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<自撰>新染因循詩集  作者: 新染 因循
2014年
18/37

懐疑と盲目の指輪(Innocent) (Proof of my existence. より)

[Act.1st]


≪1≫

僕らは人、使徒

ではなく 翼もなく

地を這い、光だけを瞳に

映すがまま


≪2≫

触れて感じる、互いの間隔

――――僕は君で


混ざり絡み、溶けゆく境界

――――君が僕で


揺れ彷徨う熱に

意味を求める 拍動

揺らぐ自我、(ゆめ)(うつつ)のセカイは

無限遠へ集束し

夢幻園は終息し


≪3≫

互いの心を暴く術は無く

勘で感じた、君

髪に(うず)め、見え隠れ

する顔は 僕の―――嗚呼(ああ)

願望で構成された 仮想だ

(それは 或いは 欲望か)



[Act.2nd]


≪1≫

神が僕らに心を生み

それ故に、懐疑に

沈む心 (まこと)の意味を

求み、探し、取り零し


≪2≫

僕は人だ 耳は2つだ

例えどれ程、澄まそうとも

無音の残響に踊る事は無い

―――その笑みに秘めた

(そこに何も無い事さえも)


僕は人だ 手は2つだ

例えどれ程、伸ばそうとも

陽炎に触れる事は叶わない

―――揺れる面紗(ヴェール)に似た

(どちらが現かさえも)


(―――判らぬまま、微睡みの中)


≪3≫

聖夜の響き、街に沈み

幼子の心に翼は生え

純白の輝きも映えて

美しき純粋を対価に

夢を渡る、トナカイ

鈴の音色は淑やかに


贈り物は空から降る

訳では無い、雪は降るが


広げた手は、器には

成り得ないのだ

僕らの心と同じ事さ

―――零し続けるのだから


[Act.3rd]


≪1≫

握った手で、ただ繋がれ

二重螺旋の姿で

想いを叫べるならば

君はそれを望むのか

それとも、僕の

独り善がりな想いか


≪2≫

夜の深さ

―――人の業に似た

孤独な咎の叫びに 

迷い、惑い

己の脆弱さは、また

僕の瞳を覆うのだ


人々の顔、ネオンの(もと)

今は天下の資本社会

信頼の重み、紙の束達に

取って代わられ

街燈の影に覗くティッシュ

ただ疑念の色が浮かぶ


≪3≫

愛さえ無償では無い

―――人が人である限り


僕は君を想い続ける

―――君が君である限り


だから、僕が

僕である限り―――



月はやがてビルに溶け

永劫を刻む、太陽と共に



[Act.4th]


このリボンは僕の後悔で編まれている

箱は葛藤が突き破った僕の血で彩られ

指輪の台座に横たわるダイヤは―――


君に、僕の弱さを贈ろう

そうすれば何時か、僕は意味を

知る事が出来る、無償の愛の姿を

疑念に浸る事でしか生きれぬ

僕の愚かさを許しておくれ



時折、恐ろしくなる

そんなにも気高い君が

僕を愛している事が

果たして現なのか、と

その囁きは果たして

僕を指しているか、と

悪魔が囁くのだ

例えば、こんな寒い月夜に


神よ、どうして!

断崖の百合の様に

届かぬ高みに座して

いれば良かったのに!


嗚呼、世界がメルヘンであれば

どれ程に楽で在った事だろうか

素直に受け止められたのだろうさ



このダイヤは永遠の象徴だ

ただ、僕が君を縛る為の

―――僕が僕である限りの

あるいは

これは契約だ、僕との永劫の

ただ、僕だけを愛す事を刻む為の

―――僕が僕である限りの

君が拒まぬと知る僕が

これを贈る、その傲慢を

罵ってくれ、恨んでくれ


天使よ、今宵

力の限り角笛(トロンボーン)を吹け!

1柱の翼が捥がれるから!

穢れた地に縛り付けてしまうから!


それでも、君が僕を許し

愛すならば、愛すならば

僕の弱さを贈ろう、(かた)に填め

―――疑わねばならぬ弱さを

いつの日かこの呪縛を

放ち、共に昇る為に


だから、君の強さを僕におくれよ

―――誰かを信じる強さを

いつの日か、ただ笑える

世界へ共に昇る為に


これが全てだ、全てなのだ

僕は弱さで出来ている

君の強さで僕を埋めてくれ

―――何にも表さなくていい

―――何にも表せなくていい

伽藍と響く、この大きな穴を


そして、誓ってくれ

全てを信じる様に成れるまで

「僕が僕である」から愛すことを


霞かかった幼い記憶

絵本の中の王子と姫を夢見た

その世界へ、君となら

ゆける気がするのだ



[Act.End]


貴方は疑わぬ事を

知らないのでしょう

それは喉が、やがて

渇く様に当たり前で


その愚かさは愛おしい

その弱さも愛おしい

―――貴方は四つん這いの大人

それらは同時に、叡智にも

強さにも成り得るのだから

―――貴方は荒野に聳える大樹


愛そう、愛そう、愛しましょう

―――天の賛歌が輝く限り


貴方が貴方であるから

愛すのでは無いのです

ただ愛したいから愛すのです

どんな指標(ラベル)も表せない、貴方自身を

どれだけ沈もうと輝く存在そのものを


貴方だけを見ます、想います

例えどれ程、疑われようとも

それさえも愛しいと思うから


対価は要りません、この想いに

勝手に抱き、貴方を巻き込んだ

愚かに徹した傲慢であるから


でも、貴方が

まだそれを信じれぬ事を

また私は、知っています

―――それは貴方自身の存在証明


だから贈りましょう

貴方自身を信じる強さを

疑わずに前を向く強さを

そして悲しみを

スパイスに添えて

―――存在を対価に愛す悲しみを


もうすぐ、この扉は

叩かれ目を覚ますでしょう

そして、その僅か後に

一筋の泪が頬を伝います

―――誰の?

―――それは私、それは貴方


その輝きは、あの宝石に似て

ただ永遠の誓いを映す雫です



未来は、無数の糸で編まれています

紡ぐのは私、貴方、あるいは―――



ほら、貴方は扉のすぐ其処に

いつか、この広げた絵本が

黄ばみ、埃を(かむ)る、そんな日へ

私は一歩を踏み出します

足並みを揃える貴方の姿を追って

私はこの扉に手を掛けましょう



天秤はまだ

釣り合わないまま

雪は降る

無音に輝きながら

刹那に止まれ

そうして瞳は絡み

時はまた揃い

そして――――――



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