第ニ章|ある青年
彼は、危険に身を置くのが好きだ。
彼は危険を求めてこの街に来た。
いい噂が絶えないが、
もちろん悪い噂も少しは聞こえる。
彼は、それを嗅ぎつけた。
彼は目的を求めていた。
この街でやりたいこと。
暇なのだ。
彼は、元々外の街でも盗みをやっていた。
正直、あまり困らないのだ。
それ故にこの街は思っていたよりも退屈だ。
自分がやってきた事が合法化されたと
思えば楽かもしれないが、
彼はそれを気にしない。
彼は両親を失った少年を見つけた。
何度彼を殺してみようと思った事だろう。
しかし毎回踏み止まる。
彼を殺してしまったら、
また暇になってしまうのではと思うのだ。
彼は今日も、少年を観察していた。
いつもと違う様子を見て、
何があるのかと思う。
少年は普段なら危険だからと出歩かない。
しかし今日は違うようだ。
彼は少年がどこに行くのか気になった。
彼はついていく。
少年が向かったのは、工場だ。
ここは死者が出る。
しかしある人は気味悪がり、
ある人は危険だと言う。
それ故に工場は人がいない。
少年はただ、そこでなにもせず、立っていた。
彼はそれを見ていた。
少年は偶然、殺人鬼が出たところを見た。
笑っていた。
少年は、生きることに疲れていたのだ。
彼は助けた。何も考えていなかった。
ただ走った。
いつの間にか情が移っていたのかもしれない。
境遇が似ていたから。
ずっと見ていたから。
しかし、
それは少年にとって救いではなかった。




