121.願望まであと少しの所へキター
部屋でそのまま眠りそうになったけどお風呂に入りに来た俺偉い。
泥炭を焚いてるとかで外から独特の匂いがする。
水道と燃料万歳!毎日お風呂に入れる。
『本当にお風呂好きですね。そんなに脱ぎたいですか』
『誤解を招くような言い方するな。綺麗好きなだけだ。
汗まみれ、埃まみれは回復魔法じゃ対応できないんだよ』
相変わらずテンプレの念話は下らないが気分が良いので無視する。
この時間は人が少ないのもいい。貸し切りの大風呂万歳!
『万歳ばかりしてますね。エミュール兄さんが来るんですよ。
お手上げにならなきゃいいですけど』
『その件だけど。俺ずっと男湯に入ってるんだよね。
フルオロ伯爵、切れ者に見えて設定ガバガバじゃね?』
『どうせ屁理屈で突っぱねるからどうでもいいんでしょ。
それとも女湯に入りたいんですか。』
『バッチャとネッチャにもてあそばれるだけだから、パス。
落ち着いてゆっくり入れるの最高』
あの二人もすっかりお風呂にはまったようで結構長風呂している。
モイモイの泉程ではないが、お湯がどんどん流れてくる贅沢さ。
薪拾いと井戸水汲みをしてる場所からすれば得ない光景だろう。
バルツ村の人に見せたら腰を抜かすかもしれない。
泥炭の独特の匂いについてはマリアさんに聞いていた。
土臭いような焦げ臭いような匂い。煙も出るらしい。
貧乏人は料理も泥炭だからしっかり蓋をして煮込むんだって。
『マリアさんの話、好きですね。』
『当然だろ。日本人で魚好きの俺に魚のあら汁、スープの話をするんだぞ。
食べたくて仕方なくなって当然だ』
それは最下層の食べ物、塩だけで味付けしてあるらしいのだが、
物凄ーく、美味しいと聞かされた。
バルツ村の魚なんか比べ物にもならないらしい。
魚が良ければ本当にあり得る。是非食べたい。
『料理の人にリクエストしてみますか?嫌がられそうですけど』
『もう少しなじんだら言えるかもしれないけど、今の所無理だな。
それに魚市場の隅の食堂のおかわり自由なスープがいい』
『本当に美味しそうに話してましたものね。』
今でもあるのかな。あってほしい。子供が行くと只だったって。
『悲しい話ですよね』
『それ位貧乏だった、と言う話だろ。売り物にならない魚も
貰ってたらしい』
その割に料理はぶつ切りにして煮込むだけだったけど。
『魚市場の食堂に行くためにも内戦なんてやめて欲しいな』
『動機はそれですか』
『殺し合いなんて馬鹿馬鹿しいのが一番だけどね。
俺達まで狙うって何でもありかよ。』
『少しでも相手の勢力を削りたいんでしょうね。
モイモイのエルフを味方に付けた方は相当有利ですし』
『怒らせたら怖そうだけどな。俺も注意しなきゃ
ところであいつ等の仲間はまだいるのかな?』
『狙いと違う人物を誘拐するような雑で乱暴な奴はそういないと思いますよ。
そんな奴はすぐ捕まります』
『生き残った奴を尋問してるらしいけど、何かわかるか?』
『この近くで調べている訳ではないようです。ご自分でフルオロ伯爵に
聞いたらどうですか』
『それしかないか。悪い噂もたってるみたいだし、安全を確認して、
ほとぼりが冷めるまで外は歩けそうにないな。』
いろいろ楽しみにしてたんだけどな、泥炭の採掘場には茶色い水の銭湯があって
臭うけど肌に良くて疲れもとれるそうだ。
それにせっかく本ワサビを持っているのに、醤油もあるのに、漁港があるのに。
行けないなんてありえない。
『今までで一番強い願望ですね。お風呂と魚好きですね』
『お前に俺の何がわかる。居酒屋バイトで見ていただけだが
魚の捌き方も何となく分る。魚市場に行って魚を買って食べるんだ』
『危なそうな魚は教えてあげますから、お腹を壊さないようにね。
それといつまで脱ぎっぱなしなんですか?
いい加減服を着て下さい』
『腰に巻いたタオルに手を当てて飲み物を飲むのがお風呂の醍醐味だろ
無粋な奴だな』
テンプレと念話していると男湯の扉が急に開いた。
「やっぱり。エアここに居ると思った。ねぇ、冷たい飲み物頂戴。」
ネッチャ、ここ男湯。他に誰もいなくて良かったけど、
俺、裸だから全然良くないけど、入って来るんじゃありません。




