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72、夜船、キター(白川ではない)

ノールド男爵領周辺の景色は平和そのもの。


荷馬車がのろのろ進むのをたまに見かけるだけ。


本当にクーデター騒ぎがあるのか疑うくらいだ。


馬車と違って船は多い。上りの船とは結構すれ違う。


船員を増やし櫓を増やしているので


上りと下りで運賃が違うと教えてもらった。




伯爵は打ち合わせと書き物で忙しいらしく、相手をしろとか


言われない。バッチャとネッチャは船を漕いで居眠り、船だけに


どころではなく船底に横になって寝ている。


順調だなーと思っていたら話があるから伯爵の傍に来いと言われた。


舳先で棹を操る人と景色を見てるの楽しかったんだけどな。


いろいろ教えてもらえるし。


…行きますよ。ただ乗りの上、食事までもらってますから。




「堅苦しい挨拶は良いぞ、船の中の者しか聞いてないし見ていない」


「対面でお話する栄誉をお与え下さり、ありがとうございます。」


無礼講を信じていきなり話し出す程アレじゃないんだよ俺は。


「あーもう。堅苦しいのは良いと言ってるだろ。座り方も崩せ」


伯爵様、急に言葉遣いを変えて、自分も崩れた座り方に変えた。


「貴族らしい所作のできる事はわかった。それの相手をしてると


俺が疲れるから楽にしろって言っている。」


・・・ええと、伯爵付きの人達の目が笑っているし


既にエルフ達が無礼極まりない寝相でいるから…大丈夫かな


「良いんですか?」


「良いって言ってるだろ、子供が気を使うんじゃない。


話しやすいように話せ。俺もそうする。」


そう言われてもいきなりは、さすがに、ねぇ?


「お前は魔法使いだそうだな。バッチャによれば大魔法使いだそうだ。


回復魔法ヒールや攻撃魔法じゅうげきが使えるというのは本当か?」


「大魔法使いではありませんし正式に習った訳ではありませんが、


 使えます。」


「なるほど。しかも森の中をエルフと一緒に動けるときたか。困った事だ。」


「えーと?困った事、でしょうか。」


「わからないか?戦闘になったらお前を仲間にしておきたいだろ?


両陣営から誘われるだろう。相手陣営に行くと思われたら殺されるぞ。」


いやいや、いきなり殺したりしないでしょう。


「争いに加わらない、中立でいるというのは一番難しいんだ。


モイモイのエルフ達の武力をもってしても完全中立は無理だろう。


今、クーデター起こした王子の王権派と俺たち地方貴族派が争っている。


殺し合いになるだろう、少しでも相手の戦力は減らしたい。


お前が王権派に加わるなら俺は殺そうと考えるだろう。」


「…」


「心配するな。そこで寝たふりをしているバッチャの客人に手を出すものか。


 出した瞬間俺たちは皆殺しだ。」


バッチャがピクリと動いた。起きてたんだ。


「マンチェスの町に入った瞬間、いやこの船に乗った瞬間から


お前達は私たち地方貴族派と思われた、そう考えた方が良い。


少なくとも王権派のスパイはそう考えるだろう。」


「理解が追いつかないんですけど、王権派?に敵視されたと。」


「そういう事だ。お前の場合、それ程知られていない、


戦力になると思われてないから、いきなり狙われないとは思うが


お前はバッチャの客人だ。


捕まえて交渉材料にしようと考える奴が必ずでてくる。」




「良くわからない争いに巻き込まれたくないんですけど。」


「バッチャにもそう言われた。騙したようで申し訳ないが君たちが


この船に乗ってマンチェスに入る事で情勢は完全に決まる。


今まで様子見していた勢力も我々に付く。」


「そんなもんですか?」


「ああ、モイモイのエルフの武名はシャーフラントで知らぬ物はない。


現時点で様子見していた連中を味方に付けて周囲の安全を確保してから


ノールド男爵を潰す。多分降参するだろうけどな」


「潰すって、ノールド男爵とか他の貴族もですか。」


「お前の実家も王権派だったな、現状潰すまでも無いようだが。


シャーフラントで王権派その2軒だけだ。様子見してる奴は多少いるがな。」


「うちの実家、誰も居ませんよ。」


「お前の実家は酷いぞ。クーデターに全振り、大博打で領地ごと賭けたんだ。


家の戦力になる一族郎党を全部王都に連れて行ったらしい。


あの連中がいなければバルツ領の領民は領主のために戦働きなんかしない。


王都に行かなかったお前は領地経営してますよ、というアリバイに


使われた挙句売り飛ばされた訳だ。」


「ええと、さすがに傷つきます。」


「庶子の先輩から言わせてもらえば、俺たちの扱いなんてそんなモンだ。


自分の道は自分で切り開くしかない。


お前は逃げられて幸運だった、そう思う事だ。」


「伯爵は自分の道を切り開くために俺たちを船に乗せたんですね。」


「まあそんな所だ。バッチャにも最低友好的中立、状況によっては参戦を


約束してもらった。お前もそうしてくれると助かる。」




畜生、騙された。


ただで便乗させてくれて食事まで奢ってもらったと感謝してたのに


思惑ありありかよ。


親切な人だと感動してたのに。




夕飯の為に立ち寄った町で思いっきり飲み食いしてやったら


多少気分が収まってきた。


この町から一晩中進めば明日朝には着くそうだ。


船員さんも交代、夜行は獣人がやるんだって。


夜目がきくから安心してくれ、と言われた。




どうやら巻き込まれた。


今更乗り換えできない、だって俺はジェニ子爵の所で


アーな目にあわされないために、バッチャ達は人探しのために


マンチェスに行かなくてはいけない。


えーとレオニー姉ちゃん、大丈夫だよな。心配になってきた。


子供までどうにかしないよね。

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