品川の飯盛旅籠の目玉はやはり新鮮な魚介料理だな、まずは安い値段で人を集めようか
さて。
品川の公許遊郭化に伴い、俺は飯盛旅籠の一つを買い取り、品川の街で働く飯盛女たちの生活改善に取り組んできた。
寝る場所を整える。
食事を改善する。
病気になれば治療を受けさせる。
客に無茶をさせない。
働く女たちが、少しでもまともに生きられる場所を作る。
そうしたことは、もちろん必要だ。
だが――。
いくら働く環境を改善しても、そもそも客が来なければ話にならない。
店に金が入らなければ、女たちの待遇を改善し続けることもできないからだ。
「結局のところ、まず客を呼ばなきゃ始まらないんだよな」
俺は朝の品川の通りを眺めながら、小さく呟いた。
潮の匂いが風に混じっている。
沖のほうからは船頭たちの声。
街道では旅人たちの足音。
荷車の車輪が地面を軋ませる音。
海と街道。
二つの流れが、この町にはある。
吉原とはまるで違う。
そして――。
こちらには海がある。
「だったら、海を使わない手はないよな」
品川には、その日の朝に揚がった魚がある。
江戸の町へ運ばれていく前の、新鮮な魚介がある。
それならば。
品川にしかできない目玉を作ればいい。
◇◇◇
「急げ急げ! 溶かすなよ!」
「へい!」
朝から男たちの声が飛び交っていた。
今日のために。
冬の間に凍らせ、氷室で保存していた氷を運び込んでいる。
藁やおがくずで包まれた氷。
それを人足たちが慎重に担ぎ、旅籠の中へ運び込んでいく。
夏の陽射しは容赦がない。
扱いを間違えれば、せっかくの氷もただの水になる。
氷は、この時代には決して気軽に使えるものではない。
だからこそ価値がある。
「氷そのものが客寄せになるんだからな」
俺は運び込まれる氷を眺めた。
冷たいもの。
夏。
そして新鮮な魚。
この三つを組み合わせれば、面白い商売になる。
市場から、魚が次々と運び込まれてきた。
カツオ。
イサキ。
アジ。
チダイ。
シタヒラメ。
アオリイカ。
そしてサザエ。
まだ魚の目には濁りが少ない。
身には張りがある。
アオリイカの身は、透き通るようだった。
貝の殻を開けば、潮の匂いがふわりと広がる。
「やっぱり、これが品川の強みだよな」
海が近い。
だから魚が早い。
この時代には冷蔵庫などない。
魚を遠くまで運ぼうとすれば、どうしても鮮度は落ちる。
だから干物にする。
塩漬けにする。
保存できる形へ加工する。
それが普通だ。
生の魚を、美味い状態で食える場所は限られている。
海の近く。
魚が揚がる場所の近く。
だからこそ、品川には価値がある。
「市場が近いってだけで、立派な商売の武器になる」
俺は運び込まれた魚を眺めながら頷いた。
◇◇◇
もちろん。
今の時代に魚を生で食うといっても、現代人が思い浮かべる刺身とは少し違う。
魚の身を切る。
皿へ盛る。
そして酢味噌。
酢生姜。
からし酢。
そうしたものと一緒に食べる。
膾の文化が、まだ強い。
「刺身といえば醤油、って時代じゃないんだよな」
俺はチダイを眺めながら呟いた。
現代なら。
刺身といえば醤油。
わさび醤油。
それが当たり前だ。
だが、今は寛文二年。
醤油そのものは存在している。
しかし、後の時代のように、江戸の庶民が当たり前に良質な濃口醤油を使う時代ではない。
大阪方面から運ばれてくる下り醤油は高価だ。
関東でも醤油造りは始まっているが、後世の銚子や野田のように、大量生産された濃口醤油が広く普及するのはまだ先の話になる。
つまり。
今なら逆に、醤油そのものが特別感になる。
「美味いものがあるなら、使えばいい」
