137.作戦説明キター
「具体的に何をするんですか?さっき説明を聞いてたけど
何言ってるかわからなかったですよ」
テンプレは見事な作戦と言ってたけど俺には細かい所はわからない。
そんなに上手く行くのか?という感じだ。
「あの辺の人間が魔物を狩る時の方法を大掛かりにしている。
マリーは狩りの様子を何度か見た事があるらしい。」
「相手が執着する餌に誘導するって言ってましたけど」
「選んだ地形に餌を置いておいて群れを一気に殲滅するのが
シャーフラントの魔物狩りだ。普通は魔石や家畜を餌にするのだが」
「マリーお嬢様が志願者と餌になると言ってましたけど、大丈夫なんですか?」
「大丈夫と思っていたら、あんなに反対するはずないし、
お前に護衛を頼むわけがないと思わないか」
「だったら徹底的に反対すれば良いのに」
「この土地の支配者は辺境伯爵だ俺は外戚として補佐しているにすぎん。
実質俺が仕切っているのは皆知っているが、建前として俺は補佐だ。
正式に命令されては逆らえない。
それに皆の顔を見たか?マリーの熱意に飲み込まれてしまっている」
「それは確かに」
「傭兵ギルドの様子は更に凄いぞ。
募集条件はこうだ、オレイン川付近の住民を守るため中央軍を迎え撃つ。
報酬は功績に応じて後払い。
但し支度金として金貨2枚を前払いする。
こんな条件で命を賭ける奴がいると思うか?
なのに、ギルド中の人間が応募しているそうだ。」
「支度金、金貨2枚って。僕50枚しか渡してませんよ。
すぐ足りなくなるじゃないですか。」
「傭兵ギルドが金を出しているらしい。
金に細かいギルドがそこまでやる理由はマリーの
”城外も守る”という言葉を支持しているという事だ。
募集をやめさせたりしたら今後の動員に支障が出る。
なにより士気が下がってしまう」
「それで出撃を許されたんですね」
「苦渋の決断だ。ブロミアンといいロキシーといい、
あの家族は情が深すぎる。残される者の事も考えて欲しい」
いつもエネルギッシュなフルオロ伯爵が辛そうな表情をしている。
困った顔は何度か見たが、こんな顔は初めて見た。
「回復魔法を使える者をつけておきたい。
馬の速度に合わせる必要があるから馬に乗れないバッチャは
除外する必要がある。
お前なら軽いから馬に縛り付けて運べば一緒に動けるだろう」
「ええと。確かに馬には乗れないですけど。酷くないですか」
冒頭で落馬して死んでたし。
「縛り付けられるのが嫌ならとにかく鞍にしがみついてろ。
お前位の体重なら馬の負担も軽いから邪魔にならん」
協力、断った方がいいかな。
「回復魔法を一日に何度でも使える、そんな便利な人間は狙われると
言っただろう?真っ先に俺が頼るとは思ってなかったがな」
「隠せと言われてましたけど、完全にバレますね」
「使える物は使わせてもらうが、埋め合わせは考えてやる。
それに人前で使いまくったせいでもう噂になってる」
「なんか悪魔みたいな言われ方してるとは聞きました」
「バッチャの弟子で人とエルフの混血、子供に見えるけど
実は40歳超えてるので弁が立つ。回復魔法と攻撃魔法は
バッチャ並みに使うらしい、だとさ」
「それって、もう広がってるんですか?嘘ばっかりなんですけど」
俺はそこまでオサーンではないぞ。
「噂など適当な妄想含めて広がる物だ。
俺がバッチャと同じ馬車に乗ってモイモイのエルフの支持があると
思わせようとしたように、マリーはお前を連れ歩く事で強力な魔法使いの
支持があると思わせようとしてるのかもしれない。」
「マリーお嬢様が噂を流しているという事ですか?」
「当人がやっているか取り巻きが勝手にやってるかは知らん。
ただ貴族ならこれ位やって当然だ」
メンドクセー。マウントの取り合いメンドクセー。
「この辺りの貴族なぞ甘々だぞ。王都の貴族の陰険さは
こんな物ではないからな」
俺の態度を見たフルオロ伯爵が心底嫌そうな調子で言い放った。
「マリーはその父母とは違う。
その気になれば中央貴族より陰険に立ち回る事もできる。」
それ褒めてるのか?
「まだ死なれては困る。領民、お前の母親の家族の為にもな。
断言する。あれより良い領主はいない」
なんかそんな気はしてきましたよ。
「とりあえず了承しました。出来る限りはやってみます」
俺はとうとう直接紛争に巻き込まれてしまったようだ。




