刹那的詩人(Who composes poem?) (Proof of my existence. より)
[1st]
うだる現の中で
滑らせた刃が、私の
覆いを切り裂く
裂け目から覗く血は
さも当然の様に流れる
音も無く、ただただ
脊髄を駆け上るシの足音と
苦痛に隠されたセイの実感が
抱き合って、絡まり合って
けれども反発する彼らの狭間、
確かに在る境界に
漂い、揺れる、私の心
[2nd]
"シ"という言葉の響きに
初めて怯えた時
(或いは知った時)
私のセカイは血を流し
未だ破瓜を続けたまま
白地は産小屋だ
インクは血飛沫だ
どちらも
この無形の出産の、余波
でしか無いのだ
刹那の世界に封じられた
私の苦悩、感動は
レコードテープの様に
ざざ波に重なって、貴方の
セカイの中で再生される
[3rd]
綴られた言葉は
重なり合って、初めて
重みを持つ、史書の如く
それは傷付き、倒れた
私の骸達への餞で
黄ばんだ頁が手から零れる
五感全てで今を感じる
未だ満ちぬ光、微かな香り、
静寂な地平、体を
撫でるそよ風、
―――地に滴る血
全てを捨てて此処に至る
過去を踏み越え此処に居る
故に私の言葉は、何にも
縛られぬ、陥れられぬ
孤高の正午と為ろう
これこそ、私の誇り
そして、私の墓標だ
[4th]
心は心臓に宿ると云うが
この瞳から溢れ出る、この雫は
なぜ赤色では無いのだろうか
なぜ透き通っているのだろうか
意味なき全ての共通解
ただ、其処に在ると云う真理
また、否定する人の心理
もしくは、虚数解を求める詩人
沈まぬ太陽へ、走り
続ける私は、まだ至らぬ
めくらのまま進み続ける
[Fin.]
刹那的感動を繋ぎ止め
刹那的衝動に流されて
私は詩を紡ごう
私は詩人、私は自身を
そう定義して、此処に居る
そう定義して、傷を舐める
舌に広がる味は、私だ―――




