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64.女連れでホテル?キター

扉を開けて入ったホテルの建物は結構豪華だった。

この世界に多い透明度が低くて歪んだガラスではあるけど

窓が多くてロビーも明るい。

バルツ村で俺のいた別館なんて小さなガラス板3枚だけで、

暗くて暗くて…………。

『泣き言を言わない。フロントの人が見てますよ。

 アンタの服、ドレスコード的にヤバそうだから注意しなさいよ。』

すかさずテンプレからツッコミが入ってくる。


さっきの店の様子を見たバッチャとネッチャはこの手の交渉、手続きは

俺にやらせる事にしたようだった。

無言で背中をクイクイっと押してくる。

押される先のフロントマンは明らかに胡散臭い物を見る目で俺を見ている。


ドレスコードあるのかよ。

そういやロビーにいる人は皆身なりが良い。

マズいなこの服、持ってる中ではマシな方なんだけど、

継ぎはぎ補修の跡がくっきりで思いっきり浮いている。


フロントまであと少しというところで酒臭いドワーフから声をかけられた。

「お前ら、ここはこの町一番のホテルだぞ。さっさと出ていけ!」

バッチャとネッチャはスルーしろとばかりに背中を押してくる。

こっちが黙っているので奴は調子に乗ったのか、さらに大きな声を出した。

「聞こえないのか?お前らは木賃宿にでもいけ、

 銅貨何枚かで泊まれるぞ、その方が嬉しいだろう。」

いい加減ウザイな、と思うとフロントから人が出てきて

何かメモを見せたら真っ青になって出て行ったから、

ザマーだけどね。

町一番のホテルであんな態度じゃそりゃ怒られるよね。

出て行く時、怯えきった目でバッチャを見ていたような気がするけど

それは気にしない事にしよう。


で、ホテルの人、俺じゃなく後ろのバッチャに声をかけてきた。

「お久しぶりです。バッチャ様、本日はどのような御用でしょうか?」

だからバッチャ、自分が話しかけられたんだから返事しなよ。

なんで俺の背中をクイクイするのさ。

森であんなに頼もしかったのに町じゃダメダメだね。

仕方ない俺が話そう。

「今日宿泊したいのですが3人分空いてますか?」

「君も?この二人とはどういう関係?」

そりゃ不信がるか、人間とエルフの組み合わせで人間側が子供だもん。

こういう事もあろうとストーリーは考えてある。

俺の親がマンチェスの親戚まで送ってくれるようエルフ達に頼んだという筋だ。

嘘は言ってない。身元を男爵家の庶子からバルツ村の農家の子のエアに

変えてある位だ。


ホテルの人は一応納得してくれたみたいだった。

宿代高めだけど大丈夫?とか北部は大変な事になってるらしいねとか

言いながら俺の服装を観察している。

「本日は大変込み合っておりまして、一つの部屋に3人で泊まっていただく

事になりますが、それでよろしいですか?予備のベッドを入れるとかなり

狭く感じると思いますが。」

バッチャとネッチャは頷いているので別に構わないだろう。

女性と同部屋のホテルに泊まるのは家族以外じゃ初めてだな。

俺が頷くと、ホテルの人は言いにくそうに言葉を続けた。

「お食事なんですが、お部屋にお持ちしても良いですか?

本日はお客様が多くて、その、なんというか……」

明らかに俺の服装を見ている。

さっきみたいなトラブルが起きそうという事ね。

俺も下働きだけどホテルで働いた事あるから気持ちわかるよ。

「メニューは変わらないの?」

「ちゃんと取り分けますので、その辺は大丈夫です。」

バッチャもネッチャも異存はないようなので決める事にする。

「それじゃお願いします。」

「料金は先払いですけど大丈夫ですか?

 それと2人部屋を3人でご使用いただいても料金は変わりませんので

ご了承下さい。」

割引なしかーい。まあ明朗会計は本当だった。3人分で銀貨3枚渡すと

部屋の鍵をくれた。

ここ高級ホテルというよりビジネスホテルに近いんじゃね?

高給ホテル泊まった事無いけど荷物は自分で運ぶらしい。

部屋も簡素だと思っていたらベットを入れるからと追い出された。

小さい町だからこれが町一番のホテルなのは本当らしいけど。


「私たちだけの時はロビーで食べても良いと言われたんだけど。」

「何であんな事言うのかしらね。」

追い出された廊下でバッチャとネッチャが不思議がっていたので、

俺は服の事を説明した。

「ちゃんと直して洗濯してあるのに。人間は面倒ね。」

「服、買っちゃえば?さっき上手に魔石売ったからそれ使えば良いよ。」

いや、流石に申し訳ないと思ったんだけど、バッチャとネッチャは

トラブルになる位ならそうした方が良いと言ってきかない。

…甘える事にした。


とりあえずフロントで服が買える所を聞いてみた。

服の新品は注文服しかないらしい。

布地から選んで急いでも数日かかるらしいのでパス。

比較的質の良い古着屋があるのでそこに行くと良いと教えてくれた。

そこなら値段は明記されていて銀貨3枚から5枚で良い服が買えるらしい。

露天の服は安いけど布や縫製がピンキリだからやめた方が良いって。

了解、そこに行こう。

時間が遅いから早く行った方が良い?わかった急ぐよ。

えーと、場所がなんか嫌な感じのする所だな、まあいいや行ってきます!


照明をつけてまで商売する店は少ないらしく、露店が店じまいしている中

目的の店についた。

まだ開いていて店の中から大きな声が聞こえる。


「それでね、インチキ鍛冶屋のドワーフが酔ってからんだのが

モイモイのバッチャとかいう鬼みたいなエルフなんだって、

真っ青になって帰って来て”殺される”って震えてるのよ。

情けないったらありゃしない。」

「こんな田舎に流れて来るドワーフなんてロクなもんじゃないって。

 あの鍛冶屋インチキだもん。」


えーと。

その鬼みたいなエルフ俺の後ろにいますが何か。

ついでに聞き覚えのある、もう聞きたくない声のような気がするんだけど

ここまで来たんだ仕方ない。

店に入ろう。

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