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金と黒の王国2  作者: 朔夜
彼女は手探りで進む
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第31話 彼女は得る②

久々に更新。

 今日はフレメイアの月、光の12日。

 私は肉体操作件を得ると、昨日入手したアイテムをバニィの肉以外コンテナに入れてから、冒険者ギルドに向かうことを選択しました。


 神殿と<青い鳥>は後回しです。

 神殿は寄進によるターン変動の有無が気になるからですが、<青い鳥>については何となくで、特に深い意味はありません。

 ジェラールは期限までは間があるので、なおさら後回しでOKです。


 辿り着いた冒険者ギルド内は、早い時間だというのに賑わっています。

 入口で出てきた選択肢の中で『受付に向かう』を選ぶと、進んだ先で何故か、またしてもアレンさんが受付内に座っていました。

 何かあったのでしょうか?


 私と同様に気になったらしいルーシェリカさんが、アレンさんの居る受付に向かっていきます。


「おはようございます、アレン殿」

「おはようさん。ルーシェリカちゃん」


 アレンさんはコレといって別に変わった様子もなく、にこやかでした。

 単に気分で受付に座っているのか、はたまた担当者が1人お休みで代行しているだけなのでしょうか?


 ルーシェリカさんは証拠品である『ルバウルフの毛皮』を提出します。


「んー……惜しいな。追加報酬条件には1個足りてない。何かに使うかもしれねぇし、コレ2つ返すぞ」


 アレンさんは鑑定を終了させて数を確かめると、少し残念そうにそう言いました。

 そういえば、ルバウルフ討伐の追加報酬は3匹から――1匹分足りていませんでしたね。

 この花火エフェクトに何か追加されたりするかもしれないと想像していただけに、私としても残念です。 


『討伐依頼を達成!!

 民衆の支持が15上がった。

 証拠品として、ルバウルフの毛皮を10失いました』


 Cランクの上昇値は15ですか。

 Dランクは10でしたし、モンスターのレベル的に開きが少ないせいなのかもしれませんが、差はあんまりないようです。


「順調、順調。な、ルーシェリカちゃん。今度引き受ける依頼は、レイニドール街道から離れた場所のモンでもやってみたらどうだ?」


 アレンさんはそんなことを言ってきました。

 そういえば、ルーシェリカさんのモンスター狩り場って、今のところレイニドール街道一択ですね。

 一度だけ、ジェラールと一緒に遠出しましたけど、アレって採取が目的ですし。


「日帰りで行ける範囲なら神殿の守護結界の効果もあって、そこまで強いモンスターは出ねぇぞ。ルバウルフが相手に出来るなら、充分いける」


 ふむ。

 それなら、他の土地にも足を延ばしてみましょうかね。

 まあ、討伐クエストって対象モンスターが出没しやすい場所が記載されていますから、別にあえてレイニドール街道に拘っていたのではないのですけど。


 他にもアレンさんは話しかけてきましたが、ちょっとしたおしゃべり程度のことでした。

 今回は、前回とは違ってイベントの御誘いはないようです。

 紛らわしいですね。


 そのまま冒険者ギルドを出ると、私は<青い鳥>に向かいました。

 チェックしましたが、昨日の今日であるせいなのか、キラービィの針は『売り切れ』となっています。

 在庫がないなら仕方がありません。

 なので、昨日入手したバニィの肉(状態まあまあ)を5個売るだけにしました。50ギラー、げっと。


 お次は神殿に向かいました。

 まず祝福を受け、祈りを捧げると、昨日から新たに出現した選択肢『寄進』を突っつきます。


「カーティスの加護を受けし子よ、どれだけの寄進をしますか?」


  100ギラー

  500ギラー

  1000ギラー


 ……創造神って、偶にですけど微妙に不親切になりますよね。

 メモ帳の進行ページもそうでした。進んだ選択肢は何なのかは分かるのですが、モンスター名とアイテム名が書いてないという微妙仕様。


 この状態だと寄進効果が何なのか、全然分からないです。

 料金を払って、一度内容を見てみないと分からない。

 無料だったのなら効果が想像出来なくても全然構いませんけど、有料ですし。ちょっと説明が欲しかったですね。


「まあ、いいや。100ギラーから試してみよっと」


 今日はジェラールに図鑑を渡しに行く以外、明確に予定を立てていませんから、ターン経過もあんまり気になりません。

 私は早速、『100ギラー』を選びました。


「……では、私の後についてきてください」


 そう言って、セシルさんは神殿の奥の方へ向かって歩き出しました。

 あとに続くルーシェリカさんのことを考えているのか、歩みは比較的ゆっくりしています。


 セシルさんはいつも祈祷所へ行く途中、通り過ぎる方の通路に足を踏み入れました。

 ほどなくして見えてきた最初のドアを開けると、その中に入っていきます。


 あとに続いて入った私が見たのは、薄暗かった今までが嘘のように明るい部屋でした。


 部屋の広さは、だいたい12畳ほどでしょうか?

