96.あのキャラキター
「いきなり何にするっちゃ?ウチ、何かしたっちゃ?」
「お願いします。お願いします。マリアさんを助けて下さい。
本当に良い人なんです。お願いします。」
「よくわからないっちゃ。落ち着くっちゃ。深呼吸、ヒッ、ヒッ、フーだっちゃ。」
その呼吸法は違う目的だろ、と思ったら少し落ち着けた。
あの夜からずっと待ち続け、現れたらどう依頼しようかずっと考えていたので
思いが空回りしてしまったようだ。
「うーん、それは深刻だっちゃ。」
俺がマリアさんの状態を説明するとモザイクの向こうで腕組みしている。
なんかモザイク小さくなってないか?大丈夫なんだろうか。
「助けるけど今は無理だっちゃ。少し待つっちゃ。」
「少しってどれくらいでしょうか。それと、助かるんですよね?」
「持ちの論だっちゃ。本当は良くないけど知り合いの星の医療機関に頼むっちゃ。
輸血と出血性ショックの対応なんて軽いっちゃ。」
相変わらず冗談が古いが大丈夫なようだ。
「どの位待てばいいんでしょうか」
「正規の所は規制が厳しくて難しいっちゃ。お金はかかるけど
闇医者の撫楽孔雀を探して依頼してやるっちゃ。
あれなら死んでない限り刎ねられた首でも生えてくるっちゃ。
お金はかかるけどお前の為に身銭を切ってやるっちゃ。
大事な事なので二度言ったっちゃ」
首生えてきたらもうホラーじゃね?医者の名前もヤバいし。
それと相当高いんだな。物凄く恩に着せようとしてくる。
まあ助かるなら何でも良いや。
「ありがとうございます。感謝いたします。それでいつ頃になりますか。」
「助かるとわかったら泣き止むなんて現金な奴だっちゃ。ひと月位だっちゃ。
…ウチ、何か言いかけてなかったっちゃ?」
「久しぶり、だけ聞いたような気がします」
「そうだったっちゃ。王都のクーデターの話の続報を教えてやろうと
探してたっちゃ」
「前会ったのクーデター当日でしたよね。そんなに日数たってないはずなのに
すごーく前の事みたいです」
「その前は屋敷の人間が誰もいなくなって閑で喜んでいたから
ギャップが大きいっちゃ。そんな事あるはずないのに」
「後から考えて流石におかしいと思いましたけど
俺、平均的日本人なんで平和ボケは仕方ないじゃないですか」
ボケる程平和って良い事でしょ?何か問題でも…この場合はあるか。
「とりあえず情報を教えてやるっちゃ。
まず、貴族学院に入り込んでいたダーリンは逃がしたっちゃ。
火事がなければ捕まえられたのに残念だっちゃ」
あの人そんな所にいたのか。
神出鬼没だな。てかその情報今要る?
「その火事だけど、焼けちゃったから生死不明の人が多いっちゃ。
辺境伯親子と国王、第一王子は無茶苦茶探されてるけど見つかってないっちゃ。
ウチのキャラ上残酷な話は出来ないから以降お前が語るっちゃ」
なんかわからないが、聞いた話を整理しよう。
最新の話らしい。
・国王夫婦、第一王子夫人、辺境伯親子は王城の奥に逃げたのを目撃されて
以降消息不明。
・第一王子は物見櫓の所で戦って援軍を待ってたけどその櫓が火事で崩れた。
・第一王子の息子は窓から飛び降りて逃げた模様、
妃は飛び降りるのを拒否して櫓に居る所を見た者がいる
・母親の地位が低いためそもそも継承権が低い第二、第三王子は生きている。
・王城の火は王都の町の中まで飛び火した。上から見た感じ町の四分の一位燃えた
・ほとんどの人は逃げたので人的損害は少ないけど町の被害は甚大。
・石やレンガの建物でも内装や屋根が木製だとよく燃えると
王都では話題になっている。王城は焼け跡で金属も溶けてるありさま。
・第四王子は国王から譲位を受けたと布告を出している。
「なんか歴史小説みたいですね。親兄弟で殺し合って」
「ウチには理解できないっちゃ。勝手にするっちゃ」
「俺もそうしたいんですけど、既に巻き込まれてます。
だいたいクーデターおこす貴族の家に送り込まないで下さい」
「リサーチ不足はお詫びするっちゃ。今後も助けるから許すっちゃ」
「不足といえば、テンプレの電池は大丈夫なんですか?
最近静かなんですけど。さっきも電池が弱ってるとかなんとか」
「何分古いから仕方ないっちゃ。渡した時満充電にしてなかった上
魔物だらけの所で警戒したり言語エンジンを使いまくったりで
消耗が激しかったのが原因だっちゃ」
やっぱり節電モードに入ってたんじゃないか。AIのクセに見栄張ったな。
「大丈夫なんでしょうね。いきなり文鎮化なんて困りますよ」
「〇×のスマホじゃあるまいし、そんな事はないっちゃ。
今ヘリウム3を入れたから2年位は持つっちゃ。」
人の胸元で核融合してんじゃねえ。大丈夫か俺。
「充電の原理は教えられないっちゃ」
「危険がないならもういいです。いろいろ諦めてここにいますから
それよりお医者様を早く連れて来てください。
それまではここに居るようにしますから」
「わかったっちゃ。ダーリンが気になるけど、そっちを優先してやるっちゃ」
「マリアさん、目が覚めたら喜ぶと思います。
あまり言わなかったけどマンチェスに帰りたいのわかったし
連れて行ってあげたいとずっと思ってました」
「…任せるっちゃ。テンプレの充電も終わったみたいだし、急いで
探しに行ってくるっちゃ。」
毎度の事ながらモザイクから飛び出す時のガードが甘くて姿が見えるけど
大丈夫かな。
いろいろあるけど俺はここで待ってるしかないようだ。




