第一章|ある少年
プロローグ|或る街
この街には、不思議なことがよく起こる。
時間がズレたり、
死んだ人が出てくる場所があったりと。
もちろんその街は、大人気。
でも中身は、混沌としたとても危険な街。
自分の願いを叶えてもらおうとしても、
叶うことはない。
あくまで偶然なのだ。
彼は、この街で産まれた。
両親がずっと夢見てきた街だったからだ。
でも、現実は違った。
盗みなど普通。
殺しもあるし、
誰が生きていて、
誰が死んでいるかも分からない。
そんな街の中産まれた少年は、
この街の中では、善人だった。
彼は、外の街に行っても、
不良と呼ばれるということが分かっていた。
だから、その街に留まっている。
少年が、3つの時に両親は死んでいる。
彼は、あまり感情の起伏が無かった。
彼は思う。両親に会ってみたいと。
もちろん彼は覚えていない。
それでも、会いたいとは思うのだ。
彼だってこの街の噂は聞いている。
しかし両親が生き返ったところで、
彼にはそれが両親か分からない。
両親も彼が自分の息子であるとは分からない。
彼はそれも理解している。
だからこそ、諦めている。
そう。諦められていると思い込んでいる。
彼は生きるために平気で盗みを犯す。
外の街の人の、買い物と同じだ。
その日も彼は、食べ物を盗んだ。
お世辞にも美味しいとは
言えないかもしれないが、
この街では良い方だ。
彼はふと思う。
どうすれば死者に会えるのかと。
彼にはやりたい事がない。
空っぽなのだ。
しかし生きるだけで1日が終わるこの街では、空っぽは丁度いい。
それでも、目的がない彼は、退屈していた。
いっそ、死んでもいいから
一度奇跡を起こしたいと、そう思った。




