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第7部 第11話 凱歌の夜明け――ハクザン建国と三妃の誓い

王都を取り囲んでいた暗雲は、今や一欠片も残っていない。

広場を埋め尽くす民衆の熱気は、かつてないほど高まっていた。壇上に立つのは、死の淵から蘇った軍神――ルーニー・ハクザン。

その隣には、奇跡の復活を遂げたアイリスが、聖女のような清廉な輝きを纏って立っていた。

「……ルーニー様。……こうしてまた、あなたの隣で風を感じられるなんて」

アイリスの瞳に、ひと筋の涙が伝う。魔人核の毒に侵され、深い眠りの中で彼女が祈り続けたのは、ただ一つ。ルーニーの勝利と、彼の無事であった。

ルーニーはその手を力強く握り返すと、広場を埋め尽くす何万もの視線を受け止めた。

「皆、聴いてくれ! ……かつてこの国を覆った恐怖の影、シオンはもういない! だが、我らが作るのは、ただの『過去の再現』ではない!!」

ルーニーの声が響き渡る。

「身分や生まれ、魔力の強弱で人の価値が決まる時代は、今日この時をもって終わらせる。……信じるのは『義』。……守るべきは『民』。……この理想を掲げ、私は本日、この地を新たな国家 『ハクザン国』 として樹立することを、ここに宣言するッ!!」

――わぁぁぁぁぁぁぁッ!!!

地鳴りのような歓声が王都を揺らした。それは、長きにわたる弾圧から解放された民たちの、魂の叫びであった。

「……そして、今日この佳き日に、私はもう一つの誓いを立てる」

ルーニーが視線を送った先には、戦場を共に駆け抜けた二人の女性がいた。

一人は、ヴァレンタイン伯爵家の令嬢でありながら、騎士として常にルーニーの盾となり続けたエヴァ。

もう一人は、その知略で幾度も絶望的な戦況を覆してきた、ハクザンの頭脳たるテイラーだ。

「……アイリスを正妃とし、そして、これまで私と共に泥を啜り、血を流して戦い抜いてくれたエヴァとテイラー。……この二人を、私は側室として迎え入れ、生涯を共にする。……異論のある者はいるか!」

「……ルーニー様……っ」

エヴァは顔を覆い、感極まって肩を震わせた。一介の騎士として死ぬ覚悟だった彼女に、ルーニーは「最愛」という名の居場所を与えたのだ。

その隣で、常に冷静沈着だったテイラーも、今日ばかりは少女のような顔で頬を朱に染め、震える指先でルーニーの衣の裾を握りしめていた。

「……ははは! 異論などあるものか! 我らが姫君たちの最高の舞台だ!」

壇下では、ヴァレンタイン伯爵が豪快に笑いながら、涙を隠さず叫んでいた。

ゲオルグやマックスウェル、エリーゼたち「黒金の塔」の隊長たちも、武器を掲げて祝福の声を上げる。

「……三成。見ていてくれ」

ルーニーは、三人の妻となった女性たちの手を繋ぎ、青空を見上げた。

(……お前と語り合った『誰もが笑える国』。……前世では果たせなかった夢の続きを、俺はこの地で、この愛する者たちと共に刻んでいく)

ハクザンの白銀の旗が、かつてないほど誇らしげに翻った。

軍神ルーニーが導く、新しい「義」の時代の幕開けであった。

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