表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

81/89

80.感動の、キター

「み、みんな生きてる?動けそう?」


「生きてるけど、前が良く見えないニャ」


「スターニャは顔が腫れて目が塞がってるわよ、


 大変!インガの耳が千切れかけてる。手当しなきゃ。」


「やっと買ったばかりの服を破らなくても」


「そんな事言ってられないでしょ。傷口を抑えなきゃ。


 もう泥だらけでカギ裂ができちゃったから気にしないで。


 でも報酬が高い仕事には理由があるのね。一つ覚えた」


「何回同じ学習するのよ。泥炭掘りで懲りたんじゃないの…


ヤバイ、奴ら戻ってきた」


「もう何も持ってないわよ。なんなのよもう。」


次の瞬間、弾丸のように若い女が走り込んできた。





「あそこです。はい、あの、お仲間なんですか?


 知らない事とはいえ大変な粗相を…」


ゴロツキの親玉、ちゃんとした言葉使えるんだ。


感心感心、ってボロボロの4人を発見、ちょっと酷すぎないか?


まだ若い女の子とエルフとしては若い子だぞ。




ネッチャ速い。もうそばに行ってインガの顔を覗き込んでいる。


ダーナがその後から走って行く。


インガの顔、腫れ上がってるけど確かに似ている。


というか、ネッチャを見た反応で似ているのがわかる。


そのネッチャは泣きながら回復魔法ヒールを使っている。


「エッチャ、エッチャだよね、こんな酷い事されて。今助けるからね」


エルフ語で話しかけているが、インガには通じないようだ。


耳の裂傷、顔の腫れが回復していく。




ネッチャの回復魔法(ヒール)はイマイチなんだよな。


「バッチャ、俺も手伝ってくる、通訳要りそうだし」


「私も行こう。この連中はもういいだろう。」


小さくなっているゴロツキさん達を指さしながらバッチャが言った。


ただで解放してやるなんてバッチャは心が広いな。




「あの、何て言ってたんですか?」親玉が小声で聞いてきた。


「ここが刑場なら都合がいいって。」


人語がわかるバッチャが少しだけ眉を動かした。


「えーと、どういう意味でしょうか。」


「さあ?あっ傷を洗う水と拭くための布が欲しいな。」


「すぐ用意します!あの、とりなしをお願いします。」


たん瘤と内出血のゴロツキ達が急いで走り出していった。


バッチャはバレないように少し笑ったと思う、良かったね。


罪滅ぼしに働いてもらおう。


その後は知らないよ。


バッチャとネッチャの虫の居所が良い事を祈りな。


その後俺の機嫌が良かったらあいつらも手当してやろう、


ゴロツキさんの顔、痛々しくて可哀そうになってきた。




俺たちを見て警戒していた4人におおまかな経緯を説明して


落ち着かせて回復魔法(ヒール)をかけていく。




『テンプレ、頼む』


『獣人の頭蓋骨が変、でも多分これで正常ですね。エルフ以上に


人間との差異があります。全員単純な打撲と内出血、擦り傷切り傷です


適当にやって下さい。』


『手抜きし過ぎだ!ちゃんとやれ。』


念話しながらも観察したが、回復魔法(ヒール)に関しては


魔力量と経験、技術三拍子そろっているバッチャが一番。


次いで経験不足ながら魔力量桁外れでテンプレ頼りの俺。


ネッチャは途中から俺たちの補助にまわるようになった。




顔の腫れがひいたインガとネッチャは本当によく似ている。


もう確信したらしいバッチャは俺にインガとネッチャの通訳を


するように言ってからゴロツキの方へ行き手当してやっている。


基本的には優しいんだよな。


動けないとほざいた連中は道の端に放置してきたけど


ちゃんと案内した奴にはご褒美があっても良いだろう。


バッチャにつかまれたゴロツキが腰を抜かして


パニックになっているので通訳してやった


「手当てしてやるって。じっとしてた方がいいよ」




さて、こっちだ。


お互いの言葉が通じなくて混乱している。


通訳に入って事情を説明しよう。


「ネッチャ、この子はエルフ語わからないみたいだよ。」


エルフ語で話しかけて


「インガ、この人はネッチャ。生き別れの姉妹を探してるんだ。


 僕が通訳するから事情を教えて。」


人語で話しかける。




令和日本で通訳なんてした事なかったけど、


通訳ってちゃんとやろうとすると凄い疲れるんだね。




「エッチャだよね?ずっと探してたんだよ、絶対生きてるって」


「エッチャ?私はインガ。あなたは私の何?


何を言ってるかわからないけど手当てありがとう。


ねぇ、あなた私が誰か知ってるの?」


理路整然と話してくれればいいけど、二人とも堰を切ったように


思った事を話すんだもの。


話に介入して、さらわれた時の状況、拾われた時の状況を聞き出して


多分間違いないだろうという事になった。




エルフは赤ん坊を守り刀を編み込んだ籠に入れて育てるんだけど


その籠ごとさらわれたんだって。


北街道付近まで追いかけてネッチャは取り返したけど、


エッチャの籠を乗せた馬が暴走して見失ったという話。




一方のインガはバルツ男爵領の西、ルーシ子爵領で赤ん坊の入った籠を


乗せた馬を見つけた人が教会の孤児院まで連れて来たという話。


つじつまが合う。


この二人の場合はお互いの顔を見りゃ疑う余地無さそうだけど。




この作業、後ろから猛烈に話しかけられながらやったんだぜ。


誰か俺を褒めろよ。


「凄ーいアンタエルフ語できるの?通訳して!」


「ニャー、ニャー、インガってエルフの女王様の娘だニャ?


 お話で聞いたニャ。」


「ルーシ男爵エルフ嫌いで領内にエルフ入れないし、インガも


 エルフなの隠して普段教会から出ないんだよ、酷いよね。」


これを同時に話しかけてくるんだ、鬱陶しいなんてもんじゃない。




インガは自分が捨てられた訳ではない事、母親が嘆き悲しんで


ずっと探していた事を聞いて涙を流している。


ネッチャの方はモイモイまで一緒に帰ろうと嬉しそうにしている。


今からでも帰ってカッチャを早く喜ばせようと言っている。




「そういえば、短剣、流れちゃう!」


後ろから大きな声がするが、何言ってるかわからない。


どこにあるんだ?ここには川はないぞ。




「ねぇってば、あの短剣って大事な物なの?」


ついに背中を叩かれた、無視もできんか、


「生まれて100日目に両親が贈る、一生身に着けている物だが


 失くしたのなら仕方ない。」


ネッチャがインガの腰を見ながら言った。


「それじゃ、インガが恥かいちゃうじゃない!


 ねえエア、お金貸して、ちゃんと返す、なんなら体で払うから」


おいコラ、R15で子供になんて事言うんだ。


ついでに子供に金せびるんじゃありません。


「なんでお金がいるの?」


「借りてたインガの短剣、質屋に入れちゃったの。」




この子達、頭のネジが少し緩い。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