十三話
村の東に砂浜があった。防風林を抜けた砂浜まで村から20分ほどと近く村の子供もよく来る場所らしい。白い砂を踏みつけるたびにキュッという音がする。
『さてここで良いでしょう。』
『その……狩りってどうするの?』
狩りと聞くと森や山を連想するがここでどうするんだろう。
『簡単よ。あそこを見て。』
指さす場所を見ると土が盛り上がっている。何かいるんだろうか?
『あの土を何度かつつくと下からかにが出て来るからそれを倒すの。頑張ってね。』
『自分が!?』
『そうよ。これを使えば楽勝よ!!』
そう言ってどこからか木刀を取り出した。
『木刀?どこから持ってきたの?』
今まで何も持っていなかったのにどこから取り出したんだ?
『これは私のスキルで作ったの。詳しくはまた後で話すから行ってらっしゃい!!』
背中を押され、木刀を持ちながら土が盛り上がった場所まで行く。たかがカニにと思いつつもとりあえず木刀でつついてみると――――
ボンッ
土がはじけその下からカニが出てきた1mほどのでかいカニが。
『おいおいこれはでかすぎだろ!!』
カニは体を真っ赤にしこちらを威嚇している。右の鋏は体と同じぐらいのでかさで威圧的だが、左の鋏は逆にかなり小さく使えるのかと疑問を抱くほどだ。
『この村の子供でも狩れるぐらいだから大丈夫よー!』
愛華さんが檄を飛ばす。驚いたがたかがカニだ冷静に対処すれば大丈夫と自分に言い聞かせ、ゆっくりと息を吐き構える。
カニは横歩きだから突っ込んで来た所を背中側に躱し、思いっきり叩けばいける。そう考えカニを見ると――――
まっすぐに走り出した。かなりの速さで。
『ウソだろおい!!』
そうこうしている中にカニが近づき勢いよく右の鋏を振り回す。
勢いよくしゃがみ込み、物騒な音をだし風を切る鋏をかわす。カニは大きすぎる鋏のせいか目標を見失ったようだ。
(今のうちに!!)
素早く後ろに回り木刀を大上段に構え全力で振り下ろす。
バキッという音と共に背中にひびが入り前に倒れる。まだ手足が動いているので、木刀でもう一度叩き止めを刺すとすぐに動かなくなった。
『はいお疲れ様。初めての狩りはどうだった?』
いつの間にか近づいていた愛華さんに声をかけられる。軽く息を整え木刀を見る。全力で叩いたのに傷付いていない。
『緊張はしたけど木刀のおかげでなんともないよ。ありがとう。』
木刀を返すと皹が入り数本の枝に変わった。
『お礼はいいわよ私のスキルで簡単に作れる物だし。それよりあなたの初めての獲物を持って帰りましょう。』
少し照れくささを感じながらも回収しようとカニを見て――――
『えっ?』
カニの上に何かが浮かんでいた。