俺はそう考えている。
実際、野田ではすでに醤油造りが行われている。
味噌造りから取れる豆油を利用した醸造も知られている。
後世には、この関東の醤油文化が大きく発展していく。
ならば。
その流れを、少し早めてもいい。
「品川で、新しい食べ方を広める」
それも悪くない。
俺は買い付けた醤油を見た。
そして。
わさびも用意させる。
酢味噌。
からし酢。
酢生姜。
それに。
わさび醤油。
客には、好きな食べ方を選ばせる。
美味いと思えば、その食べ方が広まっていく。
商売とは、案外そういうものだ。
◇◇◇
今日。
品川の旅籠では、特別な催しを行う。
――定額刺身食べ放題。
その知らせは、少し前から吉原と品川で配っている。
引き札。
現代でいうところのチラシのようなものだ。
紙へ大きく。
『品川 三河屋』
『新鮮魚介 定額にて食べ放題』
『本日限り』
そう書いて、人通りの多い場所で配らせた。
かわら版へ広告を折り込む。
そんな現代のような方法は、まだ使えない。
だから。
人が配る。
人が声を上げる。
「本日、品川三河屋にて特別催し!」
「新鮮な魚介を、定額にてお楽しみいただけます!」
「好きなだけ食えるぞ!」
人の声で噂を作る。
最初は半信半疑だった者もいた。
だが。
食べ放題。
しかも、新鮮な魚介。
その話は、思った以上に人々の興味を引いた。
◇◇◇
品川の旅籠へ戻ると、すでに店の中は朝から慌ただしかった。
桶が並ぶ。
氷が砕かれる。
冷たい水が張られる。
そこへ魚や貝、イカが運ばれていく。
魚を氷へ直接押しつけるのではない。
冷やしながら、なるべく鮮度を保つ。
魚屋たちの包丁が忙しく動いていた。
とん。
とん。
とん。
鱗が取り除かれる。
腹が開かれる。
血が洗い流される。
新鮮な身が、次々と切り分けられていく。
「おい、そっちのアジはまだ切るな!」
「へい!」
「チダイは客が来る直前だ! 身が乾く!」
「わかりました!」
厨房には、いつもとは違う緊張感があった。
今日の料理は。
ただ作れば終わりではない。
客が来る。
食べる。
皿が空く。
また切る。
また盛る。
客の流れを止めずに、魚の鮮度も落とさない。
それが今日の勝負だった。
そして。
大皿が運ばれてくる。
その上へ。
カツオ。
イサキ。
アジ。
チダイ。
シタヒラメ。
アオリイカ。
サザエ。
色とりどりの魚介が盛られていく。
赤。
白。
銀色。
透き通るようなイカの身。
殻を開いた貝。
その横には。
酢味噌。
からし酢。
酢生姜。
そして。
俺が用意させた醤油と、わさび。
普段の品川では、なかなか見られない光景だった。
客が好きなものを選ぶ。
好きな食べ方で食う。
そして。
好きなだけ食う。
価格は――。
五百文。
◇◇◇
「五百文か……」
帳面を眺めながら、俺は改めて考える。
安い。
とは言えない。
庶民が毎日の飯代として使う金ではない。
腹を満たすだけなら、もっと安く済む。
蕎麦を食う。
飯を食う。
そういう普段の食事なら、五百文も必要ない。
だから。
これは日常の飯ではない。
『今日は少し贅沢をする』
そういう時の金だ。
現代で言えばお高い焼肉や料亭で食べてみるみたいな感じだろう。
だが――。
今日用意したものも、日常の飯ではない。
朝に揚がったばかりの魚介。
カツオ。
イサキ。
アジ。
チダイ。
シタヒラメ。
アオリイカ。
サザエ。
七種類。
しかも。
氷で冷やしながら鮮度を保っている。
氷を作る。
保存する。
運ぶ。
魚を買う。
運ぶ。
料理人を使う。
皿を並べる。
調味料を用意する。
客には好きなだけ食わせる。
