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アラフォーおっさんのSF無双記~最強コロニーとロボットをもらったので自分と美少女クローンだけの楽園を築く~  作者: 白銀天城


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輸送船潜入ミッションは続く

 クリムゾンラプターの捕まっている輸送船に侵入成功。船の端末からノイジーも入ることができたようだ。本格的に調査を開始しよう。ここからは俺と腕の端末のノイジーだけで進む。


「前方から誰か来ます。ライフルを所持。財閥の特殊部隊でしょう」


 早速端末から声がした。急いで周囲を見る。いくつか部屋があるな。ホログラムマップによると個室だ。


「この部屋を開けろ。待ち伏せする」


「了解」


 部屋に隠れ、通り過ぎるのを待ってから狙撃する。


「げうっ!?」


 見事脳天にヒット。倒れる前に掴んで、開いた部屋に蹴り飛ばす。


「ロック」


「完了です」


「ふっふっふ……これやってみたかった!」


「どれですか?」


「敵を背後から攻撃してゴミ箱とかにぶち込むアクション。暗殺とかスパイ系のゲームでよくあるんだよ。いやーまさか自分でやるチャンスがやってくるとは……なんかテンション上がるなあ!」


 スタイリッシュでいいよねあれ。やってみると暗殺者になったような気がして面白い。こういう日常のスパイスが異世界さんを楽しくするのだ。


「ささやかな夢がかなってよかったですね、オーナー」


「まったくだ。探索続行するぞ」


 一応慎重に、足音を消すように進む。敵がどこにいるかわからんので、緊張感を持っていこう。まずはクルーを見つけて話を聞かなくては。


「クルー5人はブリッジに集められています。少数が逃げた模様」


「そいつらを追うぞ」


 休憩室を見つけた。そっと扉を開けると、そこは広く涼しい。テーブルにクルーっぽい制服の男がいる。コーヒー飲んでいるし、意外と余裕あるなこいつ。


「だ、誰だお前!?」


「誰でもいい。この船で何が起きているか説明しろ」


「お前たちに教えることなんか何もない!」


 銃を見せつけておけば話が早いかと思ったが、なんか抵抗しそうだ。誤解を解くべきかも知れない。


「待て、俺は敵じゃない。ラプターを守りたいんだ」


「ラプターを? あんた誰なんだよ? どうやってこの船に来た?」


「特殊部隊とは無関係だ。あとはいいだろ。それより……」


 銃声が聞こえた。同時に獰猛な叫びと、何かがぶつかるような音がする。


「始まったか」


「何をした?」


「あいつらの言いなりになるくらいならと思ってね。ラプターを檻から解放してやったんだ。あんたも油断すると死ぬぜ」


 最悪だ。いくら俺でも無傷で捕獲できる気がしない。少し嫌な展開になってきたぞ。なんとか情報を引き出そう。


「ラプターをどうやって連れてきた? おとなしくさせる方法があるのか?」


「その場にいたわけじゃないが、麻酔銃でもぶち込んだんだろ。檻の中じゃ涼しくしとけば静かだったぜ」


「なるほど、ちょっときついな」


 麻酔銃そのものはある。だが効くのかわからん。どのくらいの量なら眠るのか。まず寝かせても運べないぞ。思考が止まる前に、外の騒ぎが聞こえなくなる。


「誰だか知らねえが気をつけな。あいつらは入口が狭ければ入ってこない。ここみたいに冷房が効いてりゃ、長居はしない」


「そうかい。アドバイス感謝しよう」


 休憩室から出て廊下を見ると、ズタボロになった兵士が2人死んでいる。ラプターは爪も牙も鋭いようだ。引きちぎれているパーツもあるので、力も凄いのだろう。あまり出会いたくはないな。


「付近に反応無し。オーナーの意向に沿ってナビゲートします」


「個別に動いている特殊部隊を殺す。船の進路は?」


「変更されたままです。戻すには数時間以内が最適でしょう」


「いいね。制限時間付きのミッションか」


 船のマップを見ながら動く。3階建ての構造らしいな。今いるのは2階で、ブリッジが3階。ラプターの檻と格納庫があるのが1階か。


「前方の曲がり角に特殊部隊2。ラプターから逃げてきた模様」


「煙幕弾を使う」


 足音を聞きながら姿を確認。特殊部隊だ。近くなったら投擲。そのまま曲がり角に逃げる。


「なんだ!?」


「逃げた連中か! 出てこい!」


 銃を乱射しながらこちらに来る。だが足取りは重いようだ。反撃を想定していなかったのかも知れない。視界が煙で塞がれたまま、どう出るのか確かめようとしたその時、さらに奥から咆哮が響いた。


