119.お茶会終わり キター
「ところで、エアはマリア・バルツ男爵夫人の遠縁なんだって?」
お嬢様は、お茶のお替りを勧めながら俺の身辺調査らしい。
フルオロ伯爵からどの位聞いてるんだろうか?
話を合わせておいた方が良いかな。
「ええと、そうです。」
「言いよどむのね。何を隠してるのかしら?」
そう言われても隠してる事が多すぎて困る。
「何と答えていいのか。黙っていた方が良い事もあると思います」
「あなた本当は何歳なの?そんな答え方して。
フルオロおじ様が私より大人だと言う理由が解ったわ。
可愛いのは容姿だけなのね」
「容姿が可愛い、ですか。」
特にそんな自覚は、
いや、エア君の体は可愛いのか。中身は成人男性だけど。
「褒められたら素直に喜んだ方が相手の心証が良くなるわよ。
相手が内心馬鹿にしてるとわかっててもね。
あっ、エアは本当に可愛いわよ。心の底からそう思うわ」
「なんか、反応に困ります。お嬢様に比べたら僕なんて…」
「まあ。綺麗に返すじゃない。そんな感じでいいのよ。
ホッペが真っ赤なのがポイント高いな。本当に可愛いわ」
困った、中身の俺は外観について並以上なんて言われた事がない。
褒められた時の会話の引き出しなんてない。
「そんなにドギマギしないの。今の反応だけなら可愛い子供なんだけどな。
本当に不思議な子ね」
「お嬢様の方が余程可愛いじゃないですか」
「素直に受けておくわ。ありがとう。
そういう感じで何か褒めておけば良い、みたいな人が多いのよね」
「そんな意味で言ってません」
「わかってる。エアの事少しずつ解ってきた。でもね、お嬢様はやめて
お茶会でお客様にそう呼ばれるのは変だわ。この場だけでもマリーにして」
「ですから。…」
「呼びにくいかしら?マリア・バルツ男爵夫人の遠縁という事は
私の遠縁でもあるんだから気にしなくて良いのよ。」
「マリアさんは平民出身ですよ」
「それと縁は関係ないでしょ?バルツ男爵は私の伯父だから
その妻の遠縁も私の遠縁じゃない。」
「でも遠すぎませんか。縁て第一夫人のイリスさんの繋がりでしょ」
「ちゃんと知っているのね。そうよイリス伯母様がこの家の出なの
ねえ、エア、あなたイリス伯母様やバルツ村の事知ってる?」
「多少ならば答えられると思います。」
何を聞かれるのかな。細かい事は本当に知らないぞ。
「物凄い田舎だとしか聞いた事がないんだけど、魔物が出るって本当?」
「本当です。村の近所にまで出る事があります」
「本当なんだ。じゃあ、男爵の息子のエミュールは魔物退治で
頼りにされているの?」
マリーお嬢様。その話はふかし過ぎて原型がありません。
エミュール兄が多少気の毒になったが首を振った。
「聞いた事がありません。ゴブリンの皮は買ってましたけど」
優しさが足らないかな?本当の事だから良いよね。
「やっぱりね。そんな所だと思ったわ。何考えてるんだろアイツ」
「アイツ、ですか」
「下品だったかしら。一応従兄なの。会うたびにジロジロ見てくるから
苦手なのよ。」
それは多分、あなたのけしからん体型のせいです。
個人的には15歳の男の悲しい性として許してあげて欲しいけど、
エミュール兄もう少し遠慮しろよ。とツッコんでおこう。
「女の従兄は大丈夫なんだけどね。でも皆お嫁に行ってしまったから
今は関係ないわ。ねえ、他の従姉妹について知らない?
第二夫人と第三夫人の子供達はどんな人なの」
「全然知らないんですか?」
それは意外だ。
「イリス伯母様が連れて来ないと全然会う機会が無いのよ。
第一夫人と第二夫人が同行できる訳がないから仕方ないんだけど」
「第二夫人のエマさんの子供達は王都で働いています。一人残っている
レオニーさんは働き者で優しい子です。」
「その子がノールド男爵の所にいるのね。わかったわ。後は…」
じっと見られたけど、どの位まで知ってるのかな。
「マリア・バルツ男爵夫人は規格外の魔力持ちだと聞いたわ。
その子供もきっと魔力持ちよね。男の子だと聞いてたけど
僕ッ娘の男の娘なのかもしれないね」
完全にバレている。紅茶が苦く感じた。
「他に何かありますか。お菓子もいただいたのでそろそろ…」
「分かりやすい子ね。素直で良いわ。事情があるんだろうから聞かない。
あなたは敵にはなりそうにないから」
「敵?ですか」
「バルツ男爵とイリス伯母様が王権派についている、という事は
従兄のエミュールも王権派にいるはずだわ。」
「今は敵でも親戚なんだし、説得して味方に引き込めば良いんじゃないですか」
「本当に面白い子ね。頭が良いのか悪いのかわからないわ。
親戚だから味方にならないのがわからない?」
「親戚だから、ですか」
「従兄のエミュールにはマンチェス家の血が流れてるのよ」
「それは、この家の継承権とかそういう話ですか」
「資格はあるという話。お父様は私を残して王都に行く時に私に譲るという書類を
残してくれたから意味ないけどね」
「そんな事考えてないかもしれないじゃないですか。戦闘に加わってたかどうかも。」
「王権派は皆王都で私の両親、祖父を殺した仇よ
イリス伯母様もバルツ男爵も従兄のエミュールもそう。
何を考えていたか、直接手を下したかなんて関係ない
責任はとってもらう」
「お茶会の話題じゃないですね」
「そうね、この辺で切り上げましょうエア」




