二十一話
『ごふぉ!がはぁ!はあはあ』
せき込むように息をする。全身が少し痛むがそれだけだ、死ぬほどではない。どうにか目を開けると木製の天井が視界に映った。どこか建物の中のベットの上で横になっているようだ。
『目が覚めた?』
ふと横を見ると要さんがいた。手から水湧き出て自分の全身を包んでいる。何かのスキルだろうか次第に痛みが減っていく。
『ええどうにか……ここは、と言うか奏さんは無事ですか!?』
身を乗り出すように尋ねる。意識のないままだった奏さんは助けられたのか。
不意に扉が開き――――
『要さんお湯持ってきまし……ジュー君目が覚めたのね!!』
奏さんが入ってきた。持って来た桶を少し乱暴に置きベットのそばに来た。海蛇の電撃をくらっていたが怪我はなさそうだ。
『奏さんも無事で良かったですよ。』
体中を触る奏さんの手が擽ったい。
『奏ちゃん落ち着いて怪我もだいぶ治ったししばらくしたら動けるようになるから。』
要さんの言葉を聞きようやく離れた。すでに痛みはなく、少しだるい位だ。
『さてもう傷は治したけど痛みはある?』
『いえ大丈夫です。しばらくしたら歩いて帰れそうです。』
『そうなら服はそこに置いているからしばらく休んだら着替えて帰りなさい。』
てきぱきと周りを片付けた。ずいぶん手馴れている。
『奏ちゃんも気を付けて帰りなさいね。』
そう言って扉から出て行った。
『あの……ね……』
『どうしました?』
服を着替え帰ろうとした時、奏さんがぽつりと呟いた。
『助けてくれてありがとね。さすがに死ぬかと思ったよ。』
『いえこちらこそ。最初に奏さんが来てくれなかったら間違いなく死んでましたよ。』
あのまま無様に逃げていてもいずれあの蛇に追いつかれ一飲みにされていただろう。奏さんがいたから覚悟を決めて立ち向かう事が出来たのだから。
『それでも私を助けてくれたでしょ。だからこれはお礼。』
すっと近寄り抱きしめられ頬に軽いキスをされる。自分の方が少し身長が高いので少し背伸びをしている。
『はあ……えっとどういたしまして?』
『んーあんまり動揺しないのね。かわいいお姉さんにキスされたって言うのに。』
『自分でかわいいって言うのもどうかと思いますが……』
『あらひどい。そういう事言うなら愛華さんに言いつけようかしら。』
笑いながら言う。冗談じゃない。
『いやすいません。謝りますからそれは勘弁してください。』
『なら条件があるわ。』
条件?なんだ?
『簡単なことよ。時間が出来たらまた私たちと漁に行くこと、そして何かあったら私たちを守ること、簡単でしょ。』
『分かりました。それでお願いします。』
『じゃあまた今度よろしくね。』
互いに握手を交わし歩き出す。暗くなった空にはすでに星が輝き出していた。




