66.特殊浴場?キター
三日月の夜道、結構暗い道をすたすた歩くエルフ。
二人は俺を気遣って手を引いてくれているけど
俺もつまづかずに歩ける程度には見えている。
たまにすれ違う人間はランプを持って自分の足元を照らしながら
歩いているようなので、エルフには全然問題なくても
一般の人間は照明が必要な明るさのようだ。
ホテルに入り、着替えた姿を見せるとロビー使用OKになった。
良かった、狭い部屋でベッドに腰かけて食べるの嫌だもん。
ちなみに着替える時、BBA二人は試着室に入りっきりだった。
店番しなくても良いのかい!
木綿の良い下着ね、ってパンツ引っ張るな!
日本だったらタイホ―案件だぞ。
残っていた元気を着替えだけで削り取られてしまった。
そんな事より…お風呂だわっしょい。
この世界に来てから水浴びとお湯で体を拭くしかした事ない。
髪も桶やたらいで洗うだけ、辛かった。
体が溶けるまで入ってやる!
「あの、お風呂を使いたいんですけど。」
相変わらず背中をクイクイしてくるエルフ二人に前に押し出され
俺がフロントに声をかける事になった。
「お風呂?お湯なら桶いっぱい渡しますよ。」
フロントの奥の部屋に桶と大き目のやかんが並んでるのを指さしながら
ホテルの人が言う。
「違うんです。お湯を沢山沸かして体ごと入れるんでしょ。」
「ああ、特殊浴場ですね。ありますよ。」
言い方は気になるが今はそれどころじゃない。
「それを使いたいんですけど、空いてますか?」
「空いてますよ。ここ最近使ってないけど掃除はしてあります。」
「やったー、使いたいです、すぐ入りたいです。」
「使用料は銀貨2枚になりますけど良いですか?
それとこれから水を入れて焚きますので一時間はかかるかと。」
ガーン、ほっかほっかお風呂を想像してスキップできたのに。
説明を聞いて、あまり利用されてない理由がわかった。
体を拭くためのお湯なら宿代に含まれているから追加料金なしなのに
風呂場使うだけで銀貨2枚必要らしい。
形式としては家族風呂で風呂桶一杯のお風呂を沸かすだけ
追い焚きなしとの事。
…それでも、入るしかないよね。
エルフのお金、また使わせてもらう事になるけど、入るよね?
「わかりました。お願いします。」
銀貨をカウンターに置いて、部屋に戻った。
部屋には既にベッドが運び込まれていた。
本当に手狭だ食事を部屋食にしなくて良かった。
荷物を部屋に置いた後、「魔法を使うから」とエルフ二人を追い出してあれをやる。
見られたくないだろ?ウィンクして「萌え萌えキュン♡」だぜ。
マリアさんに今日の報告をしてからタオル、シャンプーと石鹸、新しい下着、
ジュースも用意しよう。他何がいるかな?
戻った俺はロビーに向かう。結構時間かかってしまった。
お風呂は今焚いてるけど、もう入っても良いといわれた。
窓の外に火を焚いてる人がいるから熱かったら言ってくれって。
薪の量は増やせないらしい。
教えてもらった風呂場の方へ行くとエルフ二人が待っていた。
「バッチャ、ネッチャお風呂先に入る?」
「何言ってるの。一緒に入るに決まってるでしょ。
薪の量が少ないからすぐ冷めるのよ。」
「ええー。」
驚いている間に脱衣所に連れ込まれパンツまで脱がされた。
自分で脱げるって言ってるのに。
風呂はいわゆる五右衛門風呂だった。
ダ―〇ンの人、風呂釜とかボイラーの具体構造知らなかったな。
俺も知らないけど。
とりあえず一人なら体が入りそうな釜風呂には板が浮いている。
心配したけど温度はぬる湯位にはなっていた。
かけ湯して「先に入って良い?」と二人に聞いてから入湯!
温まる、至福の時だ、と目を閉じていると何かが風呂に入ってきた。
だから押すんじゃない、これは五右衛門風呂なの、焚いてる最中なの
風呂の表面は…「アチャー」3人で一斉に飛び出す。
こら変態エルフいいかげんにしろ。
人の前で大股開きで熱い熱いと騒ぐな。
それよりお湯がごっそり減ったじゃないか。
どうしてくれる。
窓の外から声をかけられたので開けると親切そうな女の人が
心配そうにしていた。
お湯が足らなければ横の大きな桶から水を汲んで五右衛門風呂に入れれば良いと
教えてくれた。
こそっと薪を増やしてくれるらしいので素直にお礼を言う。
というのも風呂焚き場に井戸があって、どう考えてもあの井戸から
水を汲んでるんだけどお風呂と水桶で300リットル位ありそうだ。
一人でやってる訳じゃないかもしれないけど結構な労力、無駄にして申し訳ない。
と、思っている最中も俺は二人のエルフによってどんどん洗われていく。
自分で洗うと言ってるのにやめてくれない。
石鹸とシャンプーは水浴びするときに使い方を教えたのだけど
お湯で使ったせいか泡立ちが良く、その泡と俺の体で遊んでいる。
R-15だぞ。特殊浴場で女性二人と泡まみれって字面悪すぎるだろ。
3人ともよく洗った後、今度は順番に入浴した。
聞くと前に入った時は釜に直接入るんじゃなく、お湯を浴びていたらしい。
大量のお湯をザブザブかけて贅沢をする設備だと思っていたら
俺が直接入って気持ちよさそうにしているので驚いたそうだ。
だからって五右衛門釜に一斉に入ってくるか?
それより全開放で体を拭くな。目のやり場に困るだろう。
…お湯をザブザブかけるか、シャワーが欲しいな。
あれ贅沢だったんだ。令和日本が恋しい。
焚場の人にお礼を言って脱衣室でジュースを飲む。
もちろん3人分持ってきてるよ。
良く知らんチェリー味のジュースで俺はあまり好きではないけど
バッチャもネッチャも喜んでいる。
風呂を済ませた後はロビーで食事だ。楽しみだな。




