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<自撰>新染因循詩集  作者: 新染 因循
2014年
19/37

刹那的詩人(Who composes poem?) (Proof of my existence. より)

[1st]


うだる(うつつ)の中で

滑らせた刃が、私の

覆いを切り裂く


裂け目から覗く血は

さも当然の様に流れる

音も無く、ただただ


脊髄を駆け上るシの足音と

苦痛に隠されたセイの実感が

抱き合って、絡まり合って

けれども反発する彼らの狭間、

確かに在る境界に

漂い、揺れる、私の心


[2nd]


"シ"という言葉の響きに

初めて怯えた時

(或いは知った時)

私のセカイは血を流し

未だ破瓜を続けたまま


白地は産小屋だ

インクは血飛沫だ

どちらも

この無形の出産の、余波

でしか無いのだ


刹那の世界に封じられた

私の苦悩、感動は

レコードテープの様に

ざざ波に重なって、貴方の

セカイの中で再生される


[3rd]


綴られた言葉は

重なり合って、初めて

重みを持つ、史書の如く

それは傷付き、倒れた

私の骸達への(はなむけ)

黄ばんだ(ページ)が手から零れる


五感全てで今を感じる

未だ満ちぬ光、微かな香り、

静寂な地平、体を

撫でるそよ風、

―――地に滴る血


全てを捨てて此処に至る

過去を踏み越え此処に居る

故に私の言葉は、何にも

縛られぬ、陥れられぬ

孤高の正午と為ろう


これこそ、私の誇り

そして、私の墓標だ


[4th]


心は心臓に宿ると云うが

この瞳から溢れ出る、この雫は

なぜ赤色では無いのだろうか

なぜ透き通っているのだろうか


意味なき全ての共通解

ただ、其処に在ると云う真理

また、否定する人の心理

もしくは、虚数解を求める詩人


沈まぬ太陽へ、走り

続ける私は、まだ至らぬ

めくらのまま進み続ける


[Fin.]


刹那的感動を繋ぎ止め

刹那的衝動に流されて

私は詩を紡ごう


私は詩人、私は自身を

そう定義して、此処に居る

そう定義して、傷を舐める


舌に広がる味は、私だ―――

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