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二十三話

 森の中は樹に日が遮られ薄暗く、あちこちに岩や木の根があり躓きそうになるが2人はすいすいと進んでいく。丁度良いスキルがないだろうか。

『まて何かいる。』

 素早く構える。周囲を見るが樹や草しか見えない。

『しゃがめ!!』

 勢いよくしゃがみ込むと頭の上すれすれを白い何かが通って行った。なんだ?

『ちっ隠れ蜘蛛だ。』

 先ほど飛んできたのは蜘蛛の糸だった。素早く糸が飛んで来た方を見るがすでにいなかった。

『隠れ蜘蛛はスキルの【擬態】や【隠密】を持っていて隠れながら強靭な糸を撃ってくるんだ・・・・・・・。糸に触らないようにね。』

 栄治の忠告を聞き、糸に伸ばしかけていた手を引っ込めた。しかし隠れる相手にどうすれば。

 ふと考えた。糸が飛んできた先には蜘蛛がいるのなら――――

 試してみようと槍を地面に置いた時、丁度糸が飛んで来た。今度は避けずに左手を伸ばすと掌に糸が付いた。

『何やって……』

『大丈夫。』

 灰原さんに冷静に返し、糸を軽く引き蜘蛛がまだ先にいる事を確認した後スキルを使った。

 【放電】

 海蛇程は使えず、まだ掌から短時間のみだが十分だった。糸が付いた左掌から火花が散り、糸を伝い一瞬で燃え広がる。蜘蛛は逃げるのが間に合わず頭を燃やしながらのた打ち回っている。60cmぐらいのでかい蜘蛛がもがく様はなかなか気持ち悪かったのでさっさと踏み潰しておく。


スキル【喰らい得る魂アブソーバーソウル】発動


   スキル【糸弦操作スレットユーザー】【蜘蛛の糸】【単独隠密サイレントワン


   をラーニングしました


 擬態があると思ったが手に入らなかった。持っていなかったのか何か条件があるのか。

『おい足!!』

 灰原さんの叫びを聞き下を見ると蜘蛛を燃やしていた火が足元に広がっていた。

『うお!!』

 勢いよく飛び退く。足は燃えていなかったが周辺の草に燃え移っている。何度か踏みつけるも消えない。

『まったく仕方ないね。』

 栄治の手から水が流れ一瞬で鎮火した。

『ごめん。【放電】で痺れさせようと思ったけどまさか燃えるとは思わなくて。』

『怪我が無くて良かったよ。それとなにかするときは先に言ってね。心配するから。』

『わかったよ。』

『怪我がないなら良いだろ。ほら行く……』

 前を向いていた灰原さんが動きを止めた。

『どうしたの?』

『静かにしろ。……あそこを見てみろ。』

 指さす先を見ると、そこには樹に掌サイズのきれいなエメラルドグリーンの甲殻を持つ虫がいた。樹液でも吸っているんだろうか、全く動かない。

『新緑甲虫!!久しぶりに見たよ。』

 感嘆の声を上げた栄治に聞いてみる。

『新緑甲虫は珍しい虫なんだ。甲殻の色がきれいなのはもちろんだけどかなり固くて傷ついても治ってしまうから自動修復機能付きの防具に加工できるレアな素材でもあるんだよ。』

 なら早く仕留めた方がいいんじゃないかと思ったが灰原さんが否定した。

『あいつらは、かなり逃げ足が早いから逃げられないように慎重にやらないといけないんだ。』

 気付かれないように?

『あの』

『なんだ?』

 灰原さんに睨みつけられた。静かにしろと言いたいんだろうが続ける。

『さっきの蜘蛛からスキル【蜘蛛の糸】【単独隠密サイレントワン】を得たから、それで静かに近づいて糸で捕まえたらどうかな。』

 右手を後ろに向け糸を飛ばす。始めは細い糸が一本出ただけだったが数回繰り返すと放射状に広がる糸を出せるようになった。

『まあ俺たちが行くより良いだろう。捕まえればラッキーぐらいだ。さっさと行って来い。』

『ありがとう。じゃあ行ってくるよ。栄治、灰原さん。』

『優で良い。さんもいらん面倒だ。』

『……分かったよ優。』

 樹に隠れながらゆっくり進む。虫たちはまだ動かない。


 数分後7匹いた虫のうち5匹を捕まえた後、柔らかな腹を刺し魂を喰らった後、甲殻部分をきれいに回収した。


スキル【喰らい得る魂アブソーバーソウル】発動


   スキル【飛翅】【甲殻形成・新緑甲虫の甲殻】


   をラーニングしました


 さっそくスキルを使うと【飛翔】は半透明の羽が生えたが飛べず、ならばと【甲殻形成・新緑甲虫の甲殻】を使って見ると首から下を全て甲殻が覆い派手な鎧を着ているようになったがかなり重く、関節部も固いため動かす事が出来ずひっくり返った後起き上がれず、さんざん笑われてしまった。

『大丈夫だよ。何度か練習したら上手くいくって。』

『ははは!!面白い物を見せてもらったな。』

 いまだに笑う優を無視して先に行くとどこかから頭に響くような幼い声が聞こえてきた。

 

≪タスケテタスケテ。カアサマタスケテ。≫

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