十二話
『さあ外に行きましょうか。』
昼食の後、村を見て回ることになった。昨日は、あまり周りを見ていなかったからよく見ておこう。
『まず、私の家は村の東側にあるの。』
外に出た後すぐ振り返り家を指す。出る前に言っても良かったんじゃないかと思うが言わないでおこう。
『次にこの村は高い柵に囲まれていて四方に入り口を作ってそこから出入りをしているの。そこがここよ。』
東に数分歩くとすぐについた。柵は2mぐらいの先端を尖らせた丸太を縦に隙間なく並べ簡単に登れないようになっている。入り口は門になっていて、横に設置された滑車のようなものから伸びる太いロープを巻き開閉するようだ。
『門の横の矢倉に鐘があって緊急時には鐘を鳴らすようになってるの。』
矢倉は太い丸太や大きな板を張り付けて作られていて頑丈そうだ。高さは4mぐらいあり、上から外の景色が良く見えそうだ。
『登ってみる?』
『そうだね少し見てみたい。』
木製の梯子が二つ側面にありそこから上るようだ。
『あれ愛華さん。どうかしました?』
登っていると一人の青年がいた。少し青い肌の彼は目が大きくどことなく魚のような印象を受ける。身長は自分より少し高いが年齢は近そうだ。
『今この子を案内しているの。』
そう言って自分を指す。少し驚いた後納得したような表情に変わりこちらに近づいてきた。
『やあ君が愛華さんが連れて来た異界人だね。僕は美坂 栄治この村で漁師をしている魚人の一人だよ。』
そう言って手を伸ばしてきたので握手をする。フレンドリーな性格のようだ。こちらも簡単に自己紹介をする。
『今日は見張りの当番だったんだけど君に会えてよかったよ。君も村に慣れたら漁をする事もあるだろうし、その時は僕がいろいろ教えてあげるよ。』
『ありがとうそうなったらよろしく頼むよ。』
『じゃあまた夕方の集会の時にまた。』
そう別れを告げ矢倉から降りた。上を見ると手を振っていたので振り返す。この世界で初めて同世代(だと思う)と話せてよかった。何かあったらいろいろ聞いてみよう。
『さあ次は村の集会場よ。村の中心にある大きな建物で村の話し合いで使われたり、緊急時の避難所になっているわ。』
集会場はかなり大きく、避難所と言うだけありほかの建物と違い煉瓦で作られていて頑丈そうだ。
『今は誰もいないけど、夕方には村の全員が集まるでしょうね。』
扉は分厚い金属製で(見た目の割に子供でも簡単に開けられるぐらい軽い)中には木製の長テーブルとたくさんのイスがあり奥にはまた扉があった。
『奥には、食糧などの貯蔵庫などがあってしばらくは籠城できるみたいよ。』
少し笑いながら言う。おそらく籠城が必要になった事はなんだろう。
『とりあえず村の大事なところは紹介したし。後は…………』
こちらを向き一言だけ告げる。
『砂浜に狩りをしに行きましょうか。』




