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100,闖入者キター

皆さん目が覚めた時、目の前に美少女がいたらどうします?


嬉しいより前に驚きますよね。


俺もそうです。


「わー! 誰、誰?何なのー、えー」


「しー、大きい声出さないで。見つかっちゃうじゃない。


 あなたこそ誰よ。」


人の部屋に侵入しておいて随分な言い分だ。


『テンプレ、警告出せよ使えないな』


『今ドア開けて入ってきたから起こしたんですよ。


 私に感謝しなさい。


 昨日の夜鍵も閉めず着替えもせず眠ったでしょ。


 警戒心無さすぎです。


 あの人物、敵意はないようです。』


テンプレと念話したら落ち着いてきた。




身なりが良い。整った髪型で高価そうなアクセサリーをつけている。


年齢は幾つなんだろう?童顔なのにスタイルは怪しからん事になっている。


『あんた好みのキョヌーですね。朝からラッキーじゃないですか』


テンプレは復活していきなり絶好調だが無視しよう。




「いきなり部屋に入ってきて、誰?はないでしょう。


 そちらこそどなたですか?」


「まあ、子供のクセに生意気ね。


 ああ、わかった。バッチャの世話をするために雇ったという


 小間使いね。なんで客間で寝ているの?サボってないで働きなさい」


昨日フルオロ伯爵が決めた設定を知っているってこの子誰だ?


俺が答えないのに勝手にどんどん喋り続ける。


「ちょうどいいわ。バッチャの所に案内しなさい。


 災厄の大魔王がどんな姿をしているか見てやるんだから。」




「バッチャはフルオロ伯爵のお客ですから、許可なく会いに行くのは


 まずいと思いますよ」


ついでに俺もフルオロ伯爵の客だぞ。


「本当に生意気ね。教育がなってないわ。


 そうね、私の事知らないものね。


 マリー・アントニア・ヨーゼファ・ヨハンナ・フォン・マンチェス=ロートン


 この地の領主、辺境伯の一族よ」


はえ―、名前滅茶苦茶長いじゃん。誰?


「理解できた?さっさと案内しなさい。」


「それでも伯爵の許可を得ていただいた方が良いと思います。


 だいたい何故一人で私の部屋に入って来たんですか。」


「見つかりそうになったからドアの鍵が開いてる部屋に入っただけよ」


「見つかりそうになったから隠れた?誰から隠れたんですか。


 という事はあなたはここにいて良い人なんですか?」


怪しい、怪しいぞ。


「小っちゃいクセになんて疑り深いの。


 まるでおじ様だわ。


 もう少し素直な方が可愛いわよ。ならいいわ。


 最初の計画どおり瘴気を探して、大魔王を自分で見つけるから」


「瘴気って何です?」


「千年以上生きた大悪魔がいるのよ。


その近くに行けば瘴気が硫黄の匂いと共に辺りに漂っているはずよ。


あなたが隠しても見つけてみせるわ」


バッチャ、昨日はフローラルな香りのシャンプー使ってたよ。


硫黄の匂いはしないと思う。というか瘴気ってなんだよ。


「ええと、そんな現象起きませ…」


俺が返事をしようとしているのに女の子は部屋から出て行った。


俺の話を聞け!自分勝手な奴だ。




もっとも部屋を出てすぐに誰かに見つかったようだ。


面白そうなので廊下に首を出して覗いているとさっきの子が


数人の使用人に詰められている。


「お嬢様、ここで何をしてるんですか。」


「散歩よ散歩」


「この早い時間にメイドも付けずに?」


「たまには一人で考え事したいじゃない」


「それなら辺境伯館の中庭をご使用下さい。


 殿方も泊まられる客間の方へ一人で来るなど言語道断です。


 今日見た者には口止め出来ましたが、お嬢様の評判にかかわります。」


「わかったわ。今後気を付けます。」


「いえ、お解かりいただいているようには見えませんので


 本日はみっちりお勉強していただきます」


「昨日公務で散々働いて疲れてるの。今日は勘弁して」


「記憶が鮮明なうちに昨日の所作のおさらいをしていただきます


 結構間違いがありましたよ」


「待って、今日も公務があるのよ、そっちをやらないと」


「そちらも勿論やっていただきます。空いたお時間で十分お勉強できます」




涙目の女の子は腕を掴まれ連れていかれたが、


途中覗いてる俺を睨みつけてきた。俺なんか悪い事したか?


自業自得じゃね?




そういう訳ですっかり目が覚めた俺は洗面し身だしなみを整えた。


この世界の鏡は金属板を磨いただけなので顔色がわかりにくいけど


体調は良い。


この鏡、すぐ曇るからしょっちゅう磨かないといけない。


バルツ村で散々やらされたので客間の鏡がちゃんと映るだけで


感動してしまう。


さて服はどうしよう。この服、クロムで買ってからずっと着ている。


一昨日船で寝た時にも着てたし、昨夜も着たまま寝てしまった。


下着は替えているけど問題あるよな。




だからといってバルツで着ていた継ぎはぎの服を着たら館の中で


浮きまくりで白い目で見られそうだ。


伯爵と交渉して町に買い物に出してもらうほかないか。


クロムより良い店がありそうだし、お金も金貨で残っている。




それまでの粗隠しとしてモイモイで貰った


ヒートモスのスモックを銀貨3枚で買った服の上に着る事にした。


ツルツルとした光沢のある布はこの世界ではあまり見た事がない。


昨日インガ=エッチャが着ているのを見たけど、実に美しい布だ。


下半身は今のスカートとレギンスでも身なりをごまかせるだろう。




そんな事をしていたらフルオロ伯爵から朝食のお誘いが来た。


隣の部屋のエルフ3人も身支度は済んでいたので一緒に行く事にした。




昨日の部屋を予想していたんだけど前を素通りして大きくて立派な扉の部屋に


通された。


100畳、いやもっとあるぞ。


そんな大きな部屋のテーブルに着いていたのは二人だけだった。


一人はフルオロ伯爵、もう一人は…。


朝の女の子じゃないだろうか。

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