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第7部 第10話 偽りの跪拝(きはい)――軍神、闇を断つ

別のところに投稿していたようです。大変申し訳ございませんでした。

今後このようなことがないように注意します。もしよかったら何か間違いを犯していたら教えていただいたら大変嬉しいです。この度は本当に申し訳ございません。

王城の門前、石畳に額を叩きつけ、必死に命乞いをする男がいた。

かつて王国を恐怖で支配したシオン王の、見る影もない姿であった。

「……お、お願いだ! 助けてくれ、ルーニー様! エレオノーラ様! 私が悪かった、全てはあの魔族どもに唆されたことなのですッ!!」

泥と涙にまみれ、震える声で懇願するシオン。かつての傲慢さは消え失せ、今はただ一介の罪人のように震えている。

「……ルーニー様、あなたは『義』を尊ぶお方だ。降伏した私を殺せば、あなたの名に傷がつく! 私は隠居し、二度と表舞台には出ない! だから……どうか、どうかこの命だけはッ!!」

シオンは震えながらルーニーの足元まで這いずり、その靴に口づけせんばかりに頭を下げた。エレオノーラは悲痛な面持ちでその姿を見つめ、ルーニーはただ静かに、冷徹な双眸で彼を見下ろしていた。

「……ルーニー様、ありがとうございます……慈悲深いあなたなら、許してくださると信じて……」

シオンが顔を上げた瞬間、その瞳にドス黒い殺意が閃いた。

「……死ねッ! まぬけがぁぁぁッ!!」

袖口に隠していた毒塗りの暗器が、ルーニーの喉元をめがけて最短距離で突き出される。助けてくれと泣きついていたその顔は、一瞬で獲物を狙う蛇のような醜悪な笑みに変わった。

――キィンッ!

硬質な音が響く。

ルーニーは一歩も引かず、腰の刀を抜くことさえせず、鞘の先だけでその暗器を正確に弾き飛ばした。

「……やはりな。……お前という男の底は、最初から見えていた」

ルーニーの冷徹な声が、夜の静寂を切り裂く。

「前世でも、お前のような輩を嫌というほど見てきた。……命を惜しみ、義を売り、最後にはその情けに縋って背中を刺そうとする。……お前には、王として死ぬ資格すらない」

「……ぐ、あああッ! なぜだ、なぜ当たらんッ!!」

策が失敗し、もはや言い逃れができなくなったシオンは、逆上して自らの胸を掻きむしった。そこには、二つの 『魔人核』 が禍々しく脈動している。

「なら、貴様もろとも消してやるッ! この力で、全てを無に帰してやるわぁぁッ!!」

シオンは自ら魔人核を握り潰し、体内に暴走した魔力を流し込んだ。

肉体が内側から弾けるように膨れ上がり、骨が突き出し、皮膚は硬質な鱗に覆われていく。理性を捨て、ただ破壊と憎悪の塊となった 「半魔人」 が、王城の前に咆哮を上げた。

「……下がっていろ、母上。……アノーラ、母上を頼む」

ルーニーは静かに一歩前へ出た。

ヴァレンタイン伯爵やマックスウェルたちが加勢しようとするが、ルーニーはそれを手で制した。

「……これは、俺がケリをつけるべき『不義』だ」

ハクザンの旗が風に翻る中、ルーニーは軍刀を正しく構えた。

前世、大谷吉継として、友のために、そして己の信じる「義」のために戦い抜いたあのときと同じ覚悟が、その刃に宿る。

「シオン。……地獄へ行くには、まだ早すぎる。……せめてその魂、俺の『義』で断ち切ってやろう」

半魔人と化したシオンが、巨躯を揺らして突撃してくる。

ルーニーの瞳が、狂乱の中に唯一存在する「勝ち筋」を射抜いた。

――刹那。

銀の閃光が、夜の闇を一閃した。

咆哮は断ち切られ、静寂が訪れる。

シオンの巨躯は、ルーニーとすれ違った瞬間に凍り付いたように止まり、その胸の核が真っ二つに叩き斬られていた。

「……あ、……ぁ…………」

魔力が霧散し、シオンは元の弱々しい人間の姿へと戻っていく。

彼は自らの胸を抑え、最期にルーニーの背中を、信じられないものを見るかのように見つめながら、その場に崩れ落ちた。

王都に差し込む暁の光。

ルーニーは刀を鞘に納め、静かに、深く息を吐いた。

今後このようなことがないように本当に気をつけます。

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