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N.M.― 起源分岐戦争  作者: ブラックななこ
死神(過去編)

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アリの断絶

――― 10月21日 シャックルトン基地 管制室


フィリップは自分の椅子に座り、近くのモニターを見つめている。

モニターには基地のインフォメーションが表示され、太陽光パネルの発電量がリアルタイムで変化している。


画面の脇には、日付や時間なども表示されている。


「レオン・・・21日って何かなかったか?」


フィリップはモニターに表示されている日付を見て、レオンに尋ねた。


「21日ですか?

――いえ、今日の予定は何も入っていませんが・・・」


レオンはタブレットを操作して、予定を確認したが、特に何も予定は入っていなかった。


「どうかしました?」


「いや、21日に何かあったような気がするんだが・・・」


そう言って、椅子のひじ掛けに肘をつき、手のひらに額を置くと、左右に首を振って考え込む。


「ケン! オマエ、何か覚えてないか?」


レオンがケンに尋ねた。


「知りませんよ!

それより、今、それどころじゃないかもしれないんですよ!」


ケンは少し強めの声で言い放った。

その様子が気になってレオンがケンの傍に寄る。


「どうした? 何かあったのか?」


「あ、いえ・・・連絡が取れない場所があって・・・」


レオンは眉を寄せながら尋ねる。

「それは・・・地球のってことか?」


「そうです・・・でも、現在連絡が取れないだけで、

連絡が取れる可能性はありますよ。」


「どこだ?」


そんな時、管制室にマーカスが入ってくる。


「すいませーん。」


その声にレオンとフィリップが振り返る。


「マーカスか・・・どうした?

もしかして、レールガンが完成したのか?」


フィリップが眉を上げ、期待しつつ尋ねた。

マーカスは真面目な顔で答える。


「違います。」


その答えにフィリップが肩を落とす。

マーカスが続けた。


「素材をまだ決めかねてるんですよ。

月と地上では環境が違うんで、何が良いのかを探ってます。」


「そう・・・か・・・出来たら教えてくれ。」


「はい。」


フィリップは大きなため息をついた。

そして、冷めた目でマーカスに尋ねる。


「それでは、何しに来たんだ?」


「いえ、例の動画、そろそろ届くんじゃないかと思って。」


「例の動画・・・!!」


フィリップが思い出したように、目を見開いて手を叩く。


パンッ!!


「そうだ、21日! 動画が届く最短予定日じゃないか!!」


フィリップの声にケンがビクリと体を震わせる。


「そうです!

それで、確認に来ました。」


マーカスはそう言いながら、右手で耳の下を3回ほど擦った。

レオンも反応して口を開いた。


「コマンダーが、先ほど予定を確認していたのは、それでしたか・・・」


「そうだ! 来てないか?」


レオンはタブレットで確認する。


「来てませんね・・・ケン、連絡は来てないか?」


ケンはうつむいたまま、答えなかった。

その様子にフィリップが尋ねる。


「どうした・・・?

連絡は来てないのか?」


「それが・・・」


レオンが険しい顔になる。

「ま、まさか・・・連絡つかないってのは・・・」


ケンが青ざめた顔で頷いた。


「?」

マーカスは、意味が分からなかった。


「レオン、何かあったのか?」


マーカスは黙って見つめ、フィリップが尋ねる。


「私も先ほど聞いたばかりなので、詳しいことは分からないのですが・・・

アリ天文台との連絡が取れていないそうです。」


「「え?」」


二人が驚く。

フィリップが慌てて尋ねる。


「ケン! 本当なのか?」


ケンは椅子を回転させ、3人の方を見る。


「本当です。 3日ほど前から応答がありません。」


「3日前・・・18日ぐらいから応答がないのか?」


フィリップはそう言って、目を左右に泳がせる。

レオンがすぐに問いただした。

「なぜ、報告しなかった!?」


「レーザー通信は天候に左右されます、絶対じゃありませんから・・・

で、観測班にも頼んでチェックしてみたんです。」


「観測班に?」


「ええ、天候を観測してもらったんです。

それが、この画像です。」


ケンが管制室の大型モニターに地球の画像を表示させる。


「拡大します。」


地球の画像が拡大され、チベット地方は砂嵐の影響で黄色の雲が渦巻いていた。


「季節風による黄砂のようです。 これは3日ほど続きました。」


3日間の画像を表示しながら説明する。

フィリップは説明を聞いてホッとした表情になった。


「では、連絡つかないのは問題ないだろう・・・」


「それが・・・これが、今日の画像です。」


さらに画像が1枚表示される。

チベット地方の黄砂は消え去り、雲一つない状態が見て取れた。


「今日は黄砂の影響はありません・・・ですが、まったく応答がありませんでした・・・」


「地上の短波ネットワーク網ではどうなんだ?」


ケンは厳しい顔になる。


「それが、短波ネットワークでも、アリ天文台からの電波が入ってこないそうです。

それは今日だけではなく、この数日・・・アリ天文台の電波は受信できないと・・・」


「まずいですね・・・」


マーカスがつぶやいた。

その言葉にフィリップとレオンがマーカスをバッと振り返り見た。


「何がまずい!?」

「気づいたことがあるのか?」


二人の迫力に、マーカスは両手を胸の前に開き、体を反らして距離を取る。


「いえ、普通に感想ですよ。 さっきの情報だけでは何も語れません。」


マーカスの答えにフィリップは肩を落とす。


「そうか・・・」


「しかし・・・原因が何にしても、連絡が取れない限り、動画は手に入りませんね・・・」


マーカスはそう言って眉間にしわを寄せ、困った表情で人差し指を眉間に当て、黙り込んだ。


「ケン、アリ天文台の次のウインドウは何時間後だ?」


フィリップの問いに、ケンはキーボードを叩き、全天文台のカウントダウンを開く。

指でカウントダウンウインドウをなぞって、アリ天文台を探す。


「21時間32分後ですね。」


「とりあえず、明日にかけるしかあるまい・・・」


フィリップは管制室中央の小さなテーブルに両手を広げて置き、大型モニターのカウントダウンを見つめた。


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