十八話
『せっやあ!!』
ギルドに行った日から数日経ち、自分は朝から一本の槍を手に素振りをしている。この槍は集会のあった日に村長から貰った物で以前使っていた物らしい。愛華さんに教えてもらった、突きと払いなどの基本動作を繰り返し練習しスキル【槍の心得】を得た。
あれからまた何度か狩りをしてカニだけでなく、ヤドカリ(2mもある巨大な殻を身に纏う大物で中身を槍で突くのが大変だった)や小さなフナ虫らしきもの(小さくすぐにつぶれる弱さだが数が多く岩陰から飛び出してきて気持ち悪かった)を狩り経験値と新しいスキル【殻に籠る・甲殻育成・甲殻防御強化・噛みつき】を覚えた。
今日は愛華さんが波風に行っていて何もすることがない。村の住民はまだ自分を警戒しているようでまだ知り合いもあまりいない。どうしようかなと村をぶらぶらしていると一人の女性が近づいてきた。
『ねえちょっといい。』
『はいなんでしょうか。』
『いま暇?ちょっと手伝ってほしい事があるんだけど。』
これはチャンスだろうか。ここで上手くいけば少しはなじめるだろうか。
『大丈夫ですよ。何をしたら良いですか?』
出来るだけいい笑顔を作り答える。
『おおいい返事。じゃあ行きましょうか、ジュー君。』
『ジュー君?』
『名前の充吾からとってジュー君。いいでしょ?』
どう見ても年上なのに可愛らしいあだ名に少し笑う。
『分かりました。それでいいですよ。』
『私は雨宮 奏奏って呼んで。』
結論から言えば村の海女さんと素潜り漁をするらしい。人数が少なくどうしようかと思っていたところに、たまたま自分がいたので誘ってみたそうだ。ただ自分が想像していたのと違う点があった、皆普通の水着を着ていた。しかも全員運動をしているせいか弛みのない素晴らしいプロポーションだ。目に毒だ、まともに見られない。
『ほらジュー君準備運動するわよ。こっち来て。』
(準備運動だと!?)
どうにか乗り切った。何だかすでに疲れたような気もしてくる。
『はいジュー君!これ付けて!』
何だか海女さんの道具セットのようなものを渡された。太いベルトに網がついていてちょうど腰の後ろにあたる個所にのみと金槌、数本のナイフが刺さっている。
『獲物をとったらその網の中に入れてね。魔物化しているのはナイフでサクッとしちゃっていいから。』
魔物。確か魔力や瘴気と呼ばれる負のエネルギーに汚染された生物の事で、狂暴化や大型化したりする危険な生物の事だと以前愛華さんから聞いた。
『だいじょーぶよ。あとは私を見て覚えればいいから、それじゃ行くよ。』
ほかの海女さんも海に次々に飛び込んでいた。自分も遅れないようにと奏さんに続いて飛び込んだ。