「まともに計算したら、普通なら五百文じゃ済まねえな」
俺は苦笑した。
一種類だけ食って帰るなら。
五百文は高い。
だが。
チダイを食う。
アジも食う。
イカも食う。
サザエも食う。
カツオも食う。
そうやって一品ずつ頼めば、そのたびに銭が積み上がる。
「腹いっぱい食えば、得をしたと思わせる」
俺は帳面を閉じた。
「少し食っただけなら、ちょっと高いと思わせる」
その境目が大事だ。
客は店へ入る前に考える。
五百文。
安くはない。
だが。
『新鮮な魚を好きなだけ食える』
そう聞けば、話は変わる。
武士なら、同僚を誘って来るかもしれない。
商人なら、取引先との付き合いに使うかもしれない。
少し金回りのいい町人なら。
『一度くらい試してみるか』
と思うだろう。
そして。
一度店へ入ってしまえば、五百文以外の商売もできる。
酒を飲む。
追加の料理を頼む。
泊まる。
そして――。
遊女を呼ぶ。
刺身食べ放題そのものでは、ほとんど儲からなくてもいい。
いや。
今日に限っては、赤字でも構わない。
これは。
料理を売る商売じゃない。
「品川という場所を売るための商売だ」
まず。
品川へ来てもらう。
そして。
「品川には面白い店がある」
そう思ってもらう。
一度来た客が、また来る。
旅人が誰かへ話す。
大名屋敷の奉公人が別の屋敷で話す。
商人が取引先へ話す。
噂が広がる。
『品川に面白い旅籠ができたぞ』
『五百文で魚を好きなだけ食わせる』
引き札を何千枚配るより。
実際に客が、
『面白かった』
『うまかった』
と言ってくれるほうが強い。
「五百文は、刺身の値段じゃない」
俺は帳面を閉じた。
「客を品川へ連れてくるための広告費だ」
だから。
今日だけは赤字を恐れない。
客が十人来て終わるより。
百人来て。
百人が、
『面白かった』
と思って帰るほうがいい。
そのための五百文。
安すぎない。
だが。
この内容なら、明らかに得。
そして。
『一度くらいなら払ってみるか』
と思える値段。
俺にとって五百文とは、そういう価格だった。
◇◇◇
昼が近づく頃には、店の前へ人が集まり始めていた。
「本当に五百文なのか?」
「魚を好きなだけ食えるらしいぞ」
「品川でそんなことをやる旅籠があるのか?」
ざわざわと声が広がっていく。
暖簾が揺れた。
一人。
二人。
客が入ってくる。
そして。
次々と店の中へ案内されていった。
俺は主人へ尋ねる。
「今日の予約はどんな感じだ?」
主人は帳面を抱えたまま答えた。
「はい」
一瞬。
嬉しそうに口元を緩める。
「座敷は、すべて埋まっております」
「そうか」
俺も笑った。
「それはよかった」
だが。
主人の表情が、少し引きつった。
「ただ……」
「ん?」
「その中に」
ごくり。
主人が唾を飲み込んだ。
「薩摩藩藩主、島津光久様もいらっしゃいます」
「……なるほど」
俺は少し考えた。
薩摩藩の江戸屋敷は、このあたりからそう遠くない。
吉原まで足を運ぶより、品川のほうが来やすい。
「そういうことかもな」
「そ、そういうことかもな、ではありません!」
主人が声を裏返らせた。
「大藩の大殿様でいらっしゃいますよ!?」
「吉原じゃ親藩や譜代のお殿様も普通に客として来るぜ」
「それは……そうでしょうが……」
主人は落ち着かない様子で周囲を見回した。
失礼があればどうする。
粗相があればどうする。
そんな不安が顔に書いてある。
俺は肩をすくめた。
「今後は大大名の藩主様が来ることだって増えるだろう」
「……」
「うまくやっていくしかない」
「わ、わかりました」
島津光久。
薩摩藩二代目藩主。
