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65.洋品店?キター

店に入るとベンチに座り込んで駄弁っていた女性二人が見事なシンクロで

くるっとふりむいた。

判ってました。一人は先ほどの魔石屋の人です。

もう一人も似た顔の女の人、双子というほど似てないけど姉妹か

少なくとも親戚だと思う。

二人が座っているベンチの真ん中には漬物とお茶があるようだ。

アンタらは日本のおばはんか!

魔石屋の店番は大丈夫なのか?別にどうでも良いけど。


「あら~。アンタの話をしてたとこよ! ねっ、可愛いでしょ?

福の神よ、福の神。」

いや、まったく話がつかめない。それと背中を叩くのやめて欲しい。

痛くはないけど鬱陶しい。

「えー、この子なの?こんなに小さいのに魔力持ちなの?凄い!」

だから背中叩かないで。初対面なのに距離近すぎ。

店に入ってきた人に一言も喋らせない接客があるか?

漬物食べるかって?そんな飴ちゃんいらんかみたいに。

ダブルで脈略の無い話を話しかけられるけど、理解出来る訳ないだろ。

店の外でエルフ二人呆然としてるの見えないの?

BBA二人の無限口撃は永遠に続きそうなので、遮るべく大声を出した。

「服が欲しいんですけど!」

「あらお客さんだったのね。ごめんなさい、気が付かなくて

 そこにあるだけしかないけど、どれが良い?」

店に入って来るのは普通客だろ、なんなのこの店。

ついでに品ぞろいが少ない少なすぎるだろこれ。

銀貨数枚の値札がついたハンガーラックがあって服がかかっている。

大小とか色とかでは分けてないみたいだ。端から見て行くけど、あれ?

「男物はないの?」

「あるわけないじゃない。ここ婦人服の店よ。」

ええ!ホテルのフロントマン、何考えてんだよ。

「あんたの服じゃないの?ハハン、男の子みたいな活発な私、ってしたいのね。

やめときなさい。あんた女の子らしい顔してるから似合わないわよ。」

「そうよ、アンタの顔だったらこういうヒラヒラが付いた可愛いのが

似合うわよ。」

BBAの一人が一番高い値のついたハンガーから服を外し、俺の体にあててくる。

もう一人のBBAがいやいや、それじゃない、こっちがと言い出す。


俺知ってます。日本で母と妹が散々やってた。この話は長引く。

教訓は生かさなきゃ、日本と違い俺は客で決められる立場だ。

再び大声を出す。

「男物がないならやめておきます。」

「頑固ね、たまに男装して目立とうとする子がいるけどやめときなさい、

 悪目立ちするだけよ。」

「そうよ。男の数が少ないから古着も少ないのよ。特に子供用は少ないから

探すの大変よ。それに…」

「それに?」

「他の店、全部閉まってると思うわよ。」

気が付くとすっかり暗くなって、露店は閉まっている。

しまった、隙間のないBBAトークに領域展開されて取り込まれてしまった!

「あんた10歳でその恰好という事は女の子でしょ?悪い事言わないわ。

 悪目立ちすると変な男の子が寄ってくるだけよ。」


わかった。ホテルの人は悪くない。

完全に女の子と思われてた。

この世界、圧倒的に女性の方が多くて、珍しい男の子はさらわれるから

子供は女の子の格好してるんだっけ。

うーん。

これから大きな町に行く事を考えるとそこそこの服は欲しい。

身なりで入れない場所とかありそうだ。

エルフ二人の人間の衣装がそこそこ良い物の時点で気が付くべき…、

あれ?あの二人どこで服を手に入れたんだ。

て今はそれじゃない、買っちゃおう!エルフのお金だけど

物品が売れたら約束の取り分から返せば良いや。


「じゃあこれにする。」

おれは銀貨3枚と書いたハンガーにかかったシンプルな服を手に取った。

少し大きめかもだけど、問題ないだろう。

「えええ、地味過ぎない?こっちの方が可愛いよ。」

おいBBA,シレっと銀貨10枚と書いた一番高いハンガーラックから

服を持ってくるな!

その服、赤や青の飾り布や柄があるけど、そういうの要らないから。

この世界の標準、ドングリで染めた濃い茶色と薄い茶色。

一番目立たないのが良いんだよ。

尚も粘るBBA(知りたくもなかったが魔石店のBBAの姉らしい)を

振り切り、金を渡し

「特別サービス銀貨3枚におまけしとくよ!」という見送りの言葉をいただき、

おばはん、それ正札の値段やん、とツッコむ元気もなくした俺は

漬物とお茶があるから店に来て魔石に魔力を入れて行けと腕を掴む

魔石店BBAを振り切って店を出た。

気が長いはずのエルフ二人がげんなりした顔をしていたのは言うまでもない。


「バッチャ、長くなってごめんね。服のお金は必ず返すからね。」

「子供がそんな事を気にしない。それより疲れた顔をしているけど大丈夫?」

「ハッキリ言って森を抜けるより疲れた、凄ーく変な感じに疲れた。」

最後のツープラトン口撃、洒落にならん。

「悪かった。今度時間があったらエアの分も服を縫ってあげる。」

「俺の分もって?」

「私たちが来ているのは人間から手に入れた布を自分達で縫ったものだ

 上手いもんだろう?」

エルフの服と全然違うデザインだけどよく見るとヒートモスの糸で

刺繍がしてあったりする。

「さすがにそこまでしてもらったら悪いよ。」

「気にしなくて良いよ、暇つぶしにやるだけだから。」

…エルフの今度って何年位先かな?

「着替えと言えば、早く帰ってお風呂場予約しなきゃ。」

「お風呂場?」

「言ってなかったっけ?前にモイモイにいた事のある人が

あそこに泊まってる時に風呂場を作ったのよ。

お湯で体を洗うと気持ちよくて疲れがとれるよ。」

間違いない、追われているあの人だな。

しかし助かった、エルフは綺麗好きで水浴びをよくするので

付き合っていたけど、さすがに寒いし疲れが取れない。

日本人には風呂桶が必要なんだ!


俺の足取りは一気に軽くなった。

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