 1人掛けのソファーが対面の状態で2つ、置かれています。

 他には何もありません。

 ただし、奥に続く部屋があるのでしょう。入口とは反対方向の壁に、入ってきた時見たのとまったく同じドアがあるのが目に入りますね。


「――そちらに座ってください」

「はい、分かりました」


 指示された通り、ソファーに腰を下ろすルーシェリカさん。

 セシルさんも正面にあるソファーに腰を降ろします。


「では、目を閉じて、楽にしていてください」

「はい」


 ルーシェリカさんがまぶたを下ろし、視界が暗くなった数瞬後のことです。

 言葉はありませんでしたが、セシルさんが神聖術を使用したのでしょう。白い閃光が、降りたまぶたを透かして一瞬だけ見えました。


「……掛かりました。目を開けて、触ってみてください」


 セシルさんの声に。

 ルーシェリカさんが目を開けると、文字の連なった画面のようなモノが体の手前に浮かび上がっていました。 


『取得済みスキル。

 短剣(素質A・現在MAX)、鞭(素質A・現在MAX)、格闘(素質B・現在C)、闇魔法(素質A・現在B)、高速詠唱(素質A・現在D)、急所攻撃(素質S・現在MAX)、連続攻撃(素質S・現在B)、緊急離脱(素質S・現在C)、投擲(素質A・現在D)。

 未取得、現行取得可能スキル。

 先制攻撃(素養B)、範囲攻撃(素質A)、必殺攻撃(素養A)、見切り(素質S)』


 おやぁ?

 これって、もしかして、もしかしたりするんでしょうか? 


 ピローン!

 効果音が鳴り響き、天の声ナレーションが浮かび上がります。


『セシルに100ギラーの寄進をすることにより、取得済みのスキルUP、または新たなスキル取得が可能です。

 未取得の現行取得可能スキルは、現状では取得条件を満たしていないものの、今まで行ったことがある特定の行動の繰り返しによって会得することが出来るモノのみ挙げられています。

 スキルの名前を1回押すことでその説明が、2回押すことで取得するかどうかの選択が浮かびます。

 画面の端を押すことで、コマンド終了になりますので注意しましょう。

 一度に複数のスキル取得が可能ですが、スキルポイントが十分でなければ取得は不可能です。

 この寄進によるターン経過は1ターンです。

 なお、寄進は1日に一度しか実行出来ません』


 なるほど。

 寄進はターン経過ありですか。

 移動する距離が長くなるか、スキルいじるのに時間が掛かる影響でしょうかね?