島津忠恒――後の家久の子であり、猛将として知られる島津義弘の孫でもある。
しかも。
江戸生まれだったりする。
そして薩摩は、面白い土地だ。
米を作れる土地には限りがある。
それに比べて、抱える武士は多い。
石高だけでは家臣団を維持しにくい。
だからこそ。
薩摩は交易を利用してきた。
琉球を経由した品々。
外から入ってくる珍しい産物。
そして、新しい収入源。
「……薩摩と繋がるのも、悪くないな」
俺は小さく呟いた。
今すぐ何かをするわけではない。
だが。
商売を考えるなら。
遠い土地との繋がりは、それだけで価値がある。
美味い魚を食わせて。
まず顔を覚えてもらう。
商売の縁なんてものは、案外そこから始まる。
「……まあ、まずは殿様に満足して帰ってもらうのが先か」
◇◇◇
しばらくすると。
一人の遊女が、少し足早に俺のところへやって来た。
「戒斗様」
「ん?」
「薩摩のお殿様が、戒斗様とお話をしたいそうであります」
「おう」
俺は立ち上がった。
「わかった。今行くぜ」
廊下を歩く。
畳の上を足袋が擦る。
向こうの座敷からは、客たちの笑い声が聞こえてくる。
「こっちのイカをくれ!」
「アジも残っているぞ!」
「酢味噌をもう少し!」
「その醤油ってのも持ってきてくれ!」
店は完全に活気づいていた。
いい。
この賑わいだ。
これが欲しかった。
料理を食う客。
酒を飲む客。
笑う客。
女と話す客。
そのすべてが店の中にある。
そして。
その熱気が、いずれ品川の町へ広がっていく。
俺は薩摩の殿様がいる座敷の前へ立った。
障子の向こうには、普段とは明らかに違う空気がある。
付き従う者たち。
静かな緊張。
だが。
中からは、楽しそうな声も聞こえた。
俺は一度、息を整える。
「三河屋楼主、戒斗」
そして。
「失礼いたします」
すっと障子を開けた。
座敷の中へ視線を向ける。
そこには、堂々とした男が座っていた。
島津光久。
「うむ」
光久が俺を見る。
「そなたが、この新しい楼主か」
「はい」
俺は頭を下げた。
「見事な料理である」
「お褒めの言葉をいただき、誠にありがたく」
光久の前には、大皿がある。
すでに何種類もの魚介が食べられていた。
「特に」
光久は箸で一切れの魚を持ち上げた。
「このチダイの刺身は見事であるな」
口へ運ぶ。
ゆっくりと噛む。
「そして、このわさび醤油というものも面白い」
「お気に召しましたか」
「うむ」
光久は頷いた。
「魚の味を殺さず、それでいて香りが立つ」
俺は笑みを浮かべた。
「この時期のチダイは、マダイよりうまいと言われることもございます」
「ほう」
「身の旨味が強く、今の季節ならではの味でございます」
「なるほどな」
光久は、もう一切れ箸で取った。
「薩摩では、なかなかこういう食い方はせぬ」
「でしたら」
俺は頭を下げる。
「品川へ来られた際には、また新しいものをご用意いたします」
「新しいもの?」
「はい」
俺は少し笑った。
「海から来るものは、まだまだございますので」
光久の目が細くなった。
「面白いことを言う男だ」
その一言に、周囲の者たちがわずかに表情を動かした。
俺は内心で笑った。
気に入られた。
まずは、それで十分だ。
「何より」
光久が大皿へ目を向けた。
「旨味を逃さぬよう、丁寧に処置してある」
「ありがとうございます」
「それでいて安い」
俺は少し困ったように笑った。
「流石に、毎回この価格は難しいところでございます」
「そうであろうな」
「ですが」
俺は続けた。
「可能な限り、食べやすい価格にしていくつもりでございます」
「ほう」
光久の目が少し細くなった。
