑するのだ」
踏みつけながら肩を撃つ。くぐもった悲鳴がさらに増してとてもよい。
「うあぁ……!? ラプターの敵討ちとでも言うのか!」
「似たようなもんかな。今まで悲惨な目にあってきた動物たちの恨みさ。お前たちの悪事はすべて広まる」
「それだけなわけねえだろ。オレらを敵に回すんだ、本当の目的があるはずだ。敵対する財閥か、コロニー同盟か」
「毎回疑われるなそれ……俺はどこにも所属していない。個人でお前たちを殺しに来た、動物好きのおっさんだよ。財閥と密輸ルートが消せたら満足だ」
静まり返る一同。なんか信じてくれないみたいだ。そんな意外かね。
「貴様にどんな利益がある」
「今後動物が見やすくなる。裏で金持ちに買われることも減る」
「義賊のつもりか?」
「大義も正義もないさ。俺はヒーローじゃない。俺が気に入らないと思ったから、俺が消すんだ。シンプルでいいだろ」
別に理解されようと思っているわけじゃない。なぜ死ぬのか教えてやっているだけだ。人間の、ましてやクズごときの納得に協力してやるのも飽きたな。
「こうしよう、1人だけ生かしてやる。1人だけだ。誰がいい?」
「何を言っているのよ! そんなこと許されるわけないでしょう! 私たちにこんなことをして、絶対に許さないわ!」
「うるせえなもう……」
女の頭をふっ飛ばした。状況が読めていないくせに声がでけえよアホ。
「あと3人だな」
「オレはこの財閥の総帥だ。お前の地位も権力も金も約束できる。欲しい情報もすべて渡そう」
長男がプレゼン始めた。面白いから聞いていこう。
「待て、ならオレはこの財閥の裏ルートに詳しい。どんな生物でも持ってこれるぞ。絶滅危惧種でも楽勝だ。ルートもすべて使えるようにしてやる」
「ワシが現時点での総帥だ! 今日の襲名式まではワシがトップ、つまりあらゆる権限の付与はワシにしかできん。好きなものをやる!」
「くっくっく、ふははははは! いいぞ、醜いねえ! 財閥ほどの上級国民でもこんなもんか! こいつはいい!」
実にいい気分だ。今の俺には、こうして金持ちのクズを殺す力がある。その事実が本当に気持ちいい。気分よく次男に銃を向ける。
「まずお前はアウトだ。動物の密輸がNGだつっただろうが。じゃあな」
「待て! オレはうぐっ!? あうっ!」
次男は連射モードで肉塊となった。そいつを見て残りの2人は、少しほっとしたような、けれどまだ安全じゃないみたいな顔だ。
「オレを助ければ逃がしてやる。ここから逃がしてやるぞ。運よくここまで来れたみたいだが、帰りはどうする? ビルと敷地を逃げ切れるか?」
「面白い。どうやって逃げ切るんだ? ビルには従業員も記者団もいるぞ」
「本社ビルにいるのは、全員裏の稼業を知っている者だ。オレの命令で何でもする。記者団は財閥お抱えの連中だ。不利になることは報道しないし、命令を聞く」
焼き払って正解じゃねえか。クソの吹き溜まりを飾り付けるとここになるんだろうな。爆弾の範囲もっと広げようかしら。
「ダメだ。面白くない。皆殺しでいい」
「動物愛護団体を貴様に渡そう。それでどうだ?」
「断る。組織には属さない」
「いくらでも好きな女を与えてやる。女優でもモデルでも」
「却下。女なんぞに興味はない」
「オーナー、そろそろ会見が近いです」
「おっと、遊びすぎたか」
襲名式で人が集まる瞬間こそ帰るチャンスだ。一箇所に人が集まるから、裏道から逃げやすい。誰かが呼びに来る前に退散するとしよう。
「あばよ」
「ぐげあ!?」
「ぶべえ!?」
銃殺完了。全員の死体を撮影して、エレベーターに乗る。楽しかったぜ、スパイごっこ。このフロアは内側の階段からバルコニーに出られる。そこから屋上まで直通である。
「屋上に見張りなし。専用ヘリをジャック完了。いつでも飛べます」
「ご苦労。それじゃあ退散しますかね」
豪華なヘリに乗り込むと、これまた豪勢なシートと冷蔵庫がある。開けてみると酒ばっかりだ。シャンパンを開けて匂いを嗅ぐ。
「やっぱ酒の匂いは好きになれん」
飲まずに冷蔵庫に戻してゆったりとシートに座ると、ヘリが飛び立った。
「これにてミッションコンプリートだ」
「完走した感想でもどうぞ」
「楽しかったよ。ゲームやアニメみたいな体験ができたし、裏の動物密輸ルートも減ってくれれば嬉しいね」
「そちらも情報は流しています。摘発はされるかと。右手をご覧ください。爆発が始まります」
言われて見てみると、強烈な光が広がる。そして振動が一瞬で爆発的に広がっていく。空を覆うほどの煙が巻き起こり、轟音がヘリにまで響き渡る。爆炎はひたすらに敷地を飲み込み、煙が晴れる気配はない。
「はっはっはっは! こいつは派手だな! 気に入った!」
「ご期待に応えられて何よりです」
「さて、報道機関とSNSにあいつらの死体画像を送れ。行方不明じゃなく死亡だと知らしめるんだ。生存の可能性など考えられても困るからな」
「爆発とともに拡散させておきました。もう少し経てば話題になるでしょう」
「よし帰ろう。シオンとリリーが待っている」
ヘリでシャトルの待っている場所まで行き、乗り換える。当然ヘリは爆破しておいた。楽園へ帰ってみんなで飯でも食おうかな。食後にはニュースが見れるだろう。