 ま。

 1日で全部把握することが出来ないのは残念ですけど、納得は出来ます。

 1日に何度も同じ人間から寄進を受けるのって、他人の目にはおかしく思われますからね。


 残念ですが、500ギラーは明日見ましょう。

 1番低い100ギラーでも、ちょっと便利ですからね。期待出来ます。

 スキルが低いうちは微々たる違いでしょうけど、確実に戦闘が優位になりますし。


 何はともあれ、100ギラーはスキル操作と覚えましょう。

 天の声ナレーションが消えても、スキル操作画面は残ったままです。まだ私の意思で動けますし、多分、行動しないとそのままなのでしょうね。


 では早速、操作してみますか。

 取得済みのスキルより、未取得の方が気になりますね。

 『先制攻撃』を一回押すと、ぱっと説明文が浮かび上がります。


『先制攻撃。文字通り、敵よりも先に攻撃出来るスキル。

 当人による先制攻撃が成功することで、攻撃力にスキルレベルによる補正がつく。

 敵と遭遇した際、敵より先に初撃を20回当てる。現在、18回』


 こ、これは……分かりやすいですね。さっきの選択肢とは大違いです。

 あと2回だけなら、今このスキルを取得してしまうのは損ですね。止めときましょう。


『必殺攻撃。文字通り、一撃のもとに敵を倒すスキル。

 低確率で、レベルが上の敵に対しても一撃死が可能になる。攻撃力にスキルレベルによる補正がつく。急所攻撃と相性が良く、相乗効果がある。

 敵を一撃のもとに倒した回数が30回以上。現在、6回』


 微妙な回数ですね。

 ちょっと保留にして、次行ってみましょう。


『範囲攻撃。物理・魔法関係なく複数の敵を巻き込む攻撃、全てに補正がつくスキル。

 敵を複数攻撃した回数が、30回を超える。現在、8回』


 ……うん、コレは欲しいスキルです。

 とりあえず、最後の1つを確認してから可能であれば取得しましょう。


『見切り。敵の攻撃を回避する確率が上がるスキル。

 敏捷にスキルレベルによる補正がつく。

 敵からの攻撃を回避した回数が、30回を超える。現在、5回』


 ルーシェリカさんはスピードタイプですから、補正で敏捷力が上がるのって歓迎する状態なんですよね。

 消費するスキルポイントが低かったら、取得しましょう。候補ですよ。


 これで未取得スキルは全部見ました。

 まずは『範囲攻撃』を二度押しです。


  現在のスキルポイントは22Pです。

  範囲攻撃D取得には、スキルポイントが5P必要です。

  取得しますか?


  はい

  いいえ


 もちろん、『はい』です。

 未取得の欄にあった『範囲攻撃』が移動して、『急所攻撃』と『連続攻撃』の間に移動しました。

 続いて、『見切り』を二度押し。


  現在のスキルポイントは17Pです。

  見切りD取得には、スキルポイントが5P必要です。

  取得しますか?


  はい

  いいえ


 当然『はい』です。

 これで残りのスキルポイントは12P。

 多分、Dランク取得には5P必要で足りていますけど、あまり『必殺攻撃』には惹かれませんし、取得済みの方に使っても足りなくてスキルが上がりそうにありません。


 ここまで、ですね。

 画面の端っこをタッチします。


『ルーシェリカは範囲攻撃D、見切りDを取得した!』


 天の声ナレーションが響いた途端、私はもの凄い倦怠感に襲われました。

 それはルーシェリカさんも同様だったらしく、椅子に座った姿勢のまま肩を落としています。


「――自然に体が会得するモノを、神力を帯びた神聖術による導きがあるとはいえ、強制的に習得したのです。体に馴染み切るまでの間、大人しく休んでいた方がいいでしょう」


 不思議に思っていると、セシルさんがそう言いました。

 それならそうと、最初に説明しておいてくださいよ。びっくりするじゃないですか。

 ターン経過する理由が分かって納得は出来ましたけどね。


 助言に従い、大人しくルーシェリカさんはソファーで休憩して。

 倦怠感が抜け切ると、付き添っていたセシルに退出する旨を告げ、神殿を後にしました。

 今日はもう王都市街ですることはないので、私は『王城に戻る』を選択します。


 自室に辿り着くとルーシェリカさんは手早くメイド服に着替え、ピタリと停止しました。


 さてさて。どうしましょうかね?

 今日の昼は予定通り、本を届けるという用事があるジェラールのところに行くべきでしょうか?


 ああ!

 そういえば、すっかり忘れていましたけど、シュダァ様にも会いに行かなくてはいけません。

 ジェラールを条件付きで説得出来ましたよって、御報告しておかないとセルマPTインの許可が貰えませんからね。


 あれ?

 だとすると、先にシュダァ様の方へと足を運ぶべきでしょうか?

 まだジェラールの説得されてくれる条件を満たしていませんけど、会いに行くのですから友好度と、もしかしたら好感度が上がるかもしれないという利点はあります。


 ……私の個人的な意見を言うなら、シュダァ様は色んな意味で怖い方なので、あんまりお近づきになりたくはないのですけど、ルーシェリカさんやご主人様的には仲良くするのに特別問題は無い方ですし。


 そもそも何度も言うようですが。

 ロゼが騎士団の任務で王城内にいませんから、予定がない上、時間が半端に空いているんですよ。

 別に今までの計画通り、セルマに会いに行ってもいいのですけどね。 


 私、結構忘れっぽいところがあるので、後回しにすると用事があったということ自体、忘れてしまいそうなんですよ。

 だから後回しにしないで、気が付いた用事ものは忘れないうちにさっさと済ませておきたいというか。

 

 う~ん……説得状態がある程度進んでいて順調だと知らせた方が、シュダァ様がルーシェリカさんに受ける印象は良さそうですし。

 決めました。

 今日の昼は、ジェラールに会いに行きましょう。

読んでくださって、ありがとうございます。

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