「それは女に関しても、そうしてもらえるとよいのだがな」
座敷の空気が、わずかに変わった。
「どうも吉原は堅苦しい上に、価格が高すぎる」
なるほど。
そこが本音か。
俺は少し考えてから答えた。
「吉原にも安い店はございます」
「うむ」
「そして品川にも、高い店があってよいと考えております」
ただし。
「同時に」
俺は光久を見た。
「あまり堅苦しくなく、手頃な値段で利用できる店も必要かと」
光久の口元がわずかに上がった。
「うむ」
「身分の高い方だけではなく、旅人や武士、商人にも利用していただける場所を作りたいと考えております」
「なるほどな」
光久は酒を口へ運んだ。
「我ら薩摩隼人は、公家かぶれではないのでな」
豪快な笑い声が座敷へ響いた。
「肩の凝らぬ場所のほうが性に合う」
「でしたら」
俺は深く頭を下げた。
「どうぞ今後も、よろしくお願いいたします」
「うむ」
光久は頷いた。
「贔屓にさせてもらうとしよう」
「ありがとうございます」
そして。
光久は、ふと俺を見た。
「戒斗」
「はい」
「薩摩には、江戸にはないものも多い」
「……ほう」
「琉球から入る品もある」
その言葉に。
俺は少しだけ目を細めた。
なるほど。
向こうも、俺をただの旅籠の主人として見ているわけではないらしい。
「機会がございましたら」
俺は笑った。
「ぜひ、お話を伺わせていただきたく」
「うむ」
光久は満足そうに頷いた。
それだけだった。
具体的な話は、まだ何もない。
だが。
商売の話というのは。
最初から大きな契約で始まるとは限らない。
美味い飯。
面白い会話。
そして。
次に会う理由。
まずは、それで十分だ。
◇◇◇
座敷を出たあと。
俺は内心で、小さく拳を握った。
よし。
とりあえず。
薩摩の殿様の胃袋を掴むことには成功したようだ。
品川には海がある。
新鮮な魚がある。
そして。
吉原とは違う客層がいる。
西国の大名。
芝や高輪に屋敷を構える武家。
旗本。
街道を行き交う旅人。
彼らに。
「遊ぶなら品川へ行こう」
そう思ってもらえればいい。
座敷の外からは、まだ客たちの賑やかな声が聞こえていた。
魚を切る包丁の音。
酒を注ぐ音。
女たちの笑い声。
客が皿を叩く音。
「こっちにもイカを!」
「まだ食えるぞ!」
「次はサザエだ!」
そして。
開いた障子の隙間から、潮風が静かに吹き込んでくる。
魚の匂い。
酢味噌の香り。
酒の匂い。
人の熱気。
吉原にはない。
品川だけの賑わい。
俺は廊下から、その光景を眺めた。
五百文。
今日の刺身食べ放題だけを見れば、儲けは少ない。
あるいは。
赤字になるかもしれない。
だが。
それでいい。
今日、ここへ来た客が。
『品川は面白い』
そう思って帰ってくれれば。
次は友人を連れてくる。
その友人がまた誰かへ話す。
店が増える。
人が集まる。
商売が生まれる。
街が変わる。
「さて」
俺は、もう一度店の中を見回した。
「次は、この街そのものを繁盛させていくか」
品川には。
まだまだ使える強みがある。
海。
街道。
港。
人の流れ。
そして。
江戸へ入る者と、江戸から出ていく者。
すべてがここを通る。
「旅籠一軒を繁盛させるだけじゃ、もったいないよな」
俺は笑った。
品川という土地そのものを。
もっと面白くする。
人が来る理由を作る。
金が落ちる場所を作る。
そして。
「品川へ行けば、何か面白いことがある」
そう思わせる。
今日の五百文は。
そのための最初の投資だった。
品川には。
まだまだ使える強みがある。
そして俺には。
それを商売へ変えるつもりがあった。