「グオオオアアアアアア!!」


「しまった、追いつかれたぞ!」


「くそっ、走り抜けろ! 視界を確保して、うがあぁ!?」


 1人食われたな。銃声とともに叫び声が聞こえた。もう1人は息を潜めてこちらに来る。俺はゆっくりと距離を取り、存在を気づかれないように銃を構えた。


「ぎゃああぁ!?」


「声が違う。追加で食われた?」


 特殊部隊なのに食われるのが早すぎる。嫌な予感がする。とっさに走り出すと、何かが音を立ててこちらに来る。


「走ってください。味見では済まなそうですよ」


「最悪だよ!」


 さらに煙幕をばらまいて逃げるが、どんどん距離が詰まっている感覚がある。


「次の角を右に、一番近い部屋を開けます」


「うおおおぉぉ!」


 なんとか駆け込んで逃げ切った。扉をガンガン叩く音がするが、今はただ距離を取るだけだ。


「煙と銃撃の中で、なんであんな正確にこっちに来るんだよ」


「複数の目の中に、体温を感知するものがあるはずです」


「そういやそんな説明聞いたな」


 音がしなくなった。諦めたのか、それとも陣取って待っているのか。しばらく出られそうもないな。疲れが取れたら行動再開だ。


「ここからどうやって出る?」


「反対側から通路に出られます」


 そこまで計算してんのか。さすがAI。今いる倉庫を抜けて、安全な通路を歩く。どこも似た作りだな。鋼の船は白を基調としていて、なんか病院みたいな感じだ。同じ宇宙船でもうちとは違うな。


「エレベーターには敵がいます。左の非常口ならノーマークでしょう」


「開かないぞ?」


「アナログ式ですね。こちらからはどうにもできませんが」


「壊しゃいいんだろ」


 小型のビームソードを持ってきている。ビームの刃を出して、鍵を切断して入る。中ははしごと薄暗い通路があった。


「とりあえず3階だな」


 非常口のはしごを一気に駆け上がり、3階の通路に出る。息が少し上がっていた。まだやれるはずだ。ヨガとストレッチの効果をなめんなよ。


「まずはブリッジの集団を潰して航路を戻す」


「素晴らしい判断です。頭が回るくらい体力が残っているのは成長ですよ」


「だといいがね」


 足音を殺して廊下を進む。白い壁に赤い血痕が飛び散っていた。ラプターが通り過ぎた証拠だ。空気が生臭い。人間は死んでも不快にさせてきやがる。


「通路の先に敵兵2」


「ほいほい」


 ビームガンをホーミングモードにして、曲がり角から乱射する。


「うげえ!?」


「がぶあ!?」


 よしヒット。なんか逃げてきた雰囲気だったな。適当な部屋に突っ込んでロックを掛けておく。ゆっくり血しぶきと死体のある通路を歩くと、両開きの大きな扉の前に来た。


「はい変な音がしています。うーわ帰りてえ」


 ブリッジで銃声と何か硬いものがぶつかる音が響いている。扉を開けたくない。中から獰猛な咆哮が聞こえた。


「グオオオオオ!!」


「うわああああ! やめろ!」


 特殊部隊の男が血まみれで飛び出してきた。右腕がなくなっている。


「来るな! 化け物が!」


 部屋から赤い影が飛び出した。クリムゾンラプターだ。6つの赤い目が妖しく光り、長い牙を剥き出しにして男の背中に飛びかかる。男の胴体が縦に引き裂かれた。さらに部屋の中から獣の声が響く。最悪だ2匹いるぞ。


「撤退!」


 ブリッジがどうなっているかくらい想像がつく。急いで戻るしかない。


「ゴアアアア!!」


 全力ダッシュで今来た道を戻る。1匹がこちらへ突っ込んでくるのがわかった。


「ノイジー、隔壁を閉じろ! あいつらを閉じ込める!」


「了解。できるだけ距離を取ってください」


「無茶を言いおる!」


 この世界に来てから初めての全力ダッシュだ。死ぬ気で走って非常口へ飛び込むと、ラプターが扉に豪快にぶつかって止まった。


「ガアアアアア!!」


「悪いな、お前と殺し合いはごめんだ」


 はしごをするすると降りていく。とりあえず1階の扉まで来てしゃがみこむ。


「おめでとうございます。1匹を非常口のエリアに隔離できましたね。走りも過去最高のタイムでしたよ」


「はあ……はあ……しんど……しんどい……ダッシュがしんどい」


 おっさんにダッシュさせんな。こんな本気で走ったのはいつぶりだろう。扉を開ける前に、座り込んで休憩することにした。上ではまだラプターの咆哮が聞こえるが、こちらまで降りてくるには広さが足りない。


「あーくそ……体がもたねえ……」


「それにしても素晴らしい動物愛護の精神ですね。あれだけのピンチになっても撃たないとは」


「アホ、急所がわからんのに立ち止まって撃てるか。即死させなきゃこっちが大怪我するわ。俺はなるべく安定を取るの」


「なるほど、まだオーナーの心を理解しきれていないとは不覚。会話の時間を増やすことを提案いたします」


「帰ったらな。ビームバリアってあの牙とか爪を防げるか?」


「試したことはありませんが、おそらく可能です」


 俺の服のバリア装置も、それなりの効果は発揮する。少なくともビーム兵器や銃弾から爆破まで完全に防御してくれる。だがラプターで実験するつもりはない。俺は安定チャートで異世界を遊ぶのだ。じゃあ潜入ミッションすんなとかは言ってはいけない。そこはもう楽しそうだったんだもの。


「はあぁ……よし、少し歩こう」


 10分ほど休憩して、非常口を出て1階を歩く。壁や床の損傷が激しい場所もあるな。檻があったらしいから当然か。しばらく何も起きないように祈りながら、探索を再開するのであった。

